【瑞牆山】十一面岩正面壁『春一番』

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11月後半、ほぼオフシーズンとなった瑞牆山(みずがきやま)へとマルチピッチクライミングに行ってきました。

これで瑞牆のマルチは2回目。今回は瑞牆に足繁く通う強靭なクライマーであるE中さんに連れていってもらうような形となりました。

 

場所:山梨県、北杜市、瑞牆山

期間:2019年11月21日

登山タイプ:フリークライミング(マルチピッチ)

メンバー:ディーアイ、E中

 

十一面岩正面壁 春一番 5.11b PD 10P

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駐車場から見る十一面岩(左)

 

アプローチ

瑞牆通であるE中さんから、「日当たりの良いエリアはまだギリギリ登れる」という情報のもと、奥秩父の一大クライミングフィールドである瑞牆山へと向かいました。

集合場所とした諏訪の気温は、朝で-2℃。太陽が出てきても、気温はなかなか上がってきてくれません。

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駐車場に車を停め、クライミングギアを引っ提げてアプローチ開始です。芝生広場に霜が降りていました。

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駐車場のある芝生広場方面から、十一面岩へと向かって奥に。気温が低いため、歩いてもなかなか身体が暖まりません。

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『春うらら』などのルートで有名な、末端壁

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十一面岩末端壁と八ヶ岳

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これから向かう十一面岩正面壁

末端壁を通り過ぎてガレ場を登って行くと、今回の目的地である十一面岩の正面壁画見えてきました。

駐車場から50分ほどの歩行で、十一面岩正面壁『春一番』ルートの取り付きに到着しました。

 

クライミング

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スタート地点

『春一番』ルートの最初から3P目までは、正面壁の代表的なルートである『ベルジュエール』と共通です。

 

1P 5.11b 30m

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1P目が今回のルート中で最もグレードの高いピッチです。いきなり最初のボルトまでが結構遠い。念の為したのクラックでカムを効かせて登りましたが、ボルトまでは大して難しくないです。

一本目のハンガーボルトにクリップした後から本番開始。いきなり凹角に入るところで手こずる。気温が低く、岩を触っていると指の感覚が無くなって来てしまうので困った。

何度かテンションを入れてしまいましたが、なんとか突破。瑞牆のルートはひとつのピッチが長いです。

1P目は、変化に富んだ面白い内容でした。これ単体でも★★ぐらい付きそうな感じ。

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1P目終了点から下を見下ろす

取り付きと1P目のルート下部は極寒の世界でしたが、陽光が降り注ぐと身体がようやく暖まってきました。

 

2P 5.10a 30m ~ 3P 5.7 20m

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2P目は目の前のハングを左にトラバース。ハング下にはまともに保持できるホールドは少なく、スラブのフットホールドで横移動していきます。グレードは大したことありませんが、高度感もあり緊張します。
最初はしっかりとしたハンガーがありますが、それ以降は墜落に耐えられるか微妙な錆びたピトンが支点となります。

続いての3P目は難しいところはありません。時間短縮のため、2P目と3P目を繋げて登りました。E中さんは「落ちないところで支点は要らない」と言わんばかりに、3P目はほとんど何もプロテクションを取らずに通過。

 

4P 5.10 40m ~ 5P

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4P目は凹角から離れ、RCCボルトが1本打たれた右のスラブを登ってから、シロクマの頭に続くダブルクラックを登ります。

クラックを登りきった後、本来のピッチは奥にあるコーナーを登るのですが、それほど登攀意欲を掻き立てられるものではなかったので、コーナーを避けるように左にひと登りしてシロクマのコルへ。

直接シロクマのコルへと上がったので、5P目の懸垂下降は省略。日が短いので手早く進んでいくよう心がけました。

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5P目のダブルクラックを登る。

 

6P 5.11a PD 35m

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本ルートのハイライト。PD(プロテクションの設置が難しい・注意が必要)なピッチです。

