【12月の北アルプス】鹿島槍ヶ岳 赤岩尾根から

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2019年12月上旬、中部山岳地帯の雪は全体的に少なかった。その中でも比較的雪が多そうだったのは、北アルプス北部。本格的な冬の到来の前にラッセルしたり、雪と戯れたりしておきたかったので、北アルプス北部は後立山、鹿島槍ヶ岳へと日帰りで登ってきました。1日しか休みがなかったので、登頂できなくても行けるとこだけでいいやと、暗いうちから登り始めました。

 

場所:長野県、大町市、鹿島槍ヶ岳

期間:2019年12月11日

登山タイプ:雪山登山(日帰り)

メンバー:ディーアイ(単独)

 

初冬の鹿島槍ヶ岳 赤岩尾根ルート

 

基本データ

鹿島槍ヶ岳:標高2889m

ルート:大谷原→西俣出合→赤岩尾根→冷池山荘→布引岳→鹿島槍ヶ岳南峰

下降:同ルートピストン

積標高差:1760m

歩行距離:8.7km

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今回歩いたルート図

登山に使用した地図:山と高原地図 鹿島槍・五竜岳

山と高原地図 鹿島槍・五竜岳 (山と高原地図 36)

山と高原地図 鹿島槍・五竜岳 (山と高原地図 36)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 昭文社
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: 地図
 

 

 

登山開始

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大谷原の登山口

登頂できるにしろ、できにないにしろ、どちらにしても長丁場になるのは確実だったので、暗いうちから出発しました。

駐車場付近や道路脇にはチラチラ雪が残っていましたが、道路上に雪は無し。

登山ポストを過ぎ、橋を渡ってから林道を行きます。

大谷原先の一般車進入禁止の林道は、数ヶ所分岐がありますが、標識無し。暗いのもあってどっちに進むかちょっと迷うこともありましたが、登山地図的に正しそうな方向に進んでいったら合っていました。

林道を1/3ほど進むと、作業車の雪掻きあとが突然途切れて雪上を歩くことになります。

この時期全く期待していなかった他登山者のトレースあり(足跡の主とは会うことはありませんでしたが)。方向的にも間違っていなかったので、トレースに従って進みました。

堰堤のトンネルを潜ると赤岩尾根の取り付き。少し回り込んでから、つづら折りになった急登を登ります。

雪質はパウダー状の新雪と、数日天候が安定していたので一部水分を含んだ小締まり様。トレースは1~2人分のみなので、時々ズボッと埋まって足を取られることもありました。

 

余談ですが、行程の長いルートは自分の場合、基本的に暗い時間から登り始めることが多いです。明るくなってくる頃には行程の半分が終わっていることもあるので、一般山行記録的なブログは書きにくかったり…(写真が少ないので)

 

夜間登山には高出力で信頼性の高いヘッドライトが必須。

愛用のヘッドライトはブラックダイヤモンドの『ストーム』というモデル。

 

赤岩尾根上部

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登山口からここまで写真なし

高千穂平(2049m)まで上がると、一旦急登は終了。木々がまばらとなり展望が開けます。同時に、日の出時間が近づいてきたため、周囲が徐々に明るくなりました。ヘッドライトを消す。

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先行者のトレースあり

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赤岩尾根から見るご来光

赤岩尾根の登り途中でご来光。周囲の木々がちょっと写真写りの邪魔になるので、もっと開けた場所で見たかったのが正直なところだが、写真だけ撮りに来たわけではないのでまぁいいか。

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進行方向

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目的地となる鹿島槍ヶ岳山頂方面

赤岩尾根上部は痩せ尾根となっているので、傾斜が急になる前にアイゼン装着。ストックは適当なとこにデポしてピッケルに切り替えました。でも、稜線まで上がってしまえば後は滑落危険箇所はなく、比較的傾斜の緩い歩き中心になるので、ストックは置いていかない方が良かったかも。

 

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稜線に出る直前が急斜面。先行者トレースは稜線まで雪壁を直上していましたが、雪壁を上がりきってもどうせそのあとすぐに下らないといけないし、傾斜が急で下り(帰り)は怖いので、夏道(雪に埋まっていますが)通りにトラバース。

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結構な傾斜で、一歩目にやや躊躇。過去、トラバース中に滑落死亡事故も発生している箇所なので、慎重にいきたいところです。

