厳冬期のカメラ動作について【山の写真撮影】

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-20℃ぐらいの環境でカメラを使うなら、最低動作保証温度が0℃も-10℃も誤差の範囲。

というのが最近の自分の中での結論です。カメラの話。

 

最新機種にはそこまで興味がなく、ちと古い機種での話になってしまうのが申し訳ないですが、冬山に登る人間として、今まで使ってきた撮影機材について書いていきます。

 

厳冬期登山におけるカメラの話【エラーの出現など】

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Canono EOS Kiss X2

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最初に手にしたデジタル一眼はコレ。オーストラリアで買ったので、Kiss X2じゃなくて海外名のEOS 450Dでした(中身は一緒)。

ISO感度800が個人的には上限で、持ってたタムロンの安いズームレンズは手ブレ補正ナシ。当時はそれが当たり前だった気がします。

低温下でも問題なく動作していたように思います。後述の60Dのようなエラーメッセージは出ていません。

多少水滴で濡れたことはありましたが、すぐに拭ってやれば問題無しで故障したことはありませんでした。が、知り合いのKiss使い(後発の機種)は、2名中2名とも山で使用中に壊れたと言っていたので、ハードな環境で使うのは良くないかもしれないですね。

というわけで、堅牢性についてはあまり期待していないです。厳しい大自然の環境下で末永く使うように作られた機種ではない…ということでしょう。

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雪山で使うと、カメラが雪まみれになるのは日常茶飯事。
 

Canon EOS 60D

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山でハードな環境で使うには、Kissだと心許なかったので、『防塵防滴』設計のEOS 60Dにグレードアップしました。

春・夏・秋は問題なく使用できていましたが、冬山で使用してみると、問題発生

-6℃以下の環境で使用していると「本体の温度が上がっています」という謎のエラーが発生してシャッターが切れなくなってしまうのです。気温氷点下なのに温度上昇という全くミスマッチングなエラーメッセージ。完全に何かがイカレているとしか思えません(ちなみに平温に戻るとエラーメッセージは出なくなりました)。

メーカーに問い合わせても「動作保証温度外なので対応できません」と取り付く島もなし。メーカーの動作保証は0℃まででした。それ以下の気温で環境で発生したトラブルについては一切責任を追わないという姿勢なのでしょう。

せっかく冬の八ヶ岳に持っていったのに、山の中でいざシャッターを切ろうとしたら作動せず、何も撮影できないまま帰ったことがあります。

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EOS 60Dは、こういった環境では動作が不安定でした。 

 

仕方ないので、後述のEOS 6Dを買ったんです。そして60Dは格安で友達に譲りました。その友達、モンブラン山頂でも普通に60Dを使っていました。低温になってもエラーメッセージが出たことはないと。エラーが出るのは単に低温だけの問題じゃない?今となっては検証もできないので、謎は残ったままです。

 

 

Canon EOS 6D

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当時は冬山をガンガン登り始めていた時期でしたし、もともと写真撮影のために登山を始めた身としては、冬山でも問題なく使えるカメラじゃないと話になりません。

ということで、多分60Dよりも耐久性のある素材使ってんだろうな~と思って、当時発売からそんなに経っていなかったEOS 6Dをお買い上げ。現在までメインのカメラで使用しています。

こちらは-20℃ぐらいの環境でも普通に使えました。低温下では液晶の表示切り替えがスローになったりすることもありますが、実用上はほとんど問題なし。

あ、あとは雪が十字キーの中に詰まると勝手に右側に押され続けている状態になることがあります。防塵防滴設計なのに、十字キーの右側だけが弱い。これは他の方が使っている6Dでも起きている症状なのですかね?

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EOS 6Dで撮影

Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 6D Mark II ボディー EOS6DMK2

Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 6D Mark II ボディー EOS6DMK2

 

 

OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II

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装備の軽量化や沢登りのために、強力な防塵防滴機構に惹かれて、2018年にオリンパスのカメラを購入。

メーカー的には-10℃の動作保証を謳っているので、寒さにもめっぽう強いはず…そう思っていました。

しかし、いざ厳冬期の南アルプスに持っていったら、思わぬトラブル発生。

OM-D E-M5 Mark IIは確かに-10℃ぐらいまでは問題なく動いていましたが、それ以下の気温になると動作が不安定に…。

低温下だと起動から20-30秒後には、「バッテリーが無くなりました」という表示が出て、強制的に電源OFFの状態になりました。電源を入れ直せば一応動きますが、またしばらくすると強制的に電源が切れるという状態に…。オリンパスのOM-D E-M5 Mark IIは-10℃の低温動作保証があるから、凄く寒さに強いと思ったんですが、実はそうでもなかったという、自分にとっては衝撃の事実。

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1月の八ヶ岳のアイスクライミングでは、OM-D E-M5 Mark IIは問題なく作動しました。気温は恐らく-10℃前後だったと思います。

まぁ、寒さにとびきり弱いわけではないかもしれないですが、いざ山のてっぺんまで持っていってから「動きませ~ん」じゃ済まないですよね。激寒い時にはEOS 6Dを選んだほうが確実です。

あと、ミラーレスは雪がファインダー内に入ると、ちょっとめんどくさくなる可能性。

 

結論として

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メーカーが謳う動作保証温度は、その温度内で発生したトラブルについては対応してもらえると思いますが、保証温度外で発生したトラブルについては恐らく対応されません。 

なので、-20℃とかになるような環境でカメラを使うなら、動作保証の最低温度が0℃だろうと-10℃だろうと、実質大差ナシというのが自分の結論です。 

最低動作温度が-10℃のOM-D E-M5 Mark IIが、厳冬期の南アルプスでトラブル出現したのに、最低動作温度が0℃のEOS 6Dは問題なく動いているので、冬山登るような人にとってはメーカーの保証温度なんてあってないようなものですね。厳冬期バリバリ登っちゃう人にとっては、最低動作温度保証が0℃も-10℃も誤差の範囲です。

厳冬期のアルプスの稜線上とかで、カメラがちゃんと動くかどうかは、実際に使用してみないとわからないとう半ばギャンブルのような事実。

 

新しい魅力的なカメラは次々と発売されているのですが、それが厳冬期の高峰でちゃんと動くのかよくわからないのに手を出すのには、すごく勇気がいります。最近の高級ミラーレスとか、実際どうなんでしょう?

Canon ミラーレス一眼 EOS R BODY

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Nikon ミラーレス一眼 ニコン Z7 ボディ

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ソニー SONY ミラーレス一眼 α7 III ズームレンズキット FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS ILCE-7M3K

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