フルサイズ、マイクロフォーサーズを使用している私が思う、それぞれの利点・欠点【山岳写真】

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Canonのフルサイズをメインカメラに、OLYMPUSのマイクロフォーサーズ(MFT)カメラをサブにして、主に登山で写真を撮っています。そんな自分が、フルサイズ、マイクロフォーサーズ(MFT)それぞれのフォーマットが持つメリット・デメリットについて、山でカメラを使う人目線で書いていきたいと思います。

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山岳写真での使い勝手についての話です

 

山でキヤノンのフルサイズ、オリンパスのMFTカメラを使ってわかったこと

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Canon EOS 6D

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OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II

 

ボケについて

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(スマホのカメラではなくて)一眼レフなどの、いわゆる『大きなカメラ』を買う理由のひとつとして「背景をボカした」美しい写真が撮りたいというのがあると思います。

背景ボケの大きさは、レンズの他に、カメラに搭載されているセンサーサイズに大きく依存しています。

 

フルサイズはフォーカスの合っていないところがボケやすく、「プロっぽい」写真を簡単に撮ることができます。

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フルサイズで撮影

このように、背景をボカすことによって、主題と副題(背景)が明確になり、写真がより『作品』らしく仕上がります。

 

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マイクロフォーサーズで撮影

一方で、マイクロフォーサーズあまりボケません。撮り方にも寄りますが、(広角の場合は特に)全体にピントが合ったような仕上がりになることが多いです。

一般に明るい(ボケ量が大きい)とされるF2.8のズームでも、フルサイズのカメラで撮った写真と比べると断然ボケ量は少ないです。

ボケ量で言えば、マイクロフォーサーズはフルサイズより2段分落ちるそうです。(マイクロフォーサーズでF2.8は、フルサイズF5.6のボケ量に相当)

 

背景ボケを活かした写真を撮る際には、フルサイズの方がマイクロフォーサーズよりも一般的には有利。ただし、登山で言えば風景をパンフォーカス(全体にピントが合った状態)で撮影する場面も多いので、ボケ量が絶対的に大事かと言えばそうも言い切れないのです。

以下、フルサイズセンサーのカメラ(EOS 6D)を使って撮影したものと、マイクロフォーサーズのカメラ(OM-D E-M5 Mark II)を使って撮影した写真です。同じ場所からそれぞれ別の日に撮影しています。

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EOS 6D(フルサイズ)

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OM-D E-M5 Mark II(MFT)

このような条件下(日中で順光)で撮り比べると、センサーサイズ差の画質への影響はあまり感じられません。

 

山で良い写真を撮りたい場合には、ボケ量よりも気象条件とか撮り方(構図)とかが大きく影響している場合が多いように思います。

しかし、趣味でやっていて「背景ボケを活かした写真が撮りたい!」となってくると、(登山でそういった写真を多く撮るかはともかくとして)フルサイズを選んだ方が、満足感は高いのかもしれません。

 

画質の差

フルサイズとマイクロフォーサーズ(MFT)のカメラを使って、パンフォーカス(全面にピントが合った状態)にして撮り比べたものを見せられても、多分私にはわかりません

しかし、私と妻が一緒に山に登り、それぞれフルサイズとマイクロフォーサーズのカメラを使って写真を撮ったとします。

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EOS 6Dで撮影(フルサイズ)

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OM-D E-M5 Mark IIで撮影(MFT)

カメラの設定も微妙に違うし、レンズの画角も違いますので厳密な比較はできませんが…。オートWBの色味も結構違いますね。

RAWで上がってきた、それぞれのカメラで撮った写真を見比べると、やはりなんとなくですが「フルサイズの画質は良いな~」と思うわけです。出てくる画に、余裕があるというか立体感があるというか…。暗所でのノイズの出にくさや、ダイナミックレンジもセンサーサイズが大きいほうが有利ですね。

多分、フルサイズかMFTか、どちらで撮ったか分からないようにして、それぞれ別の場所で撮った写真を見せられたら見分けるのは困難かもしれません。

それでも同じ山にフルサイズとMFTのカメラを持っていって写真を撮った場合、やはりフルサイズのカメラで撮った写真の方が好きだったりします。撮影条件によって、その差は結構顕著に出たり、ほぼ変わらないと感じることもあったりですが。

なので、「撮影に力を入れたい!」と思う山行の時には、フルサイズセンサーのカメラをチョイスしています。

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暗所や明暗差が大きい場合、フルサイズの方が有利

 

