山を楽しむために最も必要なものは、個人的には体力だと思っています。
「自然を楽しむための繊細な感性★」とかじゃなくて「体力」です。
山登るために凄いマッチョになろう!…という話ではありませんよ、念のため。
自然はある意味平等です。
あなたがお年寄りでも、子どもでも、妊娠中でも容赦ナシです。
一度荒れれば、強烈な風や、雨や、雪を容赦なく叩きつけてきます。自然環境は、どんな言い訳も通じず、情け容赦もありません。荒れた天気の中で生き残るのに必要なのは、装備、技術、そして体力です。自然の猛威に耐えられなければ、死あるのみ。
なにも生きる死ぬの話だけではなく、山をニコニコ楽しむためには、やっぱり体力は無いよりあったほうが断然良い!
「あー苦しい、なんでこんな苦しい思いをしなきゃいけないんだろうゼェゼェ」とか言いながら登山するより、「山登りは楽しいなぁ、ルンルン♪」という感じに登れた方がやっぱり楽しい。
多くの社会人の場合、ストレスまみれの仕事をこなした後の、貴重な休日。そんな休みの日に登山をやるなら、できるだけ楽しく時間を過ごせた方が良いと思います。
そのための体力です。
そして、体力があればこそ、山遊びの選択肢は更に広がっていきます。
マイペースでのんびりやれることも登山の魅力ですが、体力は無いより絶対あった方がいろいろと都合が良いということを解説していきたいと思います。
体力があれば山遊びの選択肢を増やすことが可能
体力のある人がのんびり歩くことは可能だが、その逆はない
「急いで登ってしまったら景色が楽しめないから、のんびり登ることは大事」という言葉があります。この言葉には一理あり。
「コースタイムを○○%短縮したぜ」のような登山とは一線を画し、山の空を、花を、木々を愛でながらのんびり登山をすること、それも山の素晴らしさです。
のんびり登山は素晴らしいと思います。しかし、「登山に体力が不要」というのとは全く別です。
歩くのが早い人が意識的にのんびり歩いて山を楽しむことは可能ですが、運動不足ですぐに息が上がってしまう人は、いくら急いでも早く登ることは不可能。
「全ての登山者は高山を駆け上がれるほどの体力を持つべき!」と極論を主張する気は全くありませんが、自分が登りたい山を、安全に余裕を持って登れる体力は、最低限持っておきたいところです。(安全登山の意味も込めて)
日本中(あるいは世界中)いろいろな山に登りたい!という欲求があるのなら、体力はいくらあっても困ることはありません。一方で、「体力的に足りなくて憧れの山に登れない」というお悩みはありそうです。
そのへんを解決するのは、やはり登山に適した体力です。
体力的な余裕は気持ちの余裕
山歩きの途中、足元に咲き乱れる可憐な花にハッと気づき、足を止める。静かに眺めるも良し、写真を撮るのも良し。
一方で、体力を使い果たし、天国に召されそうなほどフラフラに疲れた状態で花を見つけても、「花とか今はどうでもええわ」となってしまうことも。
景色も同様に、疲れていると下ばかり見がちになってしまい、美しい光景が目の前に広がっていても、体力的な余裕がなければ十分に楽しめない可能性もあります。非常に勿体無い。
結局のところ、何かを楽しむという行為をするためには、ある程度の余裕が必要なのです。
山登り中、自然を楽しむための繊細な感性があれば、より山を深く楽しめるのかもしれません。しかし体力的な余裕がなければ、その感性は「疲れてるからまぁええわ」みたいに発揮されないことも。
余裕を持って山を楽しむためにも、体力は必要です。
余裕が無いと喧嘩にもなる
人間余裕が無くなると、些細なことでもイライラしがち。
誰かと一緒に山に登っている場合、体力的に余裕がなくなってくると、普段ならちょっとしたことでも癪に障る場合があります。そこまで仲良くない相手ならまだ抑えが効きますが、家族やパートナー、親友とか、気心知れた相手の場合は注意。これ結構ホント!
日帰り→小屋泊→テント泊
体力があることで、山遊びの選択肢が広がる一例。
はじめは、日帰り登山から。荷物は5kgぐらいでしょうか(行程にもよる)。
日帰りで登山の基礎を覚えて、山小屋に泊まるタイプの山行へ。行動食が増えたり、着替えや防寒着など、装備は日帰りと比べて少し増えます。7kg~10kgぐらい?
