瑞牆山クライミングの個人的オススメルート集。アンダー5.12のグレードで、ボルトプロテクション(スポーツルート)で危険度が比較的低く、取り付きやすいルートを選んでみました。
膨大な数の岩。豊かな自然。岩を贅沢に使ったルート…瑞牆山は魅力あふれるエリアで、そこでのクライミングは本当に楽しいです。一方で、瑞牆のクライミングと言えば、ハード・トラッドな印象が強く、敷居が高く感じてしまうのも事実。
瑞牆のクライミングルートの中には、全くの初心者向けとは言わないまでも、そこそこの経験があれば楽しめるルートが数多くあります。今回はそれらの一部をご紹介していきます。
この記事がクライミングのルート/エリア選びで、なにかの足掛かりとなれば幸いです。
瑞牆のクライミングルート8選
岩いっぱい、ルートいっぱいの瑞牆山
トータルリコール 5.10b
場所:カサメリ沢(コセロック)
瑞牆では異色のスポートクライミング中心のエリア、カサメリ沢。その中ほどにあるコセロックで、是非押さえておきたい一本。
ネコの手とかネコの足とかいろいろルートがある壁の右側からスタートし、テラスを経て岩の上方のハング部分に終了点があります。上部と下部に、それぞれ核心あり。
5.10bは辛いような、内容が分かっちゃえば5.10bでも良いような…グレード感については様々な意見がありそう。甘ったるくないし、パワーだけで押し通すのが難しいところが、カサメリっぽくて魅力的です。
だいたい瑞牆山でスポートルートを紹介しようとすると、油断すると場所がカサメリ沢に偏ってしまいそう。それだけ好ルートが揃っているのがカサメリ沢。ボルダーを除けばトラッドやマルチが大きなウエイトを占める瑞牆山でのクライミングの性質を考えれば、まぁそれも仕方ないか。
ちちくりマンボウ 5.10c
場所:カサメリ沢(オランジュ岩)
岩の弱点を突きながら壁中を左へ右へ、アルパイン的な登りを感じさせる楽しいルート。
傾斜は無いし、ホールドはガバが多いし、難しいムーブはほとんど出てこないのですが、長いのでそれなりに疲れます。ルートの屈曲も大きいので、場所により長いクイックドローがあると良いかと。
決してランナウトしていると言うわけではないけど、ボルト間隔が離れて感じる箇所もあります。ルート中にクラックが多いので、ボルト間にカムを使えば安心感は増す…んだけれど、純然たるフリークライマーが苦戦する内容ではないし、アルパインクライマーがビビって良いようなボルト間隔ではないので、お守りカムとかコソコソした手段は無くても良いんじゃないかというのが個人的意見。オールNPで登るのはアリ。
怒涛のレイバック 5.11b
場所:カサメリ沢(コートダジュール)
確かにレイバックはするけど、怒涛って程のレイバックはしないような…。
瑞牆本に「カサメリで一番面白いイレブンルート」とかいう文章が出ている通り、多彩なムーブが出てきて、充実感のある内容です。
パワー、バランス、度胸…そのへんの要求度が5.11bというグレードを逸脱しない範囲で、うまい具合に調和し、内容が濃いルートとしてまとまっています。
当ルートがあるのが、コートダジュールという、カサメリの奥の方にある岩。何度かカサメリを訪れているクライマーの中にも、まだ足を踏み入れたことがないという人がいるぐらいに不人気(?)なところ。カサメリの奥と言っても、実はコセロックからさほど離れていないので、興味を持った方は是非。
百獣の王 5.11c
場所:屏風岩
瑞牆本下巻の表紙を飾る、輝かしいルート。
レストポイントは多いし、ほとんどのホールドは指のかかりが良いのだけれども…。長いのもあって、繋げるのが大変。登って登って、体力を消耗してきた後半に落とし所が出てくるという、ストーリー性の高い一本。