 

クローズアップ撮影(マクロ)

単純に「どれだけ被写体に寄って撮れるか」は、使用するレンズに依存します。ここで書くクローズアップ撮影は、センサーサイズの違いによるもの、つまり「ボケ量」と山岳写真の関連性について。

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M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO

先程マイクロフォーサーズの欠点として「ボケ量が少ない」と書きましたが、山というフィールドで撮影する場合、この「ボケ量が少ない」は利点とも成り得ます。

 

撮り方にも寄りますが、例えばフルサイズのカメラで100mmのマクロを使用し、被写体に寄って撮った写真は、どこで撮ったかわからないぐらいに背景がボケます。(豊かなボケとも表現できます。ものは言い様)

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EF100mm F2.8L MACRO IS USM

 

山で見つけた高山植物などを撮影した場合、背景が入らなければ本当に山で撮ったかわからないです。もしかしたら、山ではなくて植物園で撮った写真かもしれません(それが悪いことだとは思いませんが)。

被写体をクローズアップし、背景も同時に写したい時には、絞りを絞れば解決しそうな問題でもありますが、そうするとフルサイズの場合はどうしてもシャッター速度が遅くなりがちなので、三脚が必要になることが多いです。

「山登りのついでに手軽にクローズアップ撮影」といった用途では、マイクロフォーサーズのほうが有利というハナシです。

 

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M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO

背景のディティールが残る「ボケ量が少ない」写真は、山岳環境を副題としてフレームインできるので、より臨場感のあるクローズアップ(マクロ)撮影が可能となります。それを手持ちでいけちゃうのはマイクロフォーサーズの良いところ。

その逆に、背景を大きくボカして、被写体だけをクローズアップして撮影したい場合では、フルサイズの方が有利です。マクロ領域の撮影では、単純にセンサーサイズでどちらが良いのか断言できないところです。

 

ちなみにレンズの話になると、キヤノンのレンズなんて、等倍じゃない0.5倍のハーフマクロでも「マクロ!」とレンズに付いていますが、オリンパスのPROライン(高いヤツ)では「マクロ」とついていなくても、ハーフマクロばりに寄れるのがあります。

参考までに、オリンパスのM.ZUIKO 12-40mm F2.8 PROというズームレンズ(35mm換算で24-80mm相当)の最大撮影倍率は0.6倍相当です。 

フルサイズ用レンズでも、等倍マクロの広角レンズとかマニアックなものはあるのですが(これだと背景を入れた状態で花などが撮れる)、 標準画角のレンズに簡易マクロ機能がついたマイクロフォーサーズのレンズは、持っていくレンズの本数を減らせるという別の利点があります(装備の軽量化)。 

中華ブランドが出している、フルサイズ対応のマニアックなレンズ。

 

手ブレ補正機能について

手ブレ補正機能はブレ写真を減らす(当たり写真を増やす)意味で、必要な機能だと考えています。

手ブレ補正ナシより、アリの方が、手持ちで撮れる場面が増えるので、無いよりはあった方が絶対に良いというのが個人的な考えです。

手ブレ補正機能の効果でいえば、キヤノンよりもオリンパスの方が優れているという印象です。手持ちでスローシャター撮影が余裕でできます。

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沢登りのついでに手持ち撮影(MFT)

 

防塵防滴性能

オリンパスのOM-Dの中~上位機種と、PROレンズを組み合わせたときの防塵・防滴性能は素晴らしいです。

これについては完全にマイクロフォーサーズに軍配が上がります

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オリンパスのマイクロフォーサーズ中級機OM-D E-M5 Mark IIとM.ZUIKO 12-100mm F4 PRO ISはシャワーぶっかけても大丈夫でした。

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E-M5 MarkII + M.ZUIKO 12-40mm F2.8

それどころか、沢にカメラ・レンズ先端を半分突っ込んで撮影しても壊れませんでした。恐るべし、オリンパス・マイクロフォーサーズの耐水性。

※やるなら自己責任でお願いします

 

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キヤノンのフルサイズカメラとLレンズも防塵防滴を謳っていますが、せいぜい雪の中に突っ込めるぐらいですね。

キヤノンのフルサイズ一眼レフ、EOS 6Dは、-20℃ぐらいの環境で何度も使いましたがノートラブルでした。その点では頑丈だと思います。しかし、耐水性に関して言えば、オリンパスよりも信頼性は劣る印象。あえてシャワーぶっかけたりするほどの勇気はありません。壊したらお高い修理費かかるし…。