日帰りのハイキングと比べると、少し体力的にキツくなってくることが多いです。
テント泊ともなると、装備の重量が15kgほどになることも。布団1枚につき2人とか、山小屋が超混雑するシーズンでも、テントならプライベートな空間を確保することができます。体力的には山小屋泊とくらべてかなりキツイですが、テント泊ならではの山の楽しみというのもあります。
このように、日帰り登山なら荷物は軽くて済みますが、山小屋→テント泊となると、装備はどんどん重くなり、体力が必要となってきますが、山遊びの選択肢の幅は広がります。
デカいカメラも体力が必要
山の絶景を写真に収めるのが好きという人は多いと思います。「どうせ撮るなら高画質で!」という思いもありますが、一眼レフとかは重いです。
夜空の写真とか、コンデジやスマホの写真だとイマイチ上手く写せない条件でも、良いカメラなら設定次第で撮影可能です。
他にも、交換レンズを使って撮影を楽しむ方法も。
広角レンズでバーンと風景を大きく収めたり。
望遠レンズを装着して野生動物を撮影したり…。
と、山での撮影は楽しいのですが、一眼レフ(あるいはミラーレス)と交換レンズって、かなり重いし嵩張るんですよね。画質のいいヤツほど、デカく重くなる傾向があります。
良い写真が撮りたきゃ良いカメラ(レンズも)が必要となってくるわけで、そうなると必要になるのは、重い撮影機材を担げる体力です。
絶景があることが分かっていても、最高の機材を持っていても、それを背負って現地に行けなきゃ意味ないですからね。
★山とカメラについてはこちらの記事も!
豪華山ご飯も体力
SNS栄え(イイネ!がいっぱいもらえるヤツ)する美味しそうな山ご飯…。たくさんのイイネ!を集めるためには、ちょっと凝った料理が必要となります。
例えば山で肉を焼く時に使っているヨコザワテッパンは、鉄板だけで1kgの重さがあります。持っていくと確実に装備が重くなる困ったヤツです。
友人の山岳ガイド(○ッシー)が作ってくれたガチな山メシ。
食材と調理器具で結構な重さになると言っていました。山で良いものを食べようと考えると、それを担ぐだけの体力が必要ですよ!
覚えておいてください。山のメシは体力で運ぶ!
生き延びるための体力
山の大自然は、刻々と条件を変えていきます。もしも、予期せぬ悪天に遭遇してしまった場合、生き残ることができるかどうかは体力がカギになってきます。
もしくは、天気が崩れそうな予感がした場合は、サッサと逃げ帰ることも可能。体力があれば、超高速でその場から逃げ去ることが可能です。モタモタ歩いていると、雲や霧に巻かれて道をロストする危険性も。
基礎体力があることで見えてくる山遊びの広がり
最初は日帰りのハイキングからでした…。
日帰りから山小屋泊へ、それからテント泊登山を始め、冬山、クライミングと幅を広げる生活…。
山が楽しくて、何度も山に登っているうちに、一般登山以外の山の楽しみを覚え、いろいろな山の楽しみ方に触れることができました。登山を通じて基礎的な体力が出来上がっていたことで、様々な遊びへと発展していきました。
その一方で、のんびり歩くのも嫌いじゃなかったりします。
ゆっくりとした登山と、そこそこ厳しい山行と、両方やってみて思ったことは、「体力があればやれることは広がるから、無いよりはあった方が断然良い」
体力をつけるために
「体力があれば良いのは分かってるんだけど…」という気持ちも分かります。我々の多くは基本的に忙しい。
そのため、少しずつでもできるところからトレーニングなどで体力向上を図っていきたいところです。
【例】
★ 車(電車)での通勤を、できるだけ歩く。もしくはジョギング・自転車。
★通勤の際に持っていくカバン(リュック)に重りを入れる。
★数分の空き時間を利用してスクワット等の実施。(1セットを数分で分けて回数をこなす)
★軽い登山(ハイキング)の際、あえて荷物を重くし体に負荷をかける。
いきなりジムだの激しい筋トレだのをやろうとしても、挫折してしまうことも多々ありますし、あまり初っ端から飛ばしすぎると故障の原因にもなるので、少しずつ可能なところから始めていくのが良いと思います。
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