【遡行記録】 北アルプス、有明山の沢、曲沢 【沢登り】

北アルプス、燕岳にほど近い有明山の沢、中房川支流曲沢での沢登り。

 

場所:長野県、信濃川水系中房川支流曲沢(有明山の沢)

登山日:2018年7月17日

登山タイプ:沢登り、日帰り

メンバー:ディーアイ、店長

 

信濃川水系 中房川 曲沢の遡行

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2018年7月は異常な程の猛暑続き。

他県と比較し涼しいと言われる長野県でも、連日35℃近くの最高気温という非常事態。脳ミソがとろけ出てしまいそう。

「こんなクソ暑い時には沢で涼もう!」と、山仲間の『店長』に声をかけ、二人で沢登りに出かけることを決定。行き先は、比較的近くて滝登りが楽しめる沢、北アルプス有明山にある、曲沢という場所にしました。

 

有明山

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有明山(ありあけやま、ありあけざん)は、飛騨山脈(北アルプス)にある標高2,268 m大糸線有明駅の西北西10.2 kmに位置する。その独特の台形の山体が富士山に似ていることから有明富士(信濃富士・安曇富士)とも呼ばれる郷土富士である。

wikipediaより

長野県と岐阜県にまたがる北アルプスで人気の名山、燕岳(つばくろだけ)にほど近い場所にあるのが有明山です。

燕岳からは、登山口がある中房温泉・中房川を挟んでおおよそ対岸に位置します。

安曇野(松川)から見ると、有明山は結構目立つ場所にあり、印象には残りやすい山ではありますが、近くの燕岳があまりにも有名で人気のため、有明山に登ったという人はあまり多くはないのでは?

ディーアイもこの近辺には何度も来ていますが、有明山のピークを踏むのは今回が初めてとなりました。

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有明山に登る人は少ないですが、燕岳(2763m)は人気の山です。

 

 

曲沢とは

曲沢(まがりさわ)は、燕岳を源流に発する中房川(なかぶさがわ)に注ぐ支流の沢です。

有明山荘から少し下った先にある曲沢橋から入渓可能。有明山山頂近くの稜線まで抜けることが可能です。

水流は多くありません。花崗岩からなる連瀑が特徴で、泳ぎは無く、滝登りの多い沢となっています。

 

曲沢遡行

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下界では猛暑でしたが、中房の朝は意外と冷え込みました。

今回の沢登りでは下山は有明山の登山道を使用します。下山口(有明山登山口)のある、中房第三駐車場に車を停めました。

有明荘の裏側にある駐車場です。

 

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中房第三駐車場から、歩いて入渓地点へ向かいます。

 

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曲沢の入渓地点となる『曲沢橋』。

第三駐車場(有明荘)から歩いて10~15分ほどです。

 

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ふたつの堤防を右岸(下から見て左側)から巻いて、しばらくは平凡な沢を歩いていきます。

この先に本当に、面白い沢があるのかよ…?と疑問を抱かざるを得ないほど、出だしは平凡かつ水流の少ない沢でした。

 

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しばらく歩いていくと、それっぽい滑床や小滝が出現。

 

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最初の滝は右側のスラブ(垂直より緩やかな斜度の岩壁のこと)から越えていきました。

手がかりがほとんどなく、スラブに足だけで乗り込む場面があり、結構ヒヤヒヤの登りでした。

 

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その後には、30m程度のトイ状(細くて傾斜が緩やかな)滝出現。

 

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トイ状滝は、下半分ほどは傾斜がゆるいのでフリー(ロープなし)で進みます。

その後、傾斜が強くなってきたので無理せずロープで確保しながら登りました。

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壁がツルツルなので、注意して足を置かないとズルっと滑ります。

 

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トイ状の次は8mほどの滝が出現。右側から登りました。階段状で快適。

 

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8m滝を越えると、すぐ先にゴルジュ出現。

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ゴルジュはフリーで突破。滝の流れの中に意外と良いホールドがありました。

冷たい水に濡れながらの滝登り。下界は猛暑で酷いことになっていそうですが、ここでは寒いぐらいです。

暑い日に涼みたいなら、やっぱり沢登りですね!