ただし、一般的な用途でいうと、シャワーぶっかけるようなことはまず無いと思うので、ここまでの耐水性が必要かと言うと…。

 

 

重量・携帯性

マイクロフォーサーズ規格のカメラの利点は、フルサイズよりも小型・軽量な点です。

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OLYMPUS O-MD E-M5 Mark IIとCanon EOS 6D

軽量・小型が売りのマイクロフォーサーズに対して、フルサイズセンサーを搭載したカメラは、カメラ本体だけではなくレンズも大型化してしまいます。

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手前のレンズがマイクロフォーサーズ対応の、M.ZUIKO 12-100mm F4 PRO。35mm(フルサイズ)換算で24-200mmをカバーするズームレンズです。

奥の2本のレンズは、それぞれキヤノンのEFマウント(フルサイズ)対応レンズ、EF24-105 F4L IS USMとEF70-200 F4L IS USMです。2本で24-200mmをカバー。

フルサイズセンサーを搭載したカメラは、豊かなボケや高感度耐性などの画質的優位性を得られる代わりに、システム全体の大型化をもたらします。

自慢の機材を見せびらかしたい場合は、デカイカメラの方が良いでしょう。ただし、でかくて重い機材を持ち運ぶのは大変です。山登りの場合なんて特に。

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晴れりゃ絶景なんですが…

確かに山の景色は素晴らしい。SNSで「山においでよ」と呼びかける勢がいるのも頷けます。しかし…

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これも山です

絶景ポイントにたどり着くまで、すっげー地味な見通しも悪い登山道を何時間も歩くという行為も「登山」の中に含まれています。

撮影機材が重ければ重いほど、歩く行為は大変になります。一般的には辛くて苦しいです。

 

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苦労して山頂にたどりついた結果がこれ

外界が晴れていても、山の上は雲に包まれて真っ白というのはよくあるハナシ。「山は逃げない」と誰かが言ってるか知りませんが、「美しい景色はチャンスを逃すと逃げます」

一般的に夏山では、午後になると雲が湧いてくるので、早朝に登った方が展望に恵まれるチャンスは高いです。荷物軽くしてサクッと登った方が、撮れ高が高い場合も。

重い荷物(機材)でへーへー息を切らしながら登った人が、山頂に着く頃にはガスに包まれていて視界ゼロで美しい景色は撮れず。一方で、早朝に山頂まで駆け上がった人は絶景に恵まれ、スマホのカメラで美しい写真を撮る…そんなことも、山ではよくあります。

何が言いたいかと言うと、装備(機材)の軽量化は山での撮影チャンスを増やすということ。豪華撮影機材を山ほど持っていきたい人は、体力をつけましょう。

軽量化で考えた場合、フルサイズよりもマイクロフォーサーズが有利です。

 

結局どっちがいいの?

フルサイズとマイクロフォーサーズ(MFT)、どちらにも利点と欠点があり、買うとしたらどちらが良いのか迷ってしまうところではあります。 

自分は、フルサイズとマイクロフォーサーズのカメラを、用途に応じて使い分けています。どっちが良いか悪いかの単純な話ではなく、用途に合っているか、合っていないかの問題です。そもそも、フルサイズ/マイクロフォーサーズのどちらかが劣っているとしたら、自分は劣っている方のカメラなど使っていません。

とりあえず参考までに、フルサイズ/マイクロフォーサーズの特徴をいかにまとめてみました。

 

フルサイズ

画質が良い(高感度・レタッチ耐性・ボケ)

重い、デカイ、嵩張る

本体・レンズともに値段が高い

自己満足感が高い

 

マイクロフォーサーズ

ボケの量は少ない

軽くてコンパクト(高い機動性)

一部レンズ・ボディの驚異的な耐水性

本体・レンズともに比較的安い

強力な手ブレ補正機能

 

Canon ミラーレス一眼 EOS R BODY 約135.8 x 98.3 x 84.4mm

Canon ミラーレス一眼 EOS R BODY 約135.8 x 98.3 x 84.4mm

 
Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 6D Mark II ボディー EOS6DMK2

Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 6D Mark II ボディー EOS6DMK2

 
OLYMPUS ミラーレス一眼 OM-D E-M1 MarkII ボディー

OLYMPUS ミラーレス一眼 OM-D E-M1 MarkII ボディー

 

 

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