ディーアイにとって数年前までは山遊びといえば登山だけでしたが、最近はクライミングにもハマっています。
クライミングを始めたことによって、山で活動するバリエーションが増えました。また、もともとの趣味であった登山に対しても良い影響を与えていることを感じます。
登山を楽しむ人は、登山だけでなくクライミングもやった方が、山遊びに幅が広がって良いと思いますよ~というのが今回の記事の内容です。
登山者にクライミングをおすすめする理由
クライミングの主な分類
クライミングと一口に言っても、色々な種類・分類があります。そのへんを細かく説明するとすごく長くなるので、分かりやすく適当に分けます。
ボルダリング
ロープを使わずに専用の靴のみを履いて行うシンプルなクライミングです。
ロープを使わずに登るため、基本的に落ちてもいいような高さで行われます。
最近流行の室内クライミング施設は、多くがボルダリング専用ですね。
下にマットが引いてあるので落ちてもよっぽど安心です。
ロープクライミング
書いて字の通り、ロープを使って行うクライミングです。
登る人(クライマー)に加え、クライマーが墜落した時に地面まで落ちてこないようにロープを操作する人(ビレイヤー)の2人1組で行います。
岩に登るというテクニックに加えて、ロープ操作の技術と、地面までの墜落を止めるための道具が必要となるクライミングです。
クライミングをすることのメリット
岩を登るクライミングと、山を歩く登山とでは性質が違い、クライミングの技術は一見登山では役に立たないような印象があるかもしれません。
しかし、クライミングを覚えることで登山で役に立つことも色々あります。
バランス感覚の向上
クライミングは一見すると腕の力で登っているような印象もあるかと思いますが、バランス感覚が非常に重要です。
クライミングではバランス感覚を鍛えることができます。
バランス感覚が高ければ、登山中に転びそうになったりしてもとっさに体勢を立て直したりと、事故を未然に防ぐような防衛力となります。
岩場で有利
特に北アルプスの稜線上では、岩場や鎖場が度々登場します。
そういった場所を通過する前に、クライミングを通して岩慣れしておくことにより、一般的な難所とされる岩場や鎖場をスムーズに通過できるようになります。
上の写真は穂高岳のジャンダルム。
恐ろしく感じる岩場が多いですが、岩慣れしていれば通過もスイスイです。
登山のバリエーションの増加
ボルダリングでは岩場での動き方を鍛えることができます。
ロープクライミングでは岩場での動き方に加え、ロープの扱い方(ロープワーク)を習得することができます。
特にロープワークを覚えておくことにより、のちのち難易度の高い登山スタイルを行うことが可能となります。
岩場などの困難なルートから山頂を目指す、アルパインクライミング。
時に泳ぎや滝登りなどを行いながら谷を詰めていく、冒険性の高い沢登り。
冬季に凍りついた滝を攀じ登る、アイスクライミング。
まずは比較的安全な環境でクライミングを学ぶことにより、より冒険性の高い山遊びが出来るようになります。
そうすることで、山との関わりに更に幅を持たせることが可能となるわけです。
登山者はクライマーに学ぶことが多い
クライマーたちの目標に向けたトレーニングへの熱意は、個人的にかなり刺激を受けました。
登山の場合、例えば冬の穂高岳でも、天候が良くて適確なトレース(足跡)があって、更に経験者が同伴していれば、それほど登山の経験の無い人でも割とあっさり登れてしまうことがあります。(冬の穂高が簡単というわけではありません、念のため)
それに対してクライミングでは、例え数メートルの箇所だとしても、実力が足りなければそれ以上先に進むことができません。
ラッキーで登れたなんていうことが無い(アンラッキーはあっても)、実力だけがものを言う世界です。
そのため、登りたいルートがあるクライマーは、常日頃から努力をしているわけです。
SNSで盛りに盛った登山報告が上がることもありますが、どこまで本当なのかは当人のみぞ知るところ。
一方のクライミングでは、努力の結果はグレードとして数値で表されてしまいます。数字は時として残酷です。有名な登山家(笑)みたいなのがクライミングをしたがらないのも納得です。
登山者は努力が足りない!とういう話ではありません。面白い登山をしている人は大勢いますし、別にハードな登山やクライミングをしている人だけが偉いというわけでもありません。花や自然、山での食事など、登山の楽しみ方は多様で、どれも楽しいですし、それはそれで素晴らしいです。
「俺登山の初心者だけど劔岳登っちゃったよ(凄いだろ?)」みたいなのは何だかなぁ、です。
これから山のバリエーションを増やしたい人へ
特に上昇志向の強い若い登山者は、登山と平行してクライミングにも手を出したらいいんじゃないかと思っています(もし興味があれば)。
クライミングのいろはを学ばずに、クライミング要素のあるバリエーションルートに突っ込んで行く登山者は、見ていて冷や冷やものです。
初級のバリエーションをフリーソロ(単独、ロープ無し)で登ったとして、それはハイカーにとっては凄いことかもしれませんが、クライマー目線で見ると“所詮初級ルート”。山岳会によっては、入会して間もない“ほぼ初心者が練習するところ”という位置付けだったりします。
せいぜいIII級程度の岩場で「フリーソロ!オンサイト!」と鼻息荒く言うのは、クライマーから見るとちょっと痛々しい行為かもしれません。
ディーアイも昔はそんな行為をしていましたが、入門者向けルートで無駄に命を危険に晒すのもどうかと思ったのと、「この行為をエスカレートさせていくといずれ死ぬ」と感じたので、今では余程簡単な岩場でない限り、誰かと一緒に行ってロープを使っています。
ロープを結び合う仲間も増えて、クライミングを本格的に学んだことは本当に良い選択だったと思っています。
まだまだクライマーとしては未熟な身分で、クライミングのススメみたいなことを書いてしまうのは恐れ多い気もしますが、どなたかの参考になれば。
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