アイスクライミングに使用。氷爆登攀でディーアイが使っているアイスクライミング用のアックスは、グリベルのテックマシンカーボンです。
ハンドルが握りやすく、よく刺さるので気に入っている製品です。実際に1シーズン使ってみたので、今回はこのアイスアックスについて書いていきたいと思います。
Grivel The Techmachine Carbon
詳細ビュー
ピック
ピックは他のメーカーと比べても、一段と鋭い印象。(写真のものは、一度研ぎ直しています)。氷にスッと刺さり、安定感があります。
先端から最初の返し部分までちょっと離れているので、繰り返し問でもある程度長持ちしそうな印象。
返しの部分も鋭くて、肩に掛けると食い込んでちょっと痛いですね。肩掛けするとウェアにも悪そうです。
シャフト
シャフトはグリベル独特の『Gボーンシャフト』という形状で、中央部分がくぼんでいます。これにより、より高い強度を実現しているそうです。
カーボン柄がカッコイイ。傷が目立ちやすいのがちと欠点ですが。
テックマシンカーボンは、名前の通りシャフトがカーボンファイバー製です。カーボンシャフトなので、極寒の時アルミシャフトよりも冷たさを感じにくいのも良いです。ただし、この形状のアックス、個人的にはシャフトを握る機会ってあんまりないような…。
カーボンはアルミと比べて、衝撃吸収性に優れています。そのため、打ち込みの際に衝撃を吸収し、氷を壊しにくいという話ですが…自分程度の実力では、アルミシャフトのアックスと比較しても正直よく分かりませんでした。
ハンドル
このアックスで自分が惚れ込んだ点。ハンドルの形状が手の形にピッタリとフィットします。
アイスクライミングをする際に、基本的にずっと握っていることになるので、ハンドルのフィーリングはとても大切だと思います。グリベル・テックマシーンのハンドルは、手に違和感なくフィットします。
しかし、欠点も…
ハンドルが少し小さめな感じです。
作業用の薄手グローブ。サイズはL。
違和感なく握ることができます。
ブラックダイヤモンドの『パニッシャー』というアイスクライミング用中厚グローブ。サイズはM。
握り心地は上々ですが、中厚グローブでなんとかギリギリといった印象。
上と同じくブラックダイヤモンド社製のグローブ、『ソロイスト』(旧モデル)。-26℃まで対応する、厳冬期用のグローブです。
厚手のグローブをしてしまうと、小指部分が窮屈です。自分より手の小さい人は問題ないかも知れませんが、これより手の大きい人は小指がはみ出してしまうかもしれません。
自分は手汗かきなので、アイスクライミングの際には中厚グローブをメインに使っていますが、厚手のグローブを使う人は要注意。
購入の前に、My厚手グローブを持参して店頭でハンドルの握り心地に違和感がないか確かめておくことをおすすめします。
ハンドル下に付いているスパイクは、氷へのアプローチで急斜面を登下降する時に役立ちます。
アイスクライミングで使用してみた印象
湯川、霧積温泉、神津牧場の氷爆、善五郎の滝、南沢小滝大滝などで使用しました。
テックマシンカーボンは、長いアプローチのあるアルパインアイスよりも、純然たるアイスクライミングにより相性が良いでしょう。
歩行補助につかえるハンドル下のスパイク付きなので、もちろんアルパインでも使用可能です。
鋭いピックのお陰で、それほど力を込めなくても氷にスカッと決まります。握りやすいハンドルのお陰で、斜度の強いルートが登りやすいです。反面、傾斜の緩やかなルートはクォークなどのバナナ型シャフトの方が使いやすいかも知れません。
パタゴニア・アセンジョニスとパックに装着したところ。黄色と黒のカラーが個人的には凄くカッコイイと思います。
乗鞍山麓、氷結した善五郎の滝を登攀中。
写真はトップロープにして撮影しましたが、リードで楽しく登れました。
このアックスを使うようになってから、リードでパンプしにくくなったような感じです。サクッと刺さり、過剰に食い込むことも少なく、握りやすいハンドルが無駄な握力の消費を抑えてくれる印象です。
自分に合ったアックスを使うことで、より登れるようになり、アイスクライミングが更に楽しくなりました。
マイナス点も少々。カーボン製でアックスが軽め(?)なので、気温が低い環境で、ガチガチの氷結状況下では、アックスを打ちつけようとしても時に弾き返されることがあります。
この辺は重量重めのBD製や、ピックウェイトを装着できるペツル製のアックスの方が、硬い氷には刺しやすいかも知れません。
テクニックでカバーできる程度の差ではありますが…。
個人的に凄くフィーリングが合う、非常に使いやすい、良いアイスアックスです。
今後、このアックスを引っ提げて、いろいろなアイスルートを登ってやろうと画策中です。
定価の安いアルミシャフトのバージョンもあります。個人的には見た目(ここ大事)は、カーボンの方が好きですが。アルミシャフトバージョンも、ハンドルの握り心地やピックの鋭さは変わらずです。
ピュアアイスよりも長いアプローチを含んだアルパインアイス的な使用を目的とするのであれば、グリベル社製ではこちらも使い勝手が良さそうですね。
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