【冬の八ヶ岳】雪山初心者向けルート4選

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八ヶ岳…真冬でも意外とアプローチが良く、それでいて本格的な雪山の世界が体験できる場所。

冬の八ヶ岳で雪山登山の基礎を学び、そこからステップアップをしていた登山者は多いと思います。冬山の世界で生き抜くために必要なことが多く学べるのが、八ヶ岳。

今回の記事では本格的な冬山登山の入口となる場所・八ヶ岳で、初心者向けルートを4つ紹介していきます。

 

【冬季八ヶ岳】入門ルート4選

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八ヶ岳全景(蓼科山除く)

 

北横岳 2480m【ロープウェイ・坪庭から】

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『本格的な冬山の気温を体験できる入門編』

★日帰り

 

冬山未体験者が、冬山とはどんなところであるか体験するのに適した場所。

通年営業の北八ヶ岳ロープウェイを使えば、労することなく標高2237mに到着できます。ロープウェイ山頂駅を出ると、そこは本格的な雪山の世界。

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厳冬期(1月~2月ごろ)では、ロープウェイ駅から一歩外に出ると、気温は-10℃を軽く下回っています。

冬山の寒さを誰でも手軽に体感できるという意味では、北八ヶ岳は貴重です。

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未体験者が、厳冬期の山がどれほど寒いのか体験するのにぴったり。外に出て耐えられないほど寒ければ、ロープウェイで引き返せるという安心感があります。

初心者でなくとも、新しい冬用のウェア・ギアを手軽に、安全にテストするのにも良い環境です。

大して冬山に登ってない自称登山ブロガーさんが、「ワークマンのウェアは冬山でも使えます」とかやるのにもピッタリ。

 

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遮るものが何もない、北横岳の山頂(2480m)では、冬山らしい冷たい強風が容赦なく吹き付けます。この強風に吹かれてみるのも、冬山初心者には貴重な経験となるでしょう。すぐ下の樹林帯に戻れば大抵風はピタリと止みますし。

山頂直下には通年営業の山小屋・北横岳ヒュッテ(要予約)があり、のんびり雪の世界を散歩するスノーハイクにも対応。冬山のハードな環境を、比較的ゆるく楽しめるのが魅力です(防寒対策はもちろん必要)。

 

【北横岳まとめ】

★ロープウェイを使えば、誰でも手軽に本格的な冬山の寒さを体験できる

★北横岳は冬の八ヶ岳で最も簡単に立てるピーク

★冬山に持っていくギア・ウェアのテストが比較的安全にできる

 

蓼科山 2531m【女神茶屋ルート】

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『コンパクトな内容の中に冬山のエッセンスを凝縮』

 ★日帰り

 

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八ヶ岳の北端にある山。蓼科山はそれ単独で日本百名山にも選ばれています。

登山口のひとつである女神茶屋からの標準コースタイム(無雪期だけど)は3時間で、日帰りの山です。

コースタイムは短いものの、しょっぱなから急登の連続で、意外と体力を使います。夏山(無雪期)よりも確実に重くなる冬山の装備を担いで、その急坂を登るのは、装備を持ってどれだけ歩けるかをテストするのに最適です。

登山道沿いに危険箇所はほぼありません。道が凍っている可能性があるのでアイゼンは必須ですが。

 

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山頂直下は岩がゴロゴロとしており、アイゼンを履いた状態では正直歩きにくいです。

八ヶ岳の盟主・赤岳などでは岩と雪のミックスした場所で転ばないように歩く確実なアイゼン歩行技術が必要になるため、ここで岩と雪の上をバランスよく歩く技術を学ぶのも良いでしょう。

 

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蓼科山の平坦な山頂部では、天気が良ければ360°の大展望が楽しめます。

天気が悪くて視界の無い時には、方向感覚がなくなり下降路(戻る道)を見失いやすいので注意。

山頂は風が強いことが多いので、ゆっくりと展望を楽しむつもりなら防寒対策をしっかりと。

登りが急なら下りも急。下山時は転ばないよう確実な足さばきを心掛けるのも、良い練習となります。

 

【蓼科山まとめ】

★八ヶ岳の中では短いコースタイムで山頂に立つことができる

★基本的に急坂の登りになるため、短いながらも登り応えがある

★山頂直下の岩と雪が入り混じった場所は、アイゼン歩行の良い練習となる

 

天狗岳 2646m【渋の湯から】

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『日帰り、泊まりに、楽しみ方いろいろ』

★日帰り~1泊2日

 

