【カンプ カシン】Xドリーム(ノーマル)・Xドリームアルパインの比較と相違点【アイスアックス】

f:id:di82:20190210235103j:plain

イタリアの登山・クライミングブランドであるカシン(カンプ)が制作している傑作アイスアックス、X(エックス)ドリーム。

先行発売されたXドリーム(ノーマルバージョン)と、後日発売されたXドリームアルパイン、2種類がラインナップされています。今回、その2種類が1本ずつ手元に転がり込んできたので、その違いを比較していきたいと思います。

 

CAMP Cassin X-Dream(Alpine) 【アイスアックス比較】

f:id:di82:20190210235921j:plain

大きなグリップ(ハンドル)が特徴的なアイスアックス、Xドリーム。特に傾斜の強い氷瀑やミックスルートなどで高い性能を発揮します。

左側がXドリーム(ノーマルバージョン)

右側がXドリームアルパインです。

よく似ているけど微妙に違う2種類のアックス。決して安くない製品ですし、どちらを買うべきか悩んでいる人もいると思うので、2種類のXドリーム(アルパイン)の相違点を、以下にピックアップしていきます。

 

Xドリーム(アルパイン)・スペック比較

f:id:di82:20190210235825j:plain

カシン・Xドリーム

全長:50cm

重量:600g

素材:クロモリ(ピック)、アルミ(シャフト)

強度:T(ピック、シャフト)

価格:31,000円+税

握りやすいグリップが特徴的な、ドライ・アイス用の角度調整機能が付いたテクニカルアックス。

 

f:id:di82:20190210235819j:plain

カシン・Xドリームアルパイン

全長:50cm

重量:630g

素材:クロモリ(ピック)、アルミ(シャフト)

強度:T(ピック、シャフト)

価格:34,000円+税

ヘッドにハンマーと、グリップエンドに石突きが追加されたXドリーム。

 

ピック形状の違い

f:id:di82:20190210235834j:plain

Xドリーム(ノーマル)と、Xドリームアルパインの違い。

まずヘッド部に着目すると、ハンマーの有無が最初に目の行くところです。

XドリームとXドリームアルパイン、手元に届くまで、ハンマーの有無しかヘッドには違いがないと思っていましたが、ピック形状も微妙に異なっていました。

 

f:id:di82:20190210235901j:plain

Xドリーム(ノーマルバージョン)のピックです。 

『MIXTE(ミックスピック)』というピックが付いています。強度はT規格。

ドライ(岩などにピックを引っ掛けながら登ること)でも使用できるよう、返し部分が多めに取ってある感じ。

 

f:id:di82:20190210235907j:plain

こちらがXドリームアルパインに装着されているピック。

『ICE(アイスピック)』というピックです。こちらも強度はT規格。

ピック自体にハンマーが装着されている他、シャフト部まで連なる返しの部分がミックスピックより若干短めで、ピック上部のギザギザも控えめ。この辺はアイスではあまり使わないところなので、省略してある感じ。

 

f:id:di82:20190210235913j:plain

ピック先端部分の形は一緒なので、ミックスピック、アイスピック共に、氷への刺さりの違いはなさそうです。

アイスクライミング的な観点で見れば、Xドリーム(ノーマル)と、Xドリームアルパインの氷に対するパフォーマンスについては、ほとんど一緒と考えてよさそうです。

 

ハンドル(グリップ)の形状比較

Xドリーム(ノーマル)とXドリームアルパインの、もうひとつの主な相違点は、グリップエンドに付いている石突きの有無です。

f:id:di82:20190210235847j:plain

左側がXドリーム(ノーマルバージョン)のグリップ。石突きはなくギザギザの金属パーツが付いています。

右側がXドリームアルパイン。グリップエンドに立派な石突きが装着されています。斜度の強い雪面やナメ氷での歩行補助に役立ちそうです。しかし、Xドリームはそもそもアックスの形状的に、歩行補助に使うのには使いにくいです。歩行時の支えに使うのは緊急的な場合のみになると思います。縦走用のピッケルの代わりにはならないでしょう。

氷瀑へのアプローチなどでは、意外に足場が悪いこともあるので、一時的な歩行補助に使える石突きは、無いよりはあった方が便利かもしれません(行く場所にもよりますが)。

 

f:id:di82:20190210235840j:plain

Xドリーム、Xドリームアルパイン双方に、グリップ部分のフィンガーレストパーツ(大小)が付属しています。フィンガーレストはネジ止め式で、小さめのプラスドライバーを使って着脱可能。

自分はフィンガーレスト(大)が付いている方が握り易いと感じました。好みによってグリップ部分のカスタマイズができるのは良いと思います。

 

ちなみに、グリップ(ハンドル)部分は取り外しが可能で、グリップ部分は交換可能です。

グリップ(ハンドル)のみ購入できます(石突き無し/有りバージョン両方)。

 

角度調整機能

先に書いたとおり、Xドリーム(ノーマル・アルパイン両方)は、ハンドル(グリップ)部分を取り外し可能です。

f:id:di82:20190210235941j:plain

付属の六角レンチを使用して、ハンドルを取り外したの図。最初はネジの締まりがかなり硬目で、結構な力がいりました。

 

f:id:di82:20190210235948j:plain

ハンドルを装着する際に、アイス用とドライ用で、シャフトの取付角度が調整できます。これはXドリーム(ノーマル)、Xドリームアルパイン両方に付いている機能です。

 

f:id:di82:20190210235810j:plain

それぞれICEとDRYで設定した2本のアックスを重ねてみた図。

上がICEで、下がDRYです。

 

地味な相違点・トリガー部分

f:id:di82:20190210235853j:plain

手元にXドリーム(ノーマル)と、Xドリームアルパインが到着するまで気づかなかった違い。左がノーマル、右がアルパインのシャフトです。

シャフト部分に装着されているトリガーが、微妙に異なっています。

トリガー位置を調整するためには、ノーマルバージョンに付属しているトリガーの場合だと小さな六角レンチが必要になるのに対して、アルパインバージョンに付いているトリガーは、摘まみを回すことでトリガーを緩めることが可能です。これにより、工具無しでトリガー位置を調整可能。その代わり、微妙な出っ張りが存在しているので、気になる人にはちょっと気になる?自分はトリガー位置なんて、そんな頻繁に変更しないし…。

 

結局どっちが買いか

Xドリーム(ノーマルバージョン)と、Xドリームアルパインの違いなどを、書いてみました。基本的にはほとんど違いはないアックスです。

ノーマルとアルパインの主な違いは、石突きハンマーの有無。ハンマーと石突き、使わない人には必要ないパーツではあります。

ノーマルバージョンのいいところは、石突きとハンマーが無い代わりに、重量が30g軽くて、値段が3,000円ほど安いところ。

結局のところ、ハンマーでピトンか何かを打ったり、際どいアプローチや登下降の歩行補助で石突きを使う可能性のある人は、アルパインを買っといた方が後悔はなさそうですね。

アプローチの危険度が比較的低いゲレンデでのアイスクライミングや、ドライウォールのコンペなどで使う場合、石突きやハンマーは多分あまり使わないので、ノーマルバージョンでも十分な気がします。

結局どっちが必要なのかは、使う人の用途って感じですね。

 

 

以上、記事を書いてみましたが、このアックス、正確に言うと自分のものじゃないのです。何度か使わせてもらってから、自分が所有しているアックスとの比較など、レビュー記事も書いてみたいと思います。

 

こちらの記事もどうぞ

www.dimountainphotos.com