パタゴニアのハードシェル、ガルヴァナイズドジャケットのレビュー

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既に廃盤になったパタゴニアのハードシェル・ガルヴァナイズドジャケットを使ってみての感想を書いていきます。

先にも述べたように廃盤製品ですが、中古品を買う時とか、同じ防水素材(H2No)を使ったハードシェルを買う時などにちょっとは参考になるかも知れません。

 

パタゴニア・ガルヴァナイズドジャケット

 

入手のきっかけ

もともとパタゴニアのプルマ・ジャケットというゴアテックスプロのジャケットを気に入って使っていました。が、トラブルがあったので返品することに。

パタゴニアのシェルジャケットのポケット位置とかシングルジッパーの具合とかが好きだったので、次のハードシェルもパタゴニアを希望。動きやすくて丈夫そうとかいう理由でガルヴァナイズドジャケットを購入。プルマ返金の差額でお釣りが来ました。

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フィット感

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フィット感は良好。

スリム・フィットということですが、レギュラー・フィットのハードシェルのプルマとフィット感はあまり変わりません。プルマはレギュラー・フィットの中でも細身らしいので、ガルヴァは一応スリム・フィットで間違い無いのかも知れません。

私は168cm、62kgでアメリカ人と比べてチビガリなのでXSサイズ着用。ぴったり目が好きでちょうどいい感じでした。中にダウンとか嵩張るものは着ません。

 

ストレッチ性

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ガルヴァナイズド・ジャケットにはストレッチ性があり、大きく動くときに、突っ張り感が無くて快適です。

話は少しそれますが、高級なゴアプロのハードシェル(ストレッチ性なし)は、動きを妨げないような立体裁断がなされています。以前着ていたパタゴニアのプルマ・ジャケットやマムートのアルバロン・ジャケットは、ストレッチ性がなくても動きにくさや生地の突っ張りは皆無でした。

何が言いたいのかと言うと、きちんと立体裁断されたハードシェルはストレッチ性が無くても動きが妨げられることはないので、俺は個人的にハードシェルのストレッチ性ってあまり売りにはならないと思っています。むしろ、ストレッチ素材に頼ってカッティングが雑になっている製品もあったりして。

ゴチャゴチャ書きましたが、ガルヴァナイズド・ジャケットは動きやすいです。雪山登山やアイスクライミング中にノンストレスで動けました。

 

防風性

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たいてい寒風にさらされる冬の八ヶ岳登山。

問題ありません。完全防風です。厳冬期の稜線で強風に吹かれ続けても、風が抜けて寒いということはありませんでした。

 

撥水性

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新品のときには流石に撥水性はあったと思いますが、3回ぐらい洗濯した後にアイスクライミングに着ていったら、滝の飛沫でジャケットの表面が濡れました。

新品のジャケットにペットボトルで水をかけて「こんなに撥水します」はマジで意味のないデモンストレーション。

以前から思っていますが、パタゴニアの耐久撥水加工(DWR)はすぐに消滅する印象。撥水が大事な人は、まめなアインがけや撥水スプレー等の使用を。私はめんどくさがりなので、多少撥水性が落ちても放置しています。

 

防水性

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ラッセルして雪まみれ。雪ぐらいなら問題なし。

ガルヴァナイズド・ジャケットにはパタゴニア独自の防水透湿素材のH2Noが使われています。冬山用のハードシェルなので、雨の中で使ったことはありませんので評価できません。とりあえずアイスクライミング中に滝の飛沫でちょい濡れたぐらいでは、中までの浸水はありませんでしたが、この程度で防水性能は語れません。

友人が同じH2No素材のM10ジャケット言う軽量ハードシェルを着ていましたが、大雨の中だと多少染みてくるとか言ってたような。ちょっと昔の話なので、今のH2No製品がどうだかは知りません。まぁ大手アウトドアブランドだし、そこまで酷いとは思えないんですが…。

 

