今まで使用したアウトドア用バーナーの比較と感想

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登山やアウトドア用で使うガス缶用のストーブ(バーナー)。いままでいくつかの製品を使ってきました。

アウトドアのバーナーの比較記事だと、だいたい重量とお湯を沸かす時間とかそいういうのを比べたやつが中心ですが、ラボ的なレビューというのは、実際のフィールドでは案外とアテにならないこともあります。

ここではストーブ(バーナー)のスペック上の比較は置いておいて、実際に登山などアウトドアの環境で使ってきた個人的な感想を書いていきます。

 

登山/アウトドア用バーナー(ストーブ)について

 

プリムス 153 ウルトラバーナー

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最初に買ったアウトドアストーブ。そこそこ軽量で、ハイパワー(高火力)、支持面積の広い安定の4本ゴトクと、最初のひとつとして考えたら、我ながら良いチョイスだったと思います。 

信頼と実績のイワタニ・プリムスブランドのフラッグシップ。優等生過ぎて面白みに欠けるというのが欠点か。バーナー選びに深く考えたくなければ、とりあえずプリムス153を買っとけば間違いなし!

燃焼効率を追い求め、ジェットボイル(もどき)のストーブシステムを構築するため115フェムストーブを購入してからは出番が少なくなってしまいました。それでもちょいちょい出番はあったのですが、使う度に思うのがその完成度の高さ。

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イマイチな点にも触れておきます。今の製品はどうか知りませんが、イグナイター(着火装置)が微妙な性能で、冬山や高山ではうまく点火しないことがしばしば。冬山に行く時にはバーナーが使えないと死活問題なので、ライターやイグナイター(火打ち石みたいなの)を常に持ち運んでいました。

ハイパワーで湯も結構早く沸きます。ジェットボイル系の高効率燃焼システムと比べると、炎が大きくてコッヘルの外へ熱が幾分か逃げていく。テント内で調理をするとテントの中も一緒に温まるので、悪いことばかりではない(メーカーではテント内使用は禁止しているので自己責任で)。

何年も使ってたら、徐々にゴトクが緩んでガタガタになってきました。そのたびに小さいドライバーでゴトクの付け根を締め直していましたが、次第にそれでもゴトクがガタガタで不安定になってしまったので破棄。ゴトクの作りがちゃちなわけではないのですが、何年にも渡って使ってくるとガタがくる様子。月1回とかの使用頻度の場合は、それほど気にするほどではないと思いますが…。

 

プリムス 115 フェムストーブ

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DUGのHEAT-Iを買って(ジェットボイルみたいな)燃焼効率型のストーブシステムを構築したくて購入。熱効率型のクッカーと組み合わせると、私の使用用途では低燃費で1週間近い夏山縦走で250缶1つで事足りました。

怪しげな中華製とかチタン製とか飛び道具に手を出さず、定評のある道具で軽量ガスストーブシステムを組み上げる時にはコイツが選択肢に上がるはず。

火力が低いというのは、レビュー記事的にはネガティブに書かれそうな点ですが、火が小さい分燃費が良いです。実際ソロクッカーでメシを作る分には、それほど高火力でなくとも良かったりします。火力不足を感じたことはありません。燃費が良いと感じたことはあります。

値段も比較的手頃なので、とりあえずコレを買っておいても後悔はしないでしょう。

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付属のイグナイターはすぐぶっ壊れたので信頼性は皆無。すぐに外して更に軽量化しました。私が買った当時のものとイグナイターのデザインが変わったみたいなので、性能は改善されたのかもしれないですが、詳しくは知らん。

数年使っていたらゴトクがガタガタになってきて、最終的にはゴトクが壊れてしまいました(開かなくなったか閉じなくなったかのどちらかですが忘れた)。上の153ストーブも最終的にゴトクがガタガタになったので、プリムスのバーナーは最終的にゴトクがぶっ壊れるというのが個人的な印象です。

使用頻度が高くない場合(月に1回とか)は、多分そんなに気にすることはないと思いますが、ヘビーユーザーはそのへんを考慮しとくと良いかも。でもまぁ、壊れないと次の買う大義名分が作れないしなぁ。

 

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SOTO ウインドマスター

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ゴトクが取り外せる! 過去2つ買ったプリムスのバーナーは最終的にゴトクがぶっ壊れたので、ゴトクが取り外せて交換可能なウインドマスターはそれだけで好印象。最初から付属している3本ゴトクは安定性が悪いのでおまけと考えるのが無難。別売り4本ゴトクをすぐ買い足しました。

