今回の記事ではPLフィルターについて書いていきます。写真撮影でなぜ使うのか、その効果やメリット・デメリットについて解説していきます。
ディーアイが使用しているレンズフィルターは2つです。
プロテクト(保護)フィルターとC-PLフィルター。
プロテクト(保護)フィルターに関しての記事はこちら。
今回の記事は、PLフィルターについてです。
PLフィルターの使用目的・効果【写真撮影】
ディーアイが使用しているPLフィルター、Zeta Quint C-PL Filter。低反射・撥水性能・強化ガラスが採用されたフィルターです。
OLYMPUS OM-D E-M5 MarkII+M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PROに装着したところ。
PLフィルターの効果
PLフィルターには光の反射を抑える効果(偏光効果)があります。
具体例を見てみましょう。
PLフィルターなしの作例
PLフィルターありの作例
PLフィルターなし作例では、水面に光が反射して白っぽくなっている部分があります。
反面、下のPLフィルターありの作例では、光の反射が抑えられているため、美しいエメラルドグリーンの水が際立って見えます。また、反射が抑えられたことで水の透明感もよくわかります。
PLフィルターなしの作例
PLフィルターありの作例
葉っぱに光が反射することで、普通に写した場合は、本来緑色であるはずの葉っぱが白っぽくなっています。
PLフィルターを効かせることで、葉っぱに反射した光をカットすることができ、緑色がより際立つ形になります。…が、効かせすぎると不自然に見えることもあるので注意です。
PLフィルターなしの作例
PLフィルターありの作例
PLフィルターなしで撮影した場合は、反射によって水草が白っぽくなってしまっていますが、PLフィルターで偏光効果を効かせると、くっきりと緑色が浮き出てきます。
奥にある建物の屋根も、フィルターなしの作例では反射で白っぽくなっていますね。PLフィルターを使うと本来の屋根の色が現れてきます。
PLフィルターなしの作例
PLフィルターありの作例
空気中のチリやホコリによる光の乱反射も抑えるので、PLフィルターを使用すると、色彩のコントラストが強くなる効果もあります。
PLフィルターの種類
PLフィルターには通常の『PLフィルター』の他に『C-PLフィルター』というものがあります。
C-PLフィルターは、一眼レフカメラに最適化されたPLフィルターのことを言います。
C-PLは一眼レフカメラに組み込まれているハーフミラーに干渉しないように作られているということで、もし一眼レフカメラにPLフィルター(C-PLでないフィルター)を使ってしまうと、露出やオートフォーカスが正常に作動しなくなる恐れがあるそうです。
マニュアルで全てやっちゃうならC-PLいらなくない?ということになるかも知れませんが…
ミラーレスならC-PLじゃなくてPLでも良くないか?という気もするのですが、検証してないので分かりませんです…。
現在売っているそれなりのPLフィルターは基本的に全て『C-PLフィルター』なので、この記事でいう『PLフィルター』は、C-PLフィルターのことも含めて書いています。
PLフィルターの注意点
良いことばかりのようなPLフィルターですが、装着することでデメリットがないわけでもないです。以下に、解説していきます。
露光量が少なくなる(暗くなる)
上の画像はPLフィルター(左)と保護フィルター(右)の比較画像です。
PLフィルターの方はサングラスのように、少しグレーがかっていますね。
PLフィルターの注意点として、取り込む光の量が少なくなるというものがあります。
レンズにつけっぱなしにしている場合、暗い場面での撮影は手ブレしやすくなる(もしくはISO感度が上がってノイズが増える)ので注意です。
露出にしてだいたい2~3段落ちてしまうそうです。
これは、シャッター速度が本来なら1/125秒で切れるところが、1/60秒や1/30秒に落ちてしまうということです。
※お高級なPLフィルター(KenkoのZetaやZXなど)は、比較的明るく、2/3や1段ほど暗くなる程度で済みます。
レンズフードと共用が困難な場合も
PLフィルターは、フィルターの外枠リングを回転させて偏光の効き具合を調整します。
しかし、ほとんどのレンズフードでは、フードを装着してしまうとPLフィルターを回すことがとても大変になってしまいます。(一部ではPLフィルターを回転させられるように、隙間を設けたフードもありますが…)
そのため、PLフィルターを装着した歳には、ほとんどの場合、レンズフードを取り外す必要がでてきます。
フードを外すと、余計な光が入り込んでしまったり、万が一何かにレンズをぶつけた時、レンズ/フィルターにダメージが行ってしまうリスクが上がってしまいます。
上記の2点が、PLフィルターを使う上でのデメリットです。
PLフィルターのラインナップ
いくつかPLフィルターをご紹介させてもらいます。
ZX C-PL
ケンコー社が誇る最高級のPLフィルターです。光量落ちが最小限で、カラーバランスに優れ、反射低減、防汚コーティングなど、至れり尽くせりの最高級品。値段も最強。
Zeta Quint C-PL
ディーアイが使用しているC-PLフィルター。防汚コーティング、低反射、光量落ちも少ない高級品。特筆すべきは、強化ガラス採用によるガラス面の強度です。ラフに、タフに扱いたい人に。
Zéta Quint 衝撃や汚れに強く、さらに進化した最高級フィルター
PRO1Digital C-PL
値段と性能のバランスが良い製品です。
C-PL(W)
Kenko社の出しているC-PLフィルターの中で最も安価な製品です。とりあえず、PLフィルターを試してみたい場合には良いのではないでしょうか。
PLフィルターの寿命
残念ながら、PLフィルターには寿命があります。
サーキュラーPL、およびPLフィルターは、使用頻度や保管状況によって異なりますが、おおよそ7~8年経過すると、黄色っぽく変色してきます。これは、PLフィルターの心臓部である「偏光膜」に経年劣化を起こす性質があるためです。
一度買えばずっと使い続けられるというものではないので、あまり使う予定がない方の場合は、値段の高い高級なPLフィルターを買うのは避けておいた方が良さそうですね…(お金に困っていないなら別ですが)。
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