長野県の木曽を代表する名渓・柿其(かきぞれ)渓谷へ、沢登りに行ってきました。泳ぎあり、登りあり、景観良しで、素晴らしい内容の日帰り沢でした。
場所:長野県、南木曽町、柿其渓谷
期間:2019年8月11日
登山タイプ:沢登り、日帰り
メンバー:ディーアイ、miyu(妻)
木曽川水系 柿其川本流 遡行
アプローチ
自宅のある諏訪エリアから、権兵衛トンネルを抜けて木曽へ。
国道19号をしばらく南下し、『柿其渓谷』の標識に従って進みます。
『柿其川』と『岩倉川』の分岐を柿其川方面へ。時々分岐の現れる細い道を、標識に導かれるまましばらく走ると、運転の目的地である柿其渓谷駐車場に到着します。
柿其渓谷の主な駐車場は2つあり、奥に下った先にある駐車場の方が沢に近いです。しかし、奥の駐車場に行く道は細く、すれ違いが困難なところがあり、大きな車の場合で混雑する日の場合、手前側にある第二駐車場に敢えて車を停めるのも手です。
この牛ヶ滝は直登不可のため、展望台まで進む手前にある東屋の近くから、左岸(進行方向右側)の巻道へと入ってきます。
有名な沢だけあって遡行者は割と多そうなので、踏み跡は比較的明瞭。途中の木の枝に目印となる赤テープが巻いてあるところもありました。
柿其渓谷は泳ぎ系の沢なので、気温が高い日を選んで入りました。それが祟って、入渓までが暑くて辛かったです。そんなに長時間歩いたわけではないのに、直射日光が当たっているわけでもないのに、汗ダクダク。沢に入るまでに熱中症になるかと思ったぐらいです。
これから柿其川の本流遡行のはじまりです。
柿其川入渓
牛ヶ滝の直上の岩からは、沢まではそれなりの高さがあるので、もう少し巻き進んだところから入渓します。
ゴルジュ帯の始まり
ここは見えている滝の左奥に進めるところがないか、泳いで探しに行ってみたけれど、奥は行き止まり。
滝右側の岩棚の上へと登り、側壁伝いに滝を突破。
頼れる手がかりがほとんど無く、足元は滝側へと外傾しています。沢靴のラバーソールのフリクションを信じて足を踏み出すと、意外と立てます。
柿其はやっぱりラバー!
ここは左のクラック沿いに登れるらしいのですが、我々は無理せず、ちょっと戻ったところから右岸(左側)から巻きました。巻きはカンタン。この辺から滝見の登山道?へと合流もできます。
この滝も右岸(左側)から簡単に巻くことが可能です。
左右に切り立った断崖もなく、太陽の光が差し込むのでこの場所は休憩に最適…
と思いきや、気温が高くなった影響か、それまで息を潜めていたアブなどの虫が現れ始め、行動を止めるとまとわりついてくるようになりました。
ポカポカと陽の当たる休憩適地はアブによって邪魔されるので、光の当たらない、どちらかといえば休憩適地ではないところで一息入れました。
霧ヶ滝
落差15mほど。釜を泳いで左の岩棚から登ります。先行パーティが登攀中だったので、しばらく順番待ちをすることに。途中太陽の光が陰る場面があり、全身が濡れた状態で日差しがなくなると、真夏でも寒いと感じました。
霧ヶ滝の登攀は、落口の左側にある岩棚スタート。最初は岩棚をトラバースして、滝の水流左側を登ります。棚から水線へと移るところが、歩いていどリーチがないと怖そう。
水流左側に入ると、適度に手足を置くスタンスがありました。滝の落ち口は、「良いホールドが無くフリクション勝負」と、他の方が書いた霧ヶ滝登攀の記事には書いてありましたが、ラバーソールのフリクションを信じていけばそれほど困難とは思いませんでした。フェルトだったら結構怖かったかも知れません。
使用したプロテクションは、岩棚のトラバース中にフォローが進み易いよう、灌木にスリングを2箇所巻きつけ(落ちた場合、支えられる強度があるかは怪しいところ)、水流に入ってからはキャメロットX4の0.3、0.4をひとつずつ使用。滝の落ち口にはクラックと、残置ピトン2本ありました。ロープの長さは30mで問題ありませんでした。
まだまだ続く柿其渓谷
箱淵とよばれるスポットで、右岸(進行方向左側)を走っていた林道は、橋を通って左岸に渡されます。箱淵以降、エスケープは左岸へ。
箱淵は30mほどの、切り立った岩壁に挟まれた場所。入り口の水深は浅いですが、すぐに足が届かなくなるので泳いで突破する必要があります。
この日は川の増水はなく、問題なく突破することができましたが、大雨の後など、増水時は通行が厳しくなるかも知れません(そもそも、増水時にここまで遡行できるかは不明ですが)。
箱淵の後は、比較的穏やかな癒やしの渓相が続きます。
相変わらず数匹のアブがまとわりついてくる状態だったので、日の当たる場所でゆっくり休憩というわけにはいきませんでしたが…
足の着かない場所はところどころ泳ぎを交えながら、柿其の類まれな渓谷美を堪能しながら進んでいきます。
この写真を撮った少し後、カメラをザックにしまって泳ぎを交えて進んだのですが、手違いでザックを完全水没させてしまいました。
カメラを入れていた耐水性のある生地で作られていたザックのポケットが、水没の影響で完全にプール状態になり、そこにカメラが浸かった状態に。
沢登りで使用しているカメラはオリンパスのOM-D E-M5 Mark IIという機種で、これまで一度もトラブルはありませんでした。
滝の飛沫を何度も浴びたり、時には半分水に浸けたような状態で何度も撮影を行ってきたOM-Dでしたが、完全水没がある程度の時間あったことはマズかったようで、カメラ内部に浸水が。
そして、浸水の影響でOM-D E-M5 Mark IIは起動しなくなってしまいました。
カメラが壊れたことで、テンションは急降下。
いくらか進んだ後、適当に赤テープで印された場所から左岸に走る林道へと這い上がりました。
林道へと上がった頃、先行していたパーティーが林道を下ってくるのを発見。話をするとこの先にある滝(雷滝)を登ってから、林道へと上がって、下山している最中だという。
柿其川本流を遡行する場合、その雷滝を登ってから林道へと脱渓するのが一般的な様子。我々ももう少し進んでおけば良かったかもと、ちょっと後悔。
しかし柿其川は素晴らしく良かったし、家からそんなに遠い場所でもないので、来年また来れば良いという話になり、今回はまっすぐ帰ることに。
林道歩きはわずか1時間ほどで、柿其渓谷の駐車場に戻ることができました。
水没故障したOLYMPUS OM-Dのその後
装備
ロープは8mm 30mを使用。
柿其の難所を突破するにはラバーの沢靴が良いと思います。(自分はモンベルの靴を使用)
今回は軍手を使用してみましたが、問題なく良い感じでした。
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