富士山…
登山初心者の頃は「日本一高くてスゴい山」と見上げ、
登山に慣れてきた頃は「混んでるしちっとも楽しくない初心者向けの山」と少し見下し、
今では「富士山は美しくて楽しい山」という気持ち。
富士山ほど、こちらの認識や印象がコロコロと変化した山はありません。
今回は個人的に思う富士山の魅力についてまとめてみました。
個人的に思う富士山の魅力
大砂走り
富士山の代表的な登山道の中でも最も不人気な『御殿場ルート』のハイライト。御殿場ルートは他のルートと比べて行程が長く、山小屋も少ないので吉田・富士宮ルートと比べ、訪れる登山者はぐっと少ないです。
『大砂走り』は御殿場ルートを特徴付ける広大な砂地の急斜面で、主に下山に使用されます。
登りでは、大砂走りの横に付けられた登山道をつづら折れに登っていくことになりますが、この辺りの斜面は一面の砂地なので、ズルズル滑って力が逃げてしまいます。これが非常に疲れます。
そのかわり、下りの一区間である『大砂走り』では、そのズルズルの埋もれて滑る砂が良いように作用し、抜群のクッション性を提供してくれます。砂が下ろした足の衝撃を吸収してくれるので、走って下山できるほど。転んでもそれほど痛くないし(砂まみれにはなりますが)。登りで長い時間をかけた砂の急斜面を、わずかな時間で駆け下りて下れるのは爽快です。砂埃にまみれるので、どうしても汚れるのが欠点か…。
靴の中に砂が入りやすいので、ゲイター(スパッツ)があると便利です。
吉田口馬返しからの富士登山
古の雰囲気の残る信仰の山道から、大衆のレジャースポットへ…
『吉田ルート』は富士登山の中で最も人気らしいです。その吉田ルート、スバルラインを利用して五合目から登り始めるのが一般的ですが、個人的には一合目となる『馬返し』という場所からスタートするのが好きです。
富士山の森林限界となる五号目までは、両脇に木々が多い茂る樹林の登りです。各所に朽ち果てた建物や、富士山の信仰登山の歴史を紹介するパネルが設置してあり、昔の人々が辿った富士への道に思いを馳せることができます。このルートは訪れる人もまばらで、ここが富士山とは信じ難いほど、静かな山歩きを楽しめます。
五号目あたりまで登って視界が開けてくると、周囲の様子は一変。大勢の登山者と、立ち並ぶ営業小屋、コンクリートで補強された登山道。現代の大衆登山を象徴するかのようなあの富士山の雰囲気に様変わり。
信仰登山の名残を感じさせる静かな場所から、登山者が詰めかける人気の山旅エリアという移り変わりが突然過ぎて、そのギャップが何とも言えず面白いです。
富士山という日本を代表する山が持つ様々な側面を感じることができます。
残雪期のシリセード
スキーだったらもっと楽しいのかも知れませんが、自分はスキーをやらないので…
冬富士は、上部は一面のアイスバーンとなるため、滑落は非常に危険ですが、気温の上がる春(残雪期)では、山頂付近から尻セードで一気に1000mほど滑り降りることも可能です。
春といえど、標高の高い上部は冷え込んで氷化している時もあるので、特に午前中など雪面の固さには注意が必要なのは勿論です。上の方は傾斜もあるので、速度が出過ぎると止められなくなり、滑落にはくれぐれも注意が必要。滑落停止の技術も必須です。
雪が緩んだタイミングで、滑り降りてきます。長距離を滑るとズボンのケツ部分が痛むので、お気に入りのウェアは禁。
見て楽しむ富士山
富士山は、登るだけでなく見ても楽しい山(むしろ、登るより見るほうが好き)。
角度を変え、季節を変え、様々な視点から見る富士山は、それぞれ違った美しさがあります。
各所から見える富士山…ついつい写真を撮ってしまいます。
ハードな登山をやったりもしますが、他にも美しい山(富士山)を見ながら、のんびり写真を取りながらハイキングをしたりするのも楽しいです。富士山周辺をドライブするのも楽しいし、南アルプスや八ヶ岳からどーんと裾野を広げる富士山を見えるとテンションが上ります。
海外登山前の高所順応
富士山の高度は3776m。海外の4000mを超える山々に挑戦する際、事前の高度順応トレーニングの場として富士登山は非常に有用です。
ヨーロッパアルプスや、アンデスの山々に登る前に富士山で高所トレーニングを実際に行いました。
富士で高所トレーニングを始めた最初の頃は、3200mを超えたあたりから、動くとすぐに息が上がってしまいました。何度も富士登山を行うことで、富士頂上付近まで登っても息苦しさを感じなくなってくるのを感じ、トレーニングの効果が目に見えて分かるのが面白かったです。
愛読の『登山の運動生理学とトレーニング学』によると、富士山で行う高所トレーニングは、5000-6000m峰でも有効なのだそうです。
休みが限られる勤め人だからこそ、限られた休暇で行う登山を成功させるため、国内でできる限り高所に強い身体を作っておくのが良いと思います。
山梨県:吉田うどん
富士登山のついでに(ついでではなくても)、富士吉田に足を運んだら、是非食べたい地元グルメが『吉田うどん』です。
郷土料理など地方のグルメは、「観光客向けで正直味はイマイチ…」というものも少なくないのですが、吉田うどんに関しては、「美味しいから」という理由で食べに行きたくなる味です。
評判の吉田うどん店には、地元ナンバーの車が多く停まっています。そのことから、観光客が物珍しさで訪れる店…というわけではなく、地元民からも愛されている美味しい食べ物と考えて良さそうです。
富士吉田へと行く度に、食べに行きたくなってしまう『吉田うどん』。その魅力を教えてくれた記事は以下。
静岡県:さわやか
山梨に『吉田うどん』があるなら、静岡には『さわやか』があります。
さわやかは静岡県内に存在するハンバーグチェーン店で、チェーン店とは思えないほどにハンバーグが絶品です。土日や食事時には行列必至な人気店だそうです。
山梨県側から富士山に登った時には吉田うどんを食べ、静岡側から富士山に登った時にはさわやかでハンバーグを食べるというのが良いかも。
富士山は下山後の食事も楽しみ!
こちらの記事もどうぞ