 

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ブロック状の岩塊が積み重なった場所。

曲沢、最初は平凡で対して面白くもな沢歩きでしたが、最初の滝が出てきてからは飽きずに登れる面白い地形の連続です。

 

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左にチョックストーン(隙間に挟まった石)がある、ツルツルスラブ滝。

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このスラブ滝の登りは、チョックストーンを掴むまでが核心。

 

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この滝は直登せずに巻きました。(直登してみようと提案したけど却下されました…)

巻きは、滝右側の岩と樹林帯を交えて進みました。なかなかシビれる巻道でした。

f:id:di82:20180719222233j:plain巻道を終えたところ。

大事を起こさないために、結構頻繁にロープを出して登りました。

 

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小滝の登りを交えながら、美しい沢を登っていきます。

 

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S字の大滝が出現したあたりで休憩。

この大滝は左側(右岸)から巻きました。

 

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この大岩が現れたところで、曲沢の遡行は約半分終了したことになります。

体感としては「もう半分!?」といった感じ。

曲沢は、コンパクトな沢です。

 

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二股は、左側へ。

 

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遡行半分経過の目印となる大岩を越えてからは、小さな滝が時々出てくる程度。

 

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この二股も、左側へと行きます。

このあたりから沢の水量が明らかに減ってきました。

 

 

f:id:di82:20180719223430j:plain二回目の二股を左に進んでからすぐに出てくる階段状滝。

快適に登れました。

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この辺の滝は傾斜がゆるく、そんなに難しい登りではないのですが…。

水流がすくなくても岩がヌメっており、気を抜くとツルっと滑ってしまいそうになるので登りには気をつけたいところ。

登りは簡単そうに見えたのでロープは出していません。その分、落ちた際のダメージは大きいので、絶対に落ちないように慎重に進みます。

 

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今回の遡行で登るのに最も手間取った、木が挟まった30mほどの滝。

水流は少なく、岩の割れ目を流れている感じです。

ちょうど手頃なところに中間支点(万一落ちても止まるとこ)がなかなか取れず。ピトン(ハーケン)を2枚使用。核心部に挑む時、プロテクションを取れそうな場所を見つけるのに苦労しました。

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沢の中に挟まった太めの流木で支点を取り、後続の店長をビレイ(確保)の図。

 

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 狭まった30m滝を越えると、水流は一段と細くなっていきます。

 

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標高を上げていくと、後ろの山々(北アルプスの表銀座コース)がよく見えてきます。

 

f:id:di82:20180719224148j:plain水量がかなり少なくなった曲沢上部。これは滝登りではなく、ほとんど岩登り。

階段状で楽々快適に登っていきます。 

 

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この二股は右側へと進みました。

水流がだいぶ乏しくなってきたので、この手前で休憩。

これからの灼熱の登りと下りに備えて、ここで最後に水を補給しておきます。

 

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二股を越えるとガレ場の登りです。

足場がグズグズで崩れやすく、傾斜も急なので登りには結構神経を使います。

ところどころ、岩登りの要素も入ってくるので気が抜けません。

急激に気温が上がってきたのでレンズが結露してしましました。

だいぶ暑くなってきた…

 

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稜線が近づくとちょっとしたヤブ漕ぎあり。そんなに長くないのが救い。

 

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稜線まで上がると有明山の一般登山道と合流です。

ガレ場の登りや藪こぎを思うと、素晴らしく快適です。

 

有明山登頂と下山

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とりあえずここまで来たので、有明山のピークは踏んでおくことに。

山頂まではそんなに距離がないので、水に濡れた沢装備一式はその場に置いて、空身で山頂を目指しました。

 

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山頂付近からの長め。北アルプス、燕岳周辺が見えています。

良い天気です。

夏らしく、雲が湧いてきていますね。

 

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f:id:di82:20180719224839j:plain 沢登りの終了点である稜線から約15分ほどの歩きで、有明山の山頂(2268m)に到着しました。

標高が2000mを超えているだけあって、思ったよりは涼しい感じです。

 

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山頂を踏んだ後は早々に下山開始。

有明山の登山道…クサリ、ハシゴ、トラバースの連続。一般登山道にしては急斜面でなかなかタフな山道でした。

日本三大急登とか言われるお隣燕岳の合戦尾根よりも確実にハードな道と感じました。

 

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無事、有明山登山口に下山。

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暑さと急斜面の下山ですっかりバテてしまった店長。

この後、ほてった体をクールダウンするために中房川にダイブです。 

 

おわりに

曲沢、コンパクトで滝登りの要素が詰まった楽しい沢でした。

泳ぎ要素がゼロなので、全く泳げない(ディーアイのような)人でも楽しめる沢です。

滝登りの連続ですし、花崗岩質でヌメっている箇所も多いので、ロープ確保やクライミングの技術がある程度必要になってくる沢でした。

水流が途絶えた後も、詰めの時間がそんなに長くないし、藪こぎも少なめだったのが、真夏の暑い日に登る中では良かったです。

日帰りで北アルプスの沢に登りたいという方は、検討してみてはいかがでしょうか?

 

沢登りで役立つ装備

ファイントラックのドライレイヤー(Tシャツなどのベースレイヤーの下に着るもの)は、濡れた時の汗冷えを軽減する、沢登りの必需品。

 

沢で使っているザックです。沢だけでなく、登山やクライミングにも活躍。

 

ドライバッグは、沢登りで濡れて困るものを入れるのに必須。モンベルのドライバッグは、丈夫に作られているので信頼感があります。

 

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