アンダークラックにカムを効かせた後、浅いフレークにレイバック気味の姿勢でカムを決めながら登るのが第一核心。

ガバホールドを掴んでバンドに出た後、下向きのフレアした浅いクラックにマイクロカムを効かせ、トラバース気味に乗り上げるところが第二の核心。

E中さんが見事にRP。フォローで登りながら、自分は怖くてリードしたくないと思ってしまいました。

 

7P 5.8 15m

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一旦トラバース気味にクライムダウンしてからチムニーの登り。傾斜は緩いが、岩がボロボロでちょっとだけ嫌な感じ。難しくはない。

次のピッチへのアプローチ的な内容で、すぐに終わりました。下降点も兼ねているためか終了点がちょっと微妙な位置。

 

8P 5.10b 40m

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先ピッチ終了点から少し歩き、T字クラックを見上げるところで8P目スタート。

最初は優しいがプロテクションの取れないチムニーを登り、そしてピナクルからスラブへ。T字クラックは最初は簡単ですが、クラックを乗り越すために左上のガバを取りに行く際にパワーを使います。そこは足も悪いしヨレてきた自分にはきつかった…。

 

9P III 50m

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ほぼ歩き。十一面岩の頭へと続くクラックの直下の、松の木が生えた広場まで。

 

10P 5.8 20m

最後のクラックは写真を取り忘れてしまいました。5.8というグレードの割には悪い。ヨレヨレのため5.8でテンションをかけてしまうという屈辱。

最後のリングボルトの基部が1本だけ剥き出しになったスラブを乗り越すと、人が数人だけ立てそうな狭い岩のピークに到着。そこが『春一番』の終了点で、十一面岩の頂上でした。

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十一面岩頂上から瑞牆山頂方面

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八ヶ岳と駐車場
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下降

十一面岩の頭からは、何度かの懸垂下降とクライムダウンを交えて取り付きに戻ります。

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下降支点はしっかりしています。9P目の場所は、傾斜が緩いので歩いての下りになるのですが、ちょっとしたクライムダウンもあったりするので念の為ロープを出しました。

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懸垂下降はシロクマのコルまで。コルからは進行方向左から正面壁を回り込むように歩いて取り付きまで戻りました。

クライミングシューズ履きっぱなしでの下降だったので、足が痛かったです。

登攀開始が10時ごろで、取り付きに戻ってきたのが15:30ごろでした。ルートの取り付きで軽量化のためにデポした荷物を回収。休憩もほどほどに下山開始。

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夕日色に染まる十一面岩。

 

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見上げるあの大岩の上に立ったんだという喜びを、振り返るたびに噛み締めます。

 

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ヘッドライトは持っていきましたが、必要になる前に駐車場まで戻って来られました。

 

瑞牆のルートは1ピッチずつが他の岩場よりも長く、さらに場所によってはプロテクションを設置する場所も限られてくるので、ピッチごとのグレードは小川山よりも厳しく感じました。

クライミング技術に関しては大したことない自分は何度もテンションをかけてしまい、最後はヨレヨレ。それだけに、上まで抜けたときの喜びは大きかったです。

今回パートナーとなってくれ、安定した登りを見せてくれたE中さん、本当にありがとうございました。

 

装備

パタゴニア・R1テックフェイス・プルオーバーは丈夫で、ジャミングやバック&フットでチムニーをガリガリ登ってもダメージ無し。ある程度の防風性もあるので、今回は終始着ていました。

 

 ビレイ中など身体が冷える場面では、パタゴニア・ナノパフ・フーディを着用。マイクロパフジャケットも持っていますが、登攀で岩にガリガリ擦れることが予想されたので、マイクロパフよりも生地が厚手のナノパフを選択しました。

パタゴニア

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ハーネスはブラックダイヤモンドのソリューションを使用。

 

クライミングシューズはブラックダイヤモンドのアスペクト。流石に最後の方では足が痛くなりましたが、マルチで使えます。

 

ロープはマムートのシングルロープ、インフィニティ 9.5mmの60mを使用。

 

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