東天狗岳(2640m)と西天狗岳(2646)、ふたつのピークを持つ山、天狗岳。

メインのピークである東天狗岳のみ登頂しても十分楽しめますが、時間があれば西天狗岳まで足を伸ばすのも良いです。

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天狗岳で特筆すべきは、景色の美しさ。

真っ白な霧氷や、シュカブラ(風紋)など、冬山ならではの美しい自然の造形を存分に楽しみながら歩くことができます。

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ルート上の危険箇所はほとんどありませんが、東天狗岳山頂間近に雪の急斜面が出てくるので、前爪のあるアイゼンを強くおすすめします。

悪天候時は強風に吹きさらされるので、天気が悪い時には中山峠あたりで引き返すのが無難です。

また、メジャーなのは黒百合ヒュッテを経て中山峠から山頂(東天狗岳)を目指すルートですが、黒百合ヒュッテから天狗の奥庭経由で東天狗を目指すルートもあります。こちらは真冬ではあまり歩いている人はいないですし、天候が急変すると現在地を見失いやすいので、注意が必要。

 

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貴重な通年営業山小屋・黒百合ヒュッテの存在は大きい。冬山で一晩を過ごすという体験も素晴らしいです。

小屋の目の前がテントサイトになるので、はじめての冬山テント泊にもピッタリです。万が一トラブルに遭った際、小屋に逃げ込めます。万が一に備え、テント泊目的でも小屋に泊まれるだけの現金を一応持参しときましょう。

 

【天狗岳まとめ】

★展望がよく、霧氷やシュカブラなど、美しい冬景色を見られる(天候次第)。

★西天狗岳まで足を伸ばしたりすると、充実度が上がる。

★通年営業小屋が目の前にあるので、冬のテント泊チャレンジにも最適。

 

硫黄岳 2760m【美濃戸から】

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『南八ヶ岳・ここから始まる雪と風の世界』

★日帰り~1泊2日

 

爆裂火口が有名な南八ヶ岳の山。ここから横岳を経て、赤岳や阿弥陀岳へと縦走することも可能。硫黄岳までなら、滑落の危険度は低いため、雪山経験があまりない人も比較的安全に楽しむことができます(安全を保証しているわけではありません)。

硫黄岳山頂から眺める、急峻な南八ヶ岳の山々も壮観です。

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アイスキャンディー(人工氷爆)で有名な赤岳鉱泉は、冬でも営業している貴重な山小屋です。快適な山小屋に泊まって、素晴らしい休日を満喫するも良し。小屋の目の前にテントサイトがあるので、冬山のテント泊デビューにもぴったりです。

早朝に出発すれば、硫黄岳には日帰りでも登頂できます。

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森林限界付近。樹林帯を抜けて少し登ると、『赤岩の頭』といわれる少ピークの近くに出ます。

赤岩の頭付近は急斜面で、過去には雪崩が発生し、登山者が巻き込まれる事故が発生しています。積雪後は特に注意が必要です。

 

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赤岩の頭を過ぎると、環境が激変。突然強い風に吹きさらされることとなります。厳冬期では、防寒対策が不十分だと凍傷のリスクがぐっと高まります。

八ヶ岳は北アルプスに比べると雪の量は少ないですが、風と寒さは同等です。赤岩の頭から硫黄岳の山頂まで、距離はそれほどでもありませんが、厳しい環境に耐えながら登ることになります。強風や悪天の際には引き返す判断も大切です。

こうした冬山の厳しい環境を知っておくことが、冬山登山の『次』に生かされてくるわけです。

 

【硫黄岳まとめ】

★南八ヶ岳の概要がつかめる。

★森林限界を境に環境が激変。進む、戻るの判断力も必要。

★通年営業小屋が目の前にあるので、冬のテント泊チャレンジにも最適。

 

注意事項

交通の便もよく週末は比較的多くの登山者を迎え入れる八ヶ岳ですが、寒さと風(厳しさ)は一級品です。実際に冬の八ヶ岳では、遭難事故が数多く発生しています。

雪山では同じ場所・同じルートでも天候しだいで難易度が激変します。天候判断は慎重に。悪天候の予報がある場合には、山に近づかないことも冬山では大事な技術です(リスク管理)。

事前の天候判断や情報収集は慎重に。できることなら、初心者は経験者と共に冬山登山を始めることを強くおすすめします。

 

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