【瑞牆山】大面岩 フリーウェイ

9月の後半、瑞牆山でマルチピッチクライミングをしてきた時の記録です。台風通過の翌々日で、クラックの濡れがちょっと気になりましたが、普通に登れました。

 

場所:奥秩父、瑞牆山、大面岩

山行日:2022年9月25日

種類:マルチピッチクライミング、日帰り

メンバー:ディーアイ、湯川

 

瑞牆山・マルチピッチクライミング フリーウェイ

 

概要

瑞牆山で最大の一枚岩の大面岩(おおづらいわ)の、ほぼ正面を登るマルチピッチクライミングルートです。

ルート名:フリーウェイ

マルチピッチグレード:V

ピッチ数:9p

登攀距離:235m

 

アプローチ

瑞牆山植樹祭駐車場の手前、通称『チップの駐車場』からパノラマコースを歩いていきました。

チップの駐車場から出発

植樹祭のエリアを抜け、トラバース気味に

2日前の台風通貨の影響か、地面には落ち葉が散乱していました。森の中はかなりウェットで湿度は高めでした。

 

明瞭な踏み跡を頼りに進みます

カンマンボロン方面へ。結構な急登

カンマンボロンを通り過ぎ、踏み跡を頼りにパノラマコースを歩いて行きます。

この辺を登っていきました

以前フリーウェイを登ったことのある湯川さんを追って、なんか汚いルンゼ状のところを登っていきました。その後フィックスロープを掴んで登ったりして、フリーウェイの取り付きへ。
大面岩差稜線の取り付きから右へトラバースしても、フリーウェイの取り付きにたどり着けるようです。左稜線を登ったことのある人は、そっちの方がアプローチがわかりやすいかも。

 

フリーウェイの取り付き地点

フリーウェイの取り付き。下地は良い感じ

 

クライミング

奇数ピッチはパートナーの湯川さん、偶数ピッチは私(ディーアイ)がリードすることになりました。

 

1p目 5.10d 25m

台風による大雨の影響にて、濡れているところは濡れていましたが、下から見上げた限りは登攀ラインは大丈夫そう。

下から見上げたフリーウェイの1p目

ハングを左にトラバースし、白いガバフレークからハング上へ

初っ端から際どい足場に乗っていくところもあり、いかにも瑞牆らしい5.10dといった感じ。所見では結構しょっぱい感じでした。

取り付きから真っすぐにボルトが続いていますが、途中でボルトを離れて左へトラバース。それからハングを登りきった先のテラスでビレイ。

 

2p目 5.11c 30m

2p目を見上げたところ

リードで登りましたが、2本目のボルト前であえなくテンションが入りました。前半のスラブが核心。細かいところに立っていく系です。

その後錆びたリングボルトでも墜落しましたが、支点は吹っ飛ばずになんとか耐えてくれました。

絶妙に配置されたポケットなどのホールドを繋げて登って行くのが楽しい。スラブ~フェースみたいなところを、ボルトに導かれながらある程度登っていくと、やがてクラック方面へとトラバース。クラックは奥の方を水がジャージャー流れていましたが、使うところはちょっと湿ってるかなぐらいだったので、ジャミングもカムも決まりました。クラック部分は大して難しくないのですが、下から登って来ると疲れているのでちょっと辛かったです。

錆びたRCCボルトのすぐ上に、割としっかりした終了点あり

終了点は、取り付きからもよく見える枯れた大木のところ。最初に錆びたRCCボルト2本が目に飛び込んでくるのですが、そこのちょっと上に頼りがいのあるボルトがありました。

フォローで2p目を登ってくる湯川さん

 

3p目 var. 5.11b 40m

3p目を見上げたところ

トポだと3p目はクラックからチムニーを登る5.10aのピッチですが、トポには「濡れていることが多い」と書かれていました。台風の後だけに、チムニーは下から見てもよく分かるぐらいビチャビチャに濡れています。

オリジナルルートは濡れていてとても登れないような状況。湯川さんに3p目のバリエーションルートを教えてもらいました。

途中でクラックからクラックへとトラバース

オリジナルのクラックの右側にあるダブルクラックを登るバリエーション。登攀距離は約40mでグレードは5.11bということらしいです。こちらはオリジナルのチムニーが濡れている時でも問題なく登れるということです。
出だしのハングで1本目のプロテクションを取りたいですが、ロープの擦れに注意。

クラックからクラックへと移るところが核心。その後はフィンガーから#4サイズのワイドまで、少しずつ幅広くなるクラックを大胆に直上していきます。

最後クラックが閉じてしまいますが、2本の木にスリングを巻いてプロテクションとし、最後のスラブを右に左に登ります。最後に1本ボルトがありました。

スリングの巻かれた太い木でビレイしてもらいました。

核心部のムーブは結構メンタル系。フォローで登りましたが気持ちに負けて1度テンションが入ってしまいました。

 

4p目(途中から) 5.7くらい? 10m

本来の4p目の途中からスタート。歩き後ダイクをトラバース。プロテクションは取れず、最後の1歩がちょっとだけ怖い。3p目のバリエーションから続けて登りたい気もしますが、ロープの流れを考えるとここだけ短い歩きが必要になります。

 

5p目 5.10c 20m

5p目を見上げたところ。左のクラックを登ります

私がリードで登りました。慣れないワイドクラックなので苦労しましたが、内容が分かっちゃえばそれほど厳しくはないのかも。初見でチャレンジしたら、メンタルで負けてテンションが入りました。

