北アルプス・遠見尾根でイグルー泊

山行記録

2016.4.2~4.3

北アルプス・遠見尾根

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遠見尾根でイグルー泊

イグルーとは

イグルーイヌクティトゥット語iglu英語igloo)は、カナダ北端のマッケンジー河口付近からラブラドル半島にかけての地域で使用される、狩猟の旅先で圧雪ブロックを使って作る一時的なシェルターのこと。

イヌクティトゥット語の「イグルー」には、皮や石で作ったものや恒久的な建物も含まれるが、日本語や欧米の諸語においては、圧雪ブロックを使って作る一時的なシェルターのみを指す。

wikipediaより

イグルーの存在を知ったのはヤマレコだったか。

ユーザーのyoneyamaさんこと米山悟さんが、イグルーの利便性について熱っぽく語っているところから興味を持ちました。

そこで、イグルーは雪山の余興ではなく、登山のための前進手段・幕営手段として有用であるように書かれていました。

イグルー設営の技術を上手く使いこなせれば雪山登山でテントを省くことができ、スピーディかつ効率的な登山が行えるということは、考えようによっては魅力的に思えました。

米山さんの著書。

ちょっとマニアックですが内容は非常に興味深いです。

 

イグルー設営の技術を身に着けるべく、雪山で何度か練習を重ねました。

そして、丁度相方と休みが重なったので、北アルプスでイグルー作成の練習をして実際に泊まってみようと、今回の山行を計画しました。

 

場所は北アルプス遠見尾根。

選んだ理由は

・北アルプス北部なので積雪が多いこと。

・ロープウェイ利用で楽に積雪の多い場所まで上がれること。

・翌日午後から天候悪化の予報だったので、速やかに下山できる場所。

・幕営予定地の景色が良いこと。

などの条件が揃っていたことから選択しました。

 

遠見尾根より登山開始

 遠見尾根へは白馬のテレキャビンを使って楽々入山です。

 

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ロープウェイ、リフトを乗り継いで、金で標高を楽々稼いでいきました。

今回はイグルー設営が目的なので、頑張らない主義です。

 

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出発地点あたりから五竜岳が堂々とした姿を見せていました。

 

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リフト終点から登山開始。

日本百名山でもある五竜岳へと連なる遠見尾根は、小遠見山⇒中遠見山⇒大遠見山⇒西遠見山⇒白岳⇒五竜岳へとアップダウンを経て構成されています。

今回の目的地は西遠見山。

コースタイムでだいたい2時間ぐらいでしょうか。時間的にも余裕ですし、ハードな登山ではないので比較的気が楽です。

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小遠見山への登りの途中から、遠見尾根。右奥ピークが五竜岳。

 

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小遠見山から見た、遠見尾根。

ゆるやかなアップダウンを繰り返しています。

左側のピークは、日本百名山のひとつ、鹿島槍ヶ岳です。

 

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鹿島槍ヶ岳をアップで撮影。

 

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北アルプス北部は豪雪地帯だけあって、雪の量が凄いです。

大きな雪庇。

 

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鹿島槍ヶ岳をバックに登る図。

この日は天気も良く無風で、上はベースレイヤー一枚で汗だくだくになって歩きました。

 

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絶景を楽しみながら歩いていたら、あっと言う間に西遠見山に到着しました。

ここは積雪期は広々とした雪原となっており、幕営地としては最適です。

開けている場所なので風が強い日には要注意ですが。

 

イグルー設営

だだっ広い雪原なので、どこにイグルーを作ろうか迷うところですが、とりあえず適当に目安をつけて設営開始します。

まずはプローブ(ゾンデ捧)を使って、十分な深さがあるかどうか確認してから雪を掘り始めました。

 

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今期買ったばかりのMSRのオペレーターTショベルを活用します。

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雪質はバッチリ。

スノーソーとショベルを使ってブロックをつくり、積み重ねていきます。

 

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だいぶイグルーが形になってきました。

天井を高く高く積み上げるようにしてしまうと手間と時間がかかってしまうので、天井を積み上げつつ雪を掘ってフロア部を下げていきます。

雪を掘り下げているので、外からの見た目よりもイグルーの中は広くなっています。

 

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午後になったら山々はガスに隠されてしまいました。

 

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イグルーはほぼ完成。山が晴れていたら最高でしたが…

作成に要した時間は2時間ぐらいでした。過ごしやすいようにと頑張ったので、結構時間がかかってしまいましたが、山の前進手段としての作成なら1時間以内に作りたいところです。

作業スピードを上げるためにはもっと経験を積まないといけませんね。

 

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山を眺めながら食事が摂れるように腰掛けとテーブルも作りました。

奥にはアイゼンやピッケルを置く場所も作っています。

アイデア次第で好きなようにアレンジできるのも雪の魅力です。

 

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山を見ながらビールを。

山がガスっている上に風も出てきて少し寒くなってきたのが残念でした。

 

外は風が出てきており、日が沈んでからは気温急低下して外気温はかなり低かったと思いますが、イグルーは風を遮断してくれて快適でした。

ブロックとブロックの間に適度に穴が開いているので、中で火を炊いても酸欠のリスクは低いです。

その隙間のせいで、風が強いと隙間風が入ることがあるで、風上側の隙間は雪を降りかけて埋めておくとより快適です。

 

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LEDも悪くないですが、イグルーに似合うのはやはりロウソク。

思った以上に明るくてびっくりしました。

 

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夜中のイグルー。明かりはロウソクです。

カメラは地面に直置きして、雪で角度をしながら長秒露光して撮影。

どうせゆるゆる山行なんだし、三脚を持ってこればよかったと後悔していました。

 

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絶景の夜明け

イグルーの中で過ごした一晩は快適でした。

外は結構な風でしたが、気にすることなくぐっすりと熟眠できました。

 

外が明るくなってきたので、イグルーから這い出すと山は夜明け色に染まり始めていました。

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山々が真っ赤に染まった素晴らしい朝焼けでした。

 

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この日は前日の夕方に増して風が強かったです。

気温はそれほど低くなかったような気がしましたが、風が絶え間なく吹き付けているのでかなり寒かったです。

空は晴れ渡っているので五竜岳に登りに行きたい気分でしたが、登山届けは西遠見までしか書いていなかったですし、この日の午後から天気は急激に悪化する予報だったので、無理せず下山することにしました。

 

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贅沢な山での一晩を終えて、下山していきます。

スキー場のリフト乗り場に着くころには、予報通り山はガスに包まれており、天気は急速に悪化していっているようでした。

無事に下山できてなによりです。

 

イグルー泊は予想通りというか、予想以上に快適で、慣れれば設営もそんなに手間ではないと思うので、これからも積雪期シーズンに活用していきたいと思いました。

まずは、連休がもっと欲しいです。