遭難予防パンフレットなんかによく書いてある文言
「単独登山はやめましょう」
その理屈はよくわかります。単独登山で遭難すると、助けを呼びにいける仲間もいないし、重大な結末を招く確率が高くなります。
一般的にいえば山行の危険度は単独の方が高いです。単独はやめろの意見に一理あり。
しかし、我々現代人は忙しい。
友達が山に興味がなかったり。
そもそも友達がいなかったり。
休みが不定期で合わせづらかったり。
休みが貴重で限られていたり。
行きたいコースに一緒に行けるような仲間がいなかったり。
仲間にドタキャンされたり。
いちいち他人に合わせていたら、次の休日の貴重な晴れ間の素晴らしい山行のチャンスを逃してしまう可能性だってあるんです。
単独だって行きたい山がある。
また、ひとりで静かに登りたい山もある。
今回は単独登山ネタで行きます。
ソロだと、景色の写真ばかりで人の写真がほとんどなかったり。
独学と単独登山について
単独登山はそもそも危険?
このブログの記事を書いているディーアイもひとりで山登りをはじめて、最初の数年間はほとんどひとりで登っていました。
冬山の登り方も独学で覚えました。
年間だいたい80日ぐらいは山に入って過ごしていますが、危険な目に遭ったことはこれまでほとんどありません。(気付いてないだけ説もあり)
ちなみに今までで山で負った一番大きな怪我は、岐阜県可児市の鳩吹山での捻挫(駐車場まで約100mの場所)で、痛みが完全に引くまで3ヶ月かかりました。
一方で、グループ登山での痛ましい遭難事故も意外と何件も起こっていて(レポート読むと初歩的判断ミスとか、ある意味お粗末な遭難も多い)、一概に単独は危険とか、グループなら安全というわけではないような気もします。
大事なのは、個人個人の安全意識。
大勢で登っても、相互補助できなければただの烏合の衆であり、強力なリーダーに導かれているパーティは、リーダーが倒れたら何もできない集団になりかねません。
しっかりとした危機管理能力があれば、単独でも危機管理できないグループより安全である、と個人的には思っています。
レスキュー能力がある人間同士でパーティを組めばそれが最も安全ですが。
まぁ結局、ロープ使わない登山だと、相方がもし崖から落ちた場合、残された側は落ちてくところを見てることぐらいしかできないわけで…
剱岳の鎖場を越えていく場合とか、友達100人と一緒に登っても、別に安全性が上がるわけでもなく…
単独登山のメリット
自分のペースで歩くことができる。
山登りは素晴らしい。美しい景色に囲まれて歩く…至福のひと時です。
そんな時に、仲間から「疲れたー」「もう歩きたくない~」とか文句タラタラ言われたら、山と私の時間を邪魔されたような気がして殺意が沸いてくることも!?
そんな言葉に惑わされず、自分のペースで歩きたいだけ自由に歩ける気軽さが、単独登山の楽しみの一つです。
進むも戻るも自分の判断で
例えば雪山での山頂近く、天気はどんどん悪くなっていく状況。吹雪になりそうです。
仲間は「せっかくここまで来たんだから登頂してしおう」と力強く主張している。
そんな時は悩みますよね。
単独のいいところは、帰りたくなったら自分ひとりの判断でいつでも帰ることができるところです。麓に着いたけども登る気分になれないときは、山に登らず温泉に入って旨いものを食ってもいい…。
体力のない人に足を引っ張られ、登頂できなかったとか悔しい思いをしなくて済むというのも良いと思います。
進む進まないの決断は、適確な状況判断能力が求められる場面もあり、結構難しいところではあります。
山友達ができやすい
ディーアイは人見知りなので、可愛い山ガールがいても、話しかけることはできません。
山をはじめて数年間はひとりで登っていました。
それでも、登山をそれなりに続けていくと面白い仲間と出会ったりすることもできます。
ひとりで来ている相手には話しかけやすかったりもするので、ちょっとした会話がきっかけで仲良くなったりすることもあります。
仲良くなれる相手には、何かしらオーラというか雰囲気があるのでしょうか、変な面白い山仲間との出会いも何度かありました。