さらに、イグナイターはプリムスのと違って高所や寒冷地でも普通に使えることが多いのもポイントが高い点です(保険としてライターとかは常に持ち歩いてますが)。

しかし、欠点がないわけではありません。

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気に入らない点はストーブ本体の高さ(全長が長い)。そのせいで、安定性が少し悪いです。特に大型の鍋を使うと長い本体の不安定さが気になります。雪の上など不安定な下地で調理するときは重心が低い方が良い。

あとは、プリムスの115ストーブと比べると、デフォルトで火力が強いのか燃費が悪く感じます。115からウインドマスターに乗り換えた際に感じたことは、「ウインドマスターは意外とすぐにガスがなくなる」という点でした。

あとは、「風に強い」という謳い文句について。山の頂上とかで、風のある場所で調理する場合は有効ですが、そもそも私は吹きさらしの場所でバーナーは使わないので、風に強いという恩恵はあまり受けていません。テントの前室とか、樹林帯とか、あまり風の影響を受けない場所で調理する場合は、バーナーの耐風性はあった方が嬉しいけど正直なくてもいいやという感じ。山頂(稜線上)クッキングが好きな人には防風性が高い本製品はオススメ。ただし、いくら防風性が高いストーブでも風に吹かれてりゃ火力は落ちるので、本体の防風性能だけに頼らず、風を遮る手段は考えておいた方が良い。ウインドマスターをもってしても、突風で火がかき消されたこともあるので、過信は禁物。

プリムスの製品で感じた不満点が解消されているのは流石後発品。完璧ではないにしろ良きバーナーです。

最後にひとつ。火力が強い分、ジェットボイル系のクッカー(ヒートエクスチェンジャーついたやつ)と組み合わせると、強力な一酸化炭素生成マシンと貸します。テント内で意識飛んだ苦い思い出…。

 

 

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JETBOIL FLASH

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早く湯を沸かす最も早くお湯を沸騰させることができる優秀なギア。

効率重視のオールインワンパッケージですが、コッヘルの底面にはヒートエクスチェンジャーがついているので意外と嵩張るし重い。細かい部品が多く組み立てや収納がやや面倒というデメリットも。

専用のコッヘルに収納できるのは容量の少ない110缶なので、熱効率は良くても体感的には「思ったよりもすぐにガス缶が空になる」という印象。かといって250缶を別途持つのはオールインワンのパッケージに収まらないのでスマートじゃないし…。

時々ガスの出力が不安定と感じることがあります。本体の作りが雑なのか、さすが海外製品といった感じ。

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すぐにお湯が沸くのは大きなメリットなので、「早く湯を沸かせればそれで良い」という人にはベストチョイス。ただし、細かい部品が多くて組み立てには他社のシンプルなストーブよりほんのちょっと手間と時間を食うような。

「A社のバーナーは1Lのお湯が3分で沸騰するが、B社のバーナーは1Lのお湯が2分30秒で沸騰する」という類の実験はアウトドアギアレビューの定番ですが、リアルワールドではあまりアテにならないというのも私の実感。お湯が沸くのをじっとコッヘルの中を見つめて待っている場合、3分も2分30秒も体感としては大差ないし。早くお湯が欲しくてウズウズしている時には、ジェットボイルでも湯が湧くまでそれなりに待たなきゃいけない気がします(他製品よりは当然早いですが)。

料理好きの嫁曰く、「ジェットボイルのクッキングは現実的ではない」そうなので、山で美味しいご飯を作りたければ普通のバーナーお勧めです。ジェットボイルは高性能湯沸かし器と割り切って使いましょう。

休憩中にサッと湯を沸かしてカップ麺とかコーヒー作るのには良いです。

ジェットボイルのリンクが貼れなかったので、MRSの似た製品を。

 

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プリムス P-TRS エッセンシャルトレイルストーブ

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プリムスのバーナーは最終的にゴトクが壊れる、着火装置がヘボいと上で散々書きました。

2020年に発売されたプリムスの新型バーナーは、壊れようのない固定式ゴトクと、点火装置非搭載という思い切った仕様。ある意味で私がプリムスのストーブで弱点だと思っていた点を取っ払った、思い切りのよさ。SOTOのウインドマスターの不満点であるバーナー長の長さに対し、エッセンシャルストーブは低重心。このバーナー、刺さる人には刺さるデザイン(俺には刺さった)。

エッセンシャルストーブの114gという重量は、100gを切るバーナーも多くある中では比較的重め。固定式ゴトクのため収納サイズは大きく、250缶と共に収納できないクッカーが他製品と比べると多いです。

点火装置はあったらやっぱり便利なので、ないとちょっと手軽さに欠ける。

以上に挙げたような欠点もあり、誰にでもオススメできる製品出はありません。

まだ買ったばかりで使い込んではいないので、詳細な使用感はまだ書ける段階にありません。ある程度使ったら追記するかも。

 

 

 

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