ガチな人に笑われないための、アウトドアウェアの着こなし方

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どうやらアウトドアファッションが一部で流行っている様子です。

山に登らない人(アウトドアしない人)でも、アウトドアブランドの服を着ていたりするらしい。

山に全く登らないウチの兄も、ノースフェイスのジャケットやパンツを履いていたりするあたり、その情報は間違いではないと思います。

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さて、そうした非アウトドア系の人がしているアウトドアっぽい服装ですが、毎週のように山に登っている人から見ると凄く違和感がある身につけ方をしている人をしばしば目撃します。

今回の記事では、これはガチじゃないね。というアウトドアファッションについて解説していきたいと思います。

ちなみに、服装とかは個人の自由なので、どんな服装でも誰かに迷惑をかけなければそれでオッケーだったり。まぁ、この記事はガチっぽく見られたい!という人の参考になればと思って書いています。

 

ガチな人に笑われないための山用ウェア(ブランド)の選択

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【写真】冬の奥穂高岳に向かう準備をする登山者たち。アウトドアしてます

ーバンアウトドアとかいうスタイルがあるらしい。

アーバン(都会)とアウトドアのミックスというコンセプトで、正直ワケわからんと思うのですが、都会派BOYたちのハートをガッチリ掴んでいるあたり、そういうのはオシャレなんでしょうね。

ただし、都会ではオシャレに見えていても、厳しい山岳環境では話は別。オシャレでも使えねーもんは使えねーんです。

で、厳しい山岳環境で使えるウェアを身につけ、その環境に身を晒してきた登山者が見ると、「コイツ分かってるな/分かってないな」という格好はなんとなく分かります。

ヘンテコリンなアウトドアもどきの格好は、ガチな人から「何あの組み合わせ。ププッ」と陰で笑われる可能性もあります。「山に悪い人はいない」と言われますが、それは結構デタラメで、山屋はヘンな親父、偏屈ジジイの巣窟なのであります。

そんな連中に笑われないための、アウトドアファッションの着こなし方のヒントになるかもしれないのが、今回の記事です。

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街でもアウトドアウェアをさっと着こなすためには…!?

 

ゴアテックス、街ではオーバースペック

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アウトドアウェアの代表格と行っていい素材、ゴアテックス。雨をシャットアウトし、内から放たれる汗の蒸気は外に逃がすという『防水透湿系素材』。濡れることで安全や生命を左右しかねないアウトドア環境の必需品です。

※ゴアテックス公式サイト※

防水性、防風性、透湿性を兼ね備えたGORE-TEXプロダクト | GORE-TEX

 

「突然の雨から身を守るためのウェア!」

「都会でも突然雨が降ることもあるよね!」

ってことで、ゴアテックス売りたい勢からのセールストークが始まるわけですが、都会だったらコンビニでも行って雨宿りするかビニール傘を買うか、天気予報を事前に見ておいて、必要そうなら折り畳み傘をカバンの中に忍ばせておけばよいのです。

何万円もするゴアテックスのジャケットを買って、都会で着ていく意味は、実用面からするとほぼ皆無。

ディーアイはゴアのジャケット何枚か持ってますが、都会に行く時(めったにないですが)は確実に持っていきません

 

ゴアテックスを使った完全防水のジャケット(ハードシェルという)ではなく、個人的に持っていくとしたらソフトシェルですね。

ソフトシェルは、軽い雨なら弾く撥水性があり、ゴアテックスにないストレッチ性があり、ゴアと違ってシャカシャカ・ゴワゴワしないしなやかな着心地があります。

ゴアテックス系の防水ジャケット(ハードシェル)は悪天候時のプロテクションという目的で着るものなので、着心地の良さという観点では圧倒的にソフトシェルより劣ります

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【写真】完全防水が必要のない環境で役に立つ着心地の良いソフトシェル(厳冬期では雨はほぼ降らない。代わりに雪が降る)

 

いろいろとソフトシェル推ししましたが、暑い時期にはTシャツ1枚で十分だし、本当に寒かったらダウンジャケット等着ていきますので、シェルジャケット(ソフト&ハードシェル)って、都会で着られる時期が限られてくると思うんですよね…。

 

ゴアテックスにジーンズという異次元の組み合わせ

再びゴアテックスネタです。アーバンアウトドアスタイルっていうの?そいういうコーデでよくある、上はゴアテックスのジャケット。下はジーンズっていう組み合わせ。

全くそれってゴア着る意味ねーですから。

完全防水のジャケットを着ていても、下半身のジーンズはモチロン防水性は皆無で濡れると重くなる&動きにくくなる。

ゴアテックス&ジーンズは、上下で矛盾した、全く合理性のない組み合わせです。

足元が防水性のない革靴とかだったら、ますます矛盾ですね。その上で「ゴアテックスなので突然の雨でも大丈夫!」とか言っていたら…もう笑うしかない。

都会だったらなんとか生きていける格好ですが、山岳地帯で悪天候につかまったら高確率でアウトなやつです。

防水性装備+濡らしちゃだめ装備という組み合わせは、見ていて強烈な違和感を感じざるを得ません。

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【写真】雨の日の登山では、上下(ジャケット・パンツ)で防水性のあるアウターを着ます