歩き出してしまえば、足は膝ぐらいまで埋まるので、逆に安定。埋まってしまえば落ちない。

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トラバースは小尾根に区切られ三ヶ所。二回目がモナカ雪で進むのにやや苦労。自分の思うところとは違った箇所に先行者がトラバースしたトレースもあり。帰りで楽したいので、自分の思うルートをラッセルし作った。

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トラバース完了

 

冷池~山頂

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無雪期には何度も見た景色

稜線まで上がると、見慣れた山々が雪をかぶった景色が広がっていた。美しい。稜線上に出ると、予想したとおりに風が強い。

東面は雪が多いですが、風が吹き付ける西面や稜線上は雪が風で飛ばされ、岩が露出している箇所も多かったです。

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一旦樹林帯まで下って、冷池山荘まで登り返します。山荘付近は風を遮られるので休憩によい。

山荘あたりから尾根上は雪が多く、先行トレースは稜線上からはスノーシューのものとなっていました。ツボ足だと膝まで踏み抜くこともしばしば。

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冷池山荘(冬季閉鎖中)

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冷池のテン場

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登ってきた赤岩尾根を振り返ったところ

 

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布引岳の登りまでいけば雪は減りそうでしたが、ツボ足だと潜ってしまって遅々として進まず。

短時間の装着になることはわかっていましたが、ワカンを装着。バンドタイプだと装着に時間がかかったり、歩き始めてすぐに増し締めがすぐ必要になることがあったりと、装着が面倒なワカンですが、ラチェット式は着脱早くて便利。

すぐ先でワカンを外すことが目に見えている場合、今までだと「面倒だからそのまま進もう」となって無駄に体力を消耗してしまうことありました。ラチェット式ワカンは着脱が早いので、必要だと思った時、気軽につけられるのが強みです。

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布引岳手前でワカンをデポ

布引岳に差し掛かる辺りから、稜線に吹き付ける風は強烈に。風速予報は17m/sぐらいだったか。気温が高め(この時期にしては)だったので、バラクラバやゴーグルは使わず。

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最後の登り

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雪庇は少しずつ発達中。一冬かけて大きく育つことでしょう

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布引岳。東面と西面で雪のボリュームが全然違う

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後立山東側、美惑の尾根たち

最後は体力もだいぶ使ってしまったので、休み休み歩行し、登頂。

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鹿島槍ヶ岳頂上(南峰)

いくらトレースがあっても、時々雪に足を取られるし、完全冬山用の装備だったので、それなりに時間もかかって疲れました。北峰登頂は割見送ることに。

寒い風が吹いていましたが、山頂からの景色を存分に楽しみます。

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鹿島槍ヶ岳南峰からの景色

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鹿島槍北峰と五竜とか後立山

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立山・剱岳など

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冬の剱岳

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爺ヶ岳も風が強そう

 

下山

天気予報ではこの日は午後から曇り予報。翌日は大荒れとのこと。登頂の喜びもそこそこに下山開始。

いつの間にか高曇りの空となっていた。

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頂上付近は絶え間ない強風

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帰り途中

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高層に雲が湧いてきていた


爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳間の稜線を離れ、赤岩尾根に差し掛かるとそれまで吹き続けていた風がピタリと止んだ。

登りで踏みしめてきた新雪は、気温の上昇で雪団子になるかもと危惧していましたが、高曇りの空のお陰か、アイゼンに雪が付着することは思ったほどはなかったです。

痩せ尾根の赤岩尾根は少しだけ気を遣うところもあるので、下山は慎重に。ところによっては爺ヶ岳東尾根ぐらいの難易度に感じました。

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西俣出合あたり

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登りでは暗くて見えなかった赤岩尾根末端

下部では水分を含んだ雪に足を取られて滑ることもありましたが、トラブルなく赤岩尾根を下りきる。

あとは林道を大谷原までダラダラ歩いて駐車場へ。

赤岩尾根では結局誰とも遭遇せず。

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大谷原登山口

 

使用した道具

アウター:パタゴニア リーシュレスジャケット(廃盤)

 

ミッド:パタゴニア R1テックフェイス・プルオーバー

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ベース:スマートウールの半袖+ミレーの網

 

ボトム:モンチュラ ヴァーテックスパンツ+パタゴニア Cap1タイツ(廃盤)

 

ストック&ピッケル(BDのやつ)

 

ザック:アークテリクス アルファAR35L

カメラ:キヤノン EOS R+RF24-105mm F4 L IS USM

 

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www.dimountainphotos.com