カムは下部のワイド部分で#3と#4が1つずつで何とかなりますが、ビビリの人は2セット持ってきても良いかも。

ワイド部を抜ければ傾斜も落ち、普通のジャミングも効くようになるので精神的にだいぶ楽になりました。クラックに導かれて左上。クラックが途切れてカンテをまたぐところで終了。

終了点は自分で作りました

最後にカンテを回り込むと終了点のリングボルト2本が並んでいるのですが、強度があまり信用できないので、カンテを回り込む直前のクラックとフレークにカムを効かせて終了点を作成しました。

5p目を登ってくる湯川さん

 

6p目 5.11a 20m

6p目はフェース後スラブ

6p目は湯川さんリード。私はフォローで。最初のフェースが核心。粒に立っていく系。

短いフェースを登ると後は簡単なスラブを経て、ちょっとしたクラックを登ったところに終了点あり。このピッチにもカムが数個必要です。

 

6p目終了点から見下ろすの図

 

7p目 5.10a 15m

7p目のクラック

私がリード。快適なクラックから。しばらく登るとクラックは閉じてしまうので、右のスラブへ移って居心地の良いテラスまで。

難しくはないものの、なかなか楽しいピッチでした。

7p目をフォローで登る人

居心地の良いテラス

 

8p目 5.11a 40m

8p目は出だし核心

足元に広がる空間を感じながら粒に乗っていく系

長いスラブを登っていく

8p目が実質の最終ピッチ。出だしが核心で、足元がスパッと切れ落ちた空間のスラブで、粒みたいなフットホールドに立っていく系です。終わってみれば、フリーウェイの11台のピッチがある核心部は、たいてい粒に立っていく系でした。

フォローで登りましたが、上からロープで吊るされている状態なのに怖くて離陸がなかなか出来ませんでした。分かりにくいけど指の引っかかるホールドを掴んで、決死の思いで立ち上がってみたものの、体勢をうまくコントロールできずテンション。

中間部のスラブも、どこでも登れそうだけどどこでも落ちそうな傾斜なのでまぁまぁ悪かったです。

8p目の終わりにピカピカのラペルステーション付きの終了点がありましたが、大面岩の頂上経由で降りる場合は、終了点からもうちょい登った先のクラックでビレイした方が良いらしいです。

8p目終了点を無視して一段上がったところまで、上からビレイしてもらいました。そこが頂上台座の端っこでした。

 

9p目 ちょっと怖い歩き

8p終了点上からカム3点でビレイ

登ってきたルートを見下ろすの図

頂上台座と呼ばれる地点についたら、ロープをしまいました。ここから大面岩の山頂まではクライミングシューズで歩きましたが、ここからはアプローチシューズでも良いかもしれません。

ちょっと嫌な短いボロボロスラブと、山頂へ岩と岩を乗り越すワンムーブがちょっと悪いので、怖い人はロープを出した方が良いかも?途中プロテクションは取れませんが。

初見では頂上まで行くルートはちょっと分かりにくいです。

大面岩の頂上

大面岩の上からの景色を存分に楽しみました

 

下降

下降点のある場所

大面岩の頂上から瑞牆山の山頂方向へちょいと歩いて下った先に、3本のステンレス製アンカーが打ってあります。そこに、下降用のフィックスロープがありました。

最初に来た時にはその存在に気づけず、パノラマックスの終了点を下降用の支点と勘違いして降りた過去があります。結果的にそれでも問題なく下れましたが。

下降支点とフィックスロープ

細径ロープ専用のビレイ/ラッペルデバイスだと、このロープは太すぎて通らないらしいです。その場合は、カラビナでムンターヒッチするか、自前のロープで降りるなどといった方法を採る必要があります。ちなみに、写真に写っているフィックスロープは青い方だけで降りるのを個人的にオススメします。青いのと赤いのは長さが違って、青いロープの方が下まで降りられました。

 

懸垂下降で歩いて降りられるところまで下ったら、後は踏み跡を頼りに大面岩とこづら岩の間のコルへ。そこから適当に下っていったらパノラマコースに戻ることが出来ました。

あとはパノラマコースを大面岩方面へと下り、途中で荷物を回収し、駐車場の方へと戻りました。

 

 

感想

パートナーの湯川さんは何度も登ったことがあるらしいですが、今回フリーウェイは初トライでした。2p目の5.11cは何度もテンションが入り、3p目var.はリードしなくて良かったと思えるぐらい恐怖感を感じましたし、5p目は自分の弱さに負けてテンション。8p目もフォローなのにビビって離陸がなかなかできなかったという、結果だけみれば散々なものでしたが、楽しかったです。

3p目の5.10aのピッチが、バリエーションの5.11bになったことで、更に登り応えが増したような感じがしましたし、雨の後でもそれなりに快適に乾いてくれたのも良かったです。

今回のマルチを提案してくれたパートナーに感謝です。

 

装備など

・クイックドロー×5本

・アルパインヌンチャク×5本

・カム(キャメロット)#0.4~#4×2セット→#0.3もあると良かった。バリエーションピッチをやらなければ1セットでも何とかなる?

・Tシャツ→場所により肩や背中でフリクションかけたりしたので穴が空きました。高いのやお気に入りのTシャツは着ていかない方が良いかも。

・120cmのスリング→180cmも持っていきましたが出番なし。

・ビレイデバイス→最後下降用7のフィックスロープは10mmぐらい(それ以上?)の太さがあるので、小径ロープ専用のデバイスだと通らない可能性があります。

・8.2mm 50mダブルロープ使用→8p目終了点から直接下降しなければシングルで良いかもしれませんが、ジグザグに登っていくピッチもあるのでシングルだと重くなるかもしれません。

 

こちらの記事もどうぞ

www.dimountainphotos.com