透湿性

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暑くなればすぐ脱ぐ。基本だけど大事かも。

パタゴニア独自の防水透湿系素材H2No。ゴアテックスと比べてどうなのかで気になる点は、透湿性(かいた汗が抜ける性能)でしょう。

コレは残念ながら、ゴアプロ(ゴアテックス)の方に軍配が上がりました。ガルヴァナイズド・ジャケットは、冬山で使う分には問題ない透湿性なのですが、ゴアテックスと比べると、H2No素材のジャケットは中が蒸れやすい印象です。

アイスクライミングみたいに、ストップ&ゴーを繰り返す場合は、止まっている間に汗が徐々に抜けて行ってくれるのですが、ずっと歩き続けるような有酸素運動を何時間か続けた場合、汗の放散が追いつかずに、ジャケットの内側が少しずつ結露してしまったことがありました。-10℃とか寒い気温の時にはそんなに汗をかかないから良いんですが、氷点下ヒトケタ前半で陽が当たってくるような条件下で行動し続けると、汗が結露してくるような印象です。汗っかき体質やインナー素材で結露してくるレベルには差はあるでしょう。

気温など条件に合わせて、ジャケットやインナーを脱ぎ着して温度調節すれば対応できるレベルなんですが…まめな脱ぎ着とかめんどくさいじゃないですか。

 

活躍シーズン

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厳冬期、近場の山でご来光ハイキング。

527gと最近の軽量シェルと比べたら明らかに重量級です。重量分の嵩張りはあるので、ジャケットが基本着っぱなしになる冬山で使うのに向いていると思います。アイスクライミングでは非常によく活躍してくれました。

防水素材が使ってあるのでレインウェアとして使えなくもないですが、ザックの中で眠っている時間の方が長い夏山でこの嵩張るハードシェルを持っていくのもねぇ。私の場合、夏山とかなら迷わず薄手のレインウェアを持っていきます。

晩秋の高山~厳冬期~春の北アルプスとか幅広く使いたいなら、もうちょっと薄手のハードシェルの方が便利かと。使おうと思えば多分オールシーズン使えますけど。

 

耐久性

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冬限定でまるまるワンシーズン使いました。ワンシーズンではあまり耐久性を評価できません。50Dの生地を使っているので、薄々素材のカッパみたいなハードシェルよりは耐摩耗性が高そうです。

実際岩に背中を擦り付けるようにしてクライミングした時も、ガルヴァナイズド・ジャケットは安心感がありました(絶対に破れないという訳ではありません)。

ゴアテックスは永久保証を謳っていますが、防水素材のH2Noって耐久性というか製品寿命はどうなんでしょ?

 

まとめ

お気に入りのパタゴニアのハードシェル、プルマ・ジャケットの代わりとして取り急ぎ購入したガルヴァナイズド・ジャケットです。

ワンシーズン使った総合評価としては、冬山で使う分には問題無し。だけど細かい点を見れば、個人的にはゴアテックス・プロを使ったハードシェルの方が好みです。ただゴアプロのハードシェルと比べたら、H2Noを使ったガルヴァの方が何万円か安いので、値段を考えればこちらを選択するのもありでしょう。中の人が強ければいくらでもカバーできる程度の性能差です。てか、これだって十分高性能です。

生地は今どきのハードシェルの中では厚めで、厳しい環境で酷使するには安心感はあります。デメリットとしては多少の嵩張りがあること。日本の山で使う分だと、快適に使えるシーズンは、軽量なハードシェルと比較したら限られてしまうかも知れません。

 

パタゴニア公式サイト メンズ・デュアル・アスペクト・ジャケット

2022F/W製品からは、防水素材H2Noを使用したハードシェルは、デュアル・アスペクト・ジャケットというものになっています。生地が30Dナイロンになって軽くなったり、ダブルジップになったりと、いくつか相違点みられます。

ガルヴァナイズド・ジャケットは廃盤です…。

 

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