 

 

 

やたらとカラフルは初心者感あり

…と、原色を大量に取り入れるレゴブロックみたいなアウトドアウェアの着こなし。

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山でよく見るこのようなカラフルボーイ/ガール。

おばちゃん大人のお姉さん(今の時代は大人女子といったほうが良いのか?)がこういった色使いの着こなしをしているのも珍しい話ではありません。

ポップな色合いは視認性が高いですし、本人が気に入っているならそれでOKです。

 

厳冬期登山、険しい山岳地帯などの場面では、このようなレゴブロック系のカラフルな格好の人をほぼ見ないです。

逆に、ロープウェイが通じていたり、コースがなだらかだったり、人が多く訪れる山だと上の画像のようなカラフルな人たちをしばしば目の辺りにします。

上記の理由から、素晴らしくカラフル=初心者の格好に見えてしまいます。

経験のある山の達人に見られたい人は、あまりにもカラフルな格好は避けたほうが無難というお話です。

 

余談ですが、ディーアイは1ヶ月ほどヨーロッパアルプス周辺を遊び歩いたことがあります。

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そこで思ったことは、ヨーロピアン(白人)の服装は、モノトーン(単色)かツートーン(二色)かの服装が多いのに比べて、スリートーンかそれ以上の原色を組み合わせているカラフルなハイカー/登山者はほとんどが日本人または韓国人でした。

少し離れた場所から見ても、「あのカラフルな格好の人は日本か韓国の人だな…」と何となく判別できました。

ヨーロピアンに遠目から見られたい人は、あまりにもカラフルな格好は避けたほうが無難かもしれません。

 

 

アウターは中に着込むから大きめが良いですという謎ワード

「アウター(ゴアテックスのジャケット等)は、寒いときには中に色々着込むから大きめのサイズを買うといいですよ~」とか、アウトドアショップの店員がよく言う常套句です。

それで、ブカブカのジャケットを買わせようとする店員がいたら、その人は山を(冬山とかガチなやつ)をやっていない可能性が高いです。余ったL~XLサイズのウェアの在庫処分につきあわされている可能性も否定しきれない。

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【写真】アイスクライミング際に確保(ビレイ)している人

チ寒いときはアウターの上から分厚い保温着(ビレイパーカという)を羽織ります

そのため、アウタージャケット(ゴアテックス)等は、適度に細身の方が都合が良いです。

寒い時にイチイチアウター脱いで中にダウンジャケット着て…とかそんな効率の悪いことはしません。(ジャケットの内側に留まっている熱が逃げちゃう)

寒いときには行動中でも中にフリースとか着るので、アウターのサイズはフリースとかを着れるだけの余裕があるものにしています。

アウターがブカブカだと風が吹くとバタバタうるさいし、余った布が邪魔だし、スースー風が抜ける隙間が寒いので、冬山とかシビアな環境向けでありませんね。

以上の理由から、ゆったりとしたアウタージャケット(ゴアテックス等)を着ている人は、あまりガチな感じには見えません。

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圧倒的な保温力を誇るビレイパーカーは、モコモコとかさばるのでアウター(ゴアテックスジャケット等)の下には着れません。寒い時の停滞時(ビレイ・写真撮影)等におすすめ!

 

 

冬山でも大丈夫!なダウンジャケット評への疑問

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アウトドアウェアにルーツを持つブランドが発売しているダウンジャケット(ガチのアウトドアウェアじゃないやつ)は、「このダウンジャケットは高い保温性があるので、冬山でも大丈夫です!」みたいな売り文句で語られていることが時々あります。

温かいダウンジャケット=冬山OKみたいな説明をしている人は、まず100%山を分かっていない

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【画像】晴天の雪山をハイクアップ中。Tシャツ一枚でも汗をかく場合も

山でも激しく動けば汗をかきます。汗をかいてしまうとその後に汗冷えを起こしてしまうリスクがあるため、冬山を登る登山者は、汗の処理には大きな注意を払っています(できるだけ無駄な汗をかかないように行動すること)。

冬山を登山する場合は、ただ単純に温かい格好をしていけば良い訳ではないのです。

「冬山でも大丈夫なダウンジャケット」は、寒い環境でも大丈夫だよ!(保温力が凄いダウンだよ!)という意味合いで使われているのでしょうが、実際に冬山に登っている人からすると、かなり違和感のある表現です。行動中(歩いている時)は本気でガチ寒い時意外はダウン着ないですからね。そんな状況、日本ではほぼないかも…。

「コレ着れば冬山でも大丈夫」という言葉。実際のことが分かっていない奴が語る言葉に、真実味も信憑性もありません。ウソつきが売る商品にお金を払いたいですか…?