山で出会った某有名大学の山岳部の部長と、モンブランを一緒に登りに行ったり、
音楽家から山岳ガイドに転身したHさんと、北アルプスのバリエーション登ったり、
雪の仙丈で出会ったMさんとは何度もクライミングでご一緒したり、
多分、誰か友達と一緒だったら出会うことはなかっただろうな~というようなご縁もあるので、単独=寂しいヤツというわけではないです。多分。
恥ずかしい出来事も目撃者ナシ
ディーアイは、山で誰かさん(人間)のウンコ踏んだことを仲間にネタにされました。
ひとりで登っていれば、恥ずかしい出来事を誰かに笑われたりすることはないですね。
ひとりならウンコ踏んでも大丈夫ですよ。
単独登山のデメリット
助かるかもしれない場面で助からず
マイナールートで骨折なりして歩けない。携帯の電波が繋がらない。登山届け出してない…と3つ重なればそこがショボイコースでも死亡です。
そんな時誰か一緒にいてくれれば、ひとっ走りして助けを呼びに行ってもらうことも可能です。
これは単独で登る以上どうしても背負わなければならないリスクですね。
寂しいヤツだと誤解される
~職場でよくある会話~
社会人「休日何してたの?」
ディーアイ「山に登ってきました」
社会人「誰と?」
ディーアイ「ひとりです」
社会人「そう…(ドン引き)」
恐らく同じような体験をしたことをある方も少なくないはず。
確実に相手は、
「何でわざわざ休みの日に疲れる山に登って…しかもひとりだって、友達いない寂しい人なのかな? かわいそう。ププッ」
とか思われてるんじゃないでしょうか。何か悔しいですね。
辛いことも笑い飛ばせない
例えば、あなたが山行中に誰か(人間)のウンコを踏んだとしましょう。
臭いし汚いし、大事な高級登山靴が汚れてしまって最悪です。
テンションダダ下がりです。
そんな時にファンキーな仲間がいれば、そんな辛い出来事も笑い話にしてくれて、いくらか救われることもあると思います。
ひとりなら辛いことは辛いままで終わってしまうこともあるのです。
独学でやっていくということ
先にも述べましたが自分はひとりで冬山登山をはじめました。
はじめるにあたって、雪山の技術書と、インターネット大先生に色々教わりました。
当然、いきなり冬のアルプスとかは無理なんで、初めは低山の比較的人が多くて危険度の少ないところからはじめて、徐々にレベルアップをしていきました。
冬山を独学で学び、ひとりで登っているというと、すごくリスキーな行為なんですが、今のところは無事故でやっております。
一応自分がリスキーな行為をしているという自覚があるので、向かう山の情報収集をしっかりと行っています。冬は積雪状況が問題になるので、何日も前から天気の確認を怠らず、積雪状況を判断しています。
装備についても、より安全に登山ができるものはないのか、情報収集にはかなり時間をかけました。
山の技術書も色々買って、繰り返し何度も読みました。遭難の事例の本も読んで、同じ状況に陥らないように気をつけるようにしています。
ディーアイの山仲間で、単独で冬山に登るような人は、勉強熱心だったり、慎重に状況判断を行う人が多い印象です。
独学のひとつの利点としては、インターネット等を通して最新技術を学べるというのも大きいと思います。
相手の顔が見えないネットの情報はもちろん気をつけなければならないですが、昔の技術・知識をアップデートしないまま行っている経験者のやっていることも危なかったりします。
特に最新の山道具に関する情報は海外でまず最初に発表されるので、海外サイトにアクセスすれば、世界の最新情報を素早く手に入れたりすることも可能です。
情報通=すごい山屋ではないですがね。
しかし一方で、素人が長い時間をかけて勉強や情報収集をするよりも、熟練のガイドや経験豊富な山屋・クライマーに教えてもらう方が手っ取り早かったりするのも事実。
早くレベルアップしたい場合は、結局すごい人に教えてもらう方が早いような…
人見知りで、誰かに教わりたくないわけじゃないけど、なかなか声がかけづらい…
そんなディーアイみたいな人にとっては、インターネット大先生は素晴らしい味方になってくれました。
今の時代に生まれてよかった!
登山関連の別記事