欠点は周囲に手軽に登れるスポートルートが他に無いこと。屏風岩周辺にはそこそこの数のルートがありますが、トラッドだったり高難度だったり、ボルトの信頼度が低かったり…。屏風岩に行く際は、トラッドルートを遊ぶためにカムを持っていくか。カサメリが比較的近いので、転身も考慮しておくのも手か。
切れたパスポート 5.11d
場所:ダイワハウチュ
下部はホールドの大きなスラブ。上部はほぼフェイスみたいなスラブです。それなりに長くて内容がまとまっているので、カチっぽいスラフェイス(フェイスラブ)みたいなのが好きな人にはオススメです。
このエリアで登る欠点は、周囲に玄人向けみたいなルートしか無いので、カサメリみたいにみんなで楽しくワイワイ…というのには向いてないというところ。それ故あまり光の当たらないと思うルートなのですが、内容は素晴らしいのでもっとトライされても良いと思います。
5.11dはちょっと甘めなグレードというのが私と、一緒に登ったパートナーとの共通見解。お買い得ですぜ。5.11dというグレードが中途半端過ぎて、お買い得と言ってもお買い得感あんまりないですけど。
亀甲巡り 5.10d
場所:カメ岩
取り付きから見上げたルートはなんとも微妙でコメントし難いですが、登って分かるその内容の濃さ。岩を贅沢に使った、いかにも瑞牆的なルートだと思います。
技術的核心は出だしのところ。一般的な成人男性のリーチなら、最初は立って一本目のボルトにヌンチャクを掛けられるので安心です。ムーブ的には出だしのところが5.10dで納得といえば納得だけど、結構難しい。出だしをこなせば、それ以上難しいムーブは出てきません。
精神的な核心はその後…。足元にパックリ広がる空間を感じながらのトラバースをお楽しみください。落ちても死なないっていうの、分かっていても怖いモンは怖いんです。
回収はリード&フォローが楽だけど、ロワーダウンでも一応可。その場合、ちょっと大変で、上の方にある木を下からくぐっていくと良いかと。
錦秋のトラベルチャンス 5.10d
場所:チョーサイコールーフの岩場
上に紹介した亀甲巡りと通じるモノがあって、そういう系が好きならこちらのルートも楽しめること請け合い。
下部のスラブを登りきったところに終了点がありますが、岩の上まで通して登るのが絶対にオススメです。その場合、岩の上にある終了点だとロープが擦れるので、懸垂下降推奨。懸垂時には回収時に振られるかもしれないのでやや注意。
ピリリとした難しさのある下部スラブ。核心部となるハング超え。そしてその後も続く高所でのトラバースと、バリエーション豊かな動きが連続し、そしてそれが決してグレード以上に難しすぎないのもポイントが高いです。
ハングの上のクリップがボルトから離れるので、リーチのない人がマスターでトライする際にはちょいと注意が必要かも。
NEXT LEVEL 5.11d
場所:カンマンボロン(太陽のエリア)
もともとはRainbowという5.11cのルートを延長したものらしいです。壁の途中に終了点がありますが、本ルートは更に上を登っていきます。
スポーツクライミング的な動きが出てくる垂壁~やや被りの下部(Rainbowパート)。上部スラブは、高度感を感じながのルートファインディングが何とも怖楽しい。
レストポイントは多いし、トリッキーなムーブはないのでオンサイトし易い内容だと思います。ちなみに私は最後の最後の立ち込みで躊躇して落ちました。
隣りにあるLIFE LINE(5.12a)も、ルートの性格や難しさは大差ないので、このルートが楽しめるならオススメです。
欠点は、駐車場から遠いことと、カンマンボロン周辺が高難度ルートやマルチ中心のエリアなので、手軽に楽しめるルートが周囲にあまり無いこと。
そのうち瑞牆山のトラッドルート○選とかもやってみたいんですが、クラックの数多過ぎで、記事としてまとめられるほど登るのはすごく大変そう…。
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