『山の行動は早発ち早着きが原則』と言われています。
登山では、早くに行動を開始し、早めに行動を終了するのが良いという意味です。
今回の記事では登山の初心者向けに、何故山では早朝から行動を開始すべきか、その理由を説明していきたいと思います。
山で良い思いをしたければ、頑張って早起きした方が良いですよというお話。
登山では朝早くから行動を開始するべき理由
山では午後から天気が崩れてくることが多い
特に夏山では、朝は晴れていても、昼に掛けて雲がどんどん湧いてきて、午後になると標高の高い山には雲がかかり、更に夕立が降ってくることが多いです。
せっかく苦労して山頂に着いたのに、ガス(雲・霧)がかかって何も見えやしねぇ…
なんていうことは、山ではよくあります。
麓(街)での天気予報が晴れと言っていても、山ではガスガスで展望ゼロ…なんてことも普通です。
平地と山の上では天気は違いますが、晴れ予報なら早朝は山の上でもカラっと晴れてくれることが多いです。
朝は晴れ渡っていたとしても、山の上では午後にかけて雲が湧いてきて~というパターンが多いです。
山で絶景を見たい場合は、早めに行動を開始して、雲が湧いてくる前に見晴らしのいいところに到着したいものです。
★五色ヶ原での天候体験
以前、夏に北アルプスを縦走していた時の話。
まだ薄暗い早朝に出発し、昼頃には目的の場所に到着しました。
夕暮れまでにはまだまだ時間はありますが、予定通りこの場所でテント泊を行います。
この時点で多少雲は出ていたもの、空は晴れており見晴らしは良好でした。
テントを張ってしばらくのんびり景色を眺めていると、モクモクと積乱雲が発達していきました。
その後、バケツをひっくり返したような大雨に降られました。
早めに行動し、昼過ぎにはテントサイトに到着するという余裕を持った行動をしていたお陰で、大雨が降ってもテントの中でしのぐことができました。
「日が落ちる前にテントサイトに到着予定~」とか、余裕のない時間設定で登っていた場合は、大雨に降られて大変な目に遭っていたことでしょう。
夕立と共に雷が落ちてくる可能性もあるので、積乱雲が発達している状況で、稜線上で行動することは危険が伴います。
山で早朝から余裕を持って行動することは、ガスのかかる前に絶景を見られるチャンスを得られると同時に、夕立の大雨や落雷を避けることにもつながります。
景色と安全、二つの意味で早朝行動をおすすめします。
日帰りでも、泊まり登山でも同じです。
時間に余裕が生まれる
登山中には色々なトラブルが発生する可能性があります。
捻挫などの怪我や、道迷いなどが起きてしまうこともあります。
そんなトラブルが発生し、下山が間に合わないと
周囲は闇に閉ざされてしまいます。
外灯もなにもない山の中では、夜になってしまったら基本的にライトがないと何も見えません。
山の中では携帯電波が通じない場所も多く、助けを呼べないこともあります。
ライトを持っていれば行動は可能ですが、それでも周囲は闇の中。怪我した状態や道に迷った状態で歩き回るのは得策ではない場合が多いです。
下山予定の日に降りられなくなってしまう…それはもう遭難です。
自分が辛いのはもちろんのこと、家族や友人、そして会社などに大きな心配や迷惑をかけてしまいます。
早朝から登山を開始することで、日中の活動時間が長く取れます。
例えば6時に明るくなって18時に暗くなる場合、
6時に行動を開始すれば12時間、周囲が明るい中で活動できますが、
9時に行動を開始した場合、明るいのは9時間という計算になります。
「ちょっと道に迷ってしまった」とか、「足の調子が悪くなって思ったよりもペースが上がらない」といった状況になった場合、行動時間が長く取れれば、暗くなる前に下山したり安全な場所に到着できる可能性が高まります。
安全のマージンを広く取っておくためにも、早めの行動をおすすめします。
…登山は意外と、時間との闘いなんですよ。
ゆっくりと景色を楽しむことができる
12時に山頂に到着した場合。
下山に3時間ほどかかり、15時には登山口に戻りたいとすると、登頂後にはすぐに下山を開始しなければいけません。
その場合、11時に山頂に到着していれば、1時間ほど山頂でのんびり過ごすことができます。
早めに歩き始めれば、結果として、山頂でのんびりと過ごす時間を長く取れます。
山頂でなくとも、時間に余裕があれば、途中にお気に入りの場所を見つけた場合、そこで時間を過ごすという手もあります。
早く出れば、山での時間を長く楽しめるというわけです。
泊まり山行の場合。
絶景の場所にテントサイトや山小屋がある場合は、早い時間に到着すれば、日没までの長い時間、素晴らしい景色を楽しめます。
山を眺めながらのんびりと時を過ごす…贅沢な時間が流れていきます。
昼間っから酒を飲んで、ダメ人間化するのも楽しいです。
ディーアイは、テント泊登山の場合は酒を飲みながらダラダラしたいので、いつも昼ごろにはテントサイトに到着できるように計画を立てています。
テントサイトに余裕がある
好展望の槍ヶ岳テントサイト。
ここはテントを張ることができる数に限度があり、定数を超えてしまうと幕営を断られてしまいます。
槍ヶ岳の場合は、混雑するシーズンの場合は幕営場所を指定されますが、テントを張る場所は基本的に早いもの勝ちとなっています。
展望が良かったり、地面が平坦で凹凸が少なかったり、トイレが近かったりとか…
条件のいい幕営場所を選べるのは、早く到着した人の特権です。
混雑シーズン中、のんびり夕方ごろテントサイトに到着した場合は、トイレから遠かったり、狭かったり、傾いていたり、展望が悪かったり、良い場所にテント張れる可能性はないと思ったほうがいいでしょう。
登山は時間との闘いと先ほど書きましたが、テント泊で条件のいい場所で過ごそうと思った場合、他の登山者との闘いでもあるのです。
展望の良い場所でダラダラと酒を飲んで過ごしたいディーアイは、誰よりも早い時間に歩き始めることを信条としています。
登山を早い時間に始めるメリットをいろいろと書いてきました。
基本的に早く行動することに関してのメリットは多いです。その一方、遅い時間に行動することに関してのメリットはあまりないと思います。
公共交通機関を使う場合や、諸事情で早く出発できないなど、なかなか早めの時間に行動開始することが難しい場合もあると思います。
そんな中でも、できる範囲で早めの時間に登山を開始していきたいです。
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