 

ヘルメットはガチっぽさを強調するアイテムだったが…

一昔前は、穂高でも槍でも、ヘルメットを装着している人はかなりの少数派でした。

ここ数年は、遭難対策に関わる人々が「ヘルメットを着用しましょう」キャンペーンの功が奏して、ちょっとした岩場がある山でもヘルメットを持参してくる慎重な登山者増加中です。

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【写真】2011年9月の槍ヶ岳山頂。今と違って、ヘルメットの着用者はほぼ見かけませんでした。

そんな時代(2011年ごろ)にヘルメットを着用した登山者を見かけると、「ガチな人だ…!彼らは一体どんなルートを目指すのだろうか…?」と尊敬と憧れの眼差しで、その登山者たちを見送っていたものです。

ヘルメット着用が、岩稜帯を有する山では当たり前になった今日。「最近はお粗末な遭難が本当に多い」と遭対協の知り合いがボヤいてたので、ヘルメットは安全登山を促すための必須アイテムではなく、初心者(同然の人)を危険地帯に向かわせるための免罪符になっている可能性も否定できず。…まあ、今回の記事で論ずるところではないですがね。

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 【写真】一般登山道でも岩場ルートがある場合、ヘルメット着用は今では普通になりました。

ガチ系登山者を演出しておくためのアイテムとして、ヘルメット持参というのが昔は通用したかもしれませんが、現在では效果は薄そうです。

 

話は変わって、先日北アルプスの穂高界隈に行ってきました。

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【写真】穂高からの帰り道。かさばるロープ、ヘルメットはザックに外付けしていました。

穂高の岩場を目指していったのですが、道中「ロープ持ってどこ登ってくるんですか?」と何度か声をかけられました。

他にロープを持った登山者の姿はほとんど見かけなかったので、ロープ持参しているだけで、何やら凄い事やっている人に見られていたかもしれません。(実際はヘボクライマーですが)

ヘルメット持参が今や常識となってた現在、これからはロープの時代か!?

ロープを持っていけば、ガチ系の登山者(クライマー)に見られるかもしれませんよ!?

…アホくさ。

 

 

 

ガチなアウトドアブランドを紹介します

さてここで、ディーアイが個人的にガチっぽいと思っているアウトドアブランドを紹介します。

※詳しくはこちらの記事もどうぞ※

 

ガチ系アウトドアブランド3選

このブランドのウェアを好き好んで着ている人は、結構山での経験があったり、それなりにやっているクライマーだったりします。そんなブランド3選。

 

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Black Diamond(ブラックダイヤモンド)

アメリカ発のクライミングブランド。細身で機能的で動きやすく、ミニマルなデザイン。同社のウェアは、最も軽いわけでもないし、ポケットが多いわけでもないのでハイカー向けではない。クライマーがストレス無く着れるデザインは、クライマーが着てこそ価値が分かる感じ。

 

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Mountain Equipment(マウンテンイクイップメント)

すごく地味めのブランドなので、オシャレアウトドアコーデでは、まず登場してこないイメージ。質実剛健に、本格登山で使えるものを淡々と出しているブランド(たまにどうしょうもないヘンな服も出してますが)。

 

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MONTURA(モンチュラ)

かなり細身でピタッとしたウェア(でも動きやすい)を出しているブランド。ぽっちゃり系の人は、申し訳ないが恐ろしく似合わない。夏山では、ほとんどこのブランドを着ている人は見かけませんが、アイスクライマーとか山岳ガイドの着用率が非常に高い。

 

ガチじゃないアウトドアブランド3選

ガチじゃないというか、機能的には問題なくても、このブランドを好んで身に着けている人にガチな人は少ないというブランドを、3つばかり選んでみました。モチロン、ガチな人が着ている場合もありますよ!

 

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Colombia(コロンビア)

最高の性能とか機能とかよりも、オシャレで楽しいアウトドアを提供するブランド。機能的には、夏山ハイキングで使う分には十分なのですが、危険地帯に着ていくような人はごく少数派だと思います、ハイ。

 

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ARC'TERYX(アークテリクス)

機能的には最高級で、最強のアウトドアブランドの一つ。…なのですが悲しいかな、そのブランドイメージ故に、ミーハーな人が着ている印象が非常に強い。同ブランドの製品は値段が非常に高いため、何かと金かかるクライマーはそんなウェアなんかに高い金出すような余裕がないことも…。

ハーネスに代表される一部製品に関しては、多くのクライマーから絶賛されています。

 

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HAGLOFS(ホグロフス)

上記アークテリクスと同じような印象。機能的には本格派ですけど、北欧ブランドな上にポップカラー(視認性は良い)なので、山でオシャレしたいライトユーザーが好んで着ていることが大多数。

モノは良いので厳冬期でも使っている人いますが、かなりの少数派。

 

 

※ノースフェイスやモンベルは、着ている人口が多すぎて(ガチな人もガチじゃない人も着ていることが多いので)今回は触れていません。

 

他にもこんな記事はいかがですか?

www.dimountainphotos.com