【瑞牆山】十一面岩左岩壁クライミング(山河微笑→山賊'79黄昏)

f:id:di82:20201104190210j:plain

瑞牆山へとマルチピッチクライミングへと行ってきました。

今回は瑞牆のマルチの中では比較的手頃な山河微笑(さんがほほえみ)ルートへ。後半で山賊'79黄昏へとルートを変更しました。

 

場所:山梨県、瑞牆山

登山日:2020年10月30日

登山タイプ:マルチピッチクライミング

メンバー:ディーアイ、オタキ

 

十一面岩左岩壁・マルチピッチクライミング

f:id:di82:20201104183110j:plain

f:id:di82:20201104182129j:plain

 

概要

f:id:di82:20201016214650j:plain

☆もともとのプラン

十一面岩(といちめんいわ)左岩壁・山河微笑(さんがほほえみ)ルート

ピッチ数:5p

登攀距離:145m

最高ピッチグレード:5.10a

瑞牆山、十一面岩マルチピッチクライミングの入門的なルート。手頃なピッチ数とグレードで、同壁の中では比較的登りやすいルートです。

アプローチ、ルート情報は瑞牆クライミングガイド(上)を参照しました。

 

アプローチ

瑞牆公園駐車場利用。

f:id:di82:20201104175916j:plain

駐車場から一段上がった広場の奥へ。そこから電気柵を越えて十一面岩方面へ。

 

f:id:di82:20201104180008j:plain

f:id:di82:20201104180036j:plain

f:id:di82:20201104180048j:plain
小さな沢を渡って小尾根を詰め上げると、十一面岩末端壁に到着。

f:id:di82:20201104180119j:plain

十一面岩末端壁

f:id:di82:20201104180236j:plain

八ヶ岳の展望良し

更に沢沿いを登り、目印となるケルンから樹林帯をひと登りして取り付きへ。

f:id:di82:20201104180307j:plain

このケルンを目印に、ガレ沢から樹林帯へ

『燕返しのハング』と呼ばれる見事なハングが十一面岩左岩壁、正面壁取り付きの目印。

f:id:di82:20201104180345j:plain

燕返しのハング

ハングの右側には正面壁のルート、アレアレアやベルジュエールの取り付きが。燕返しのハング左側には、左岩壁のルートの取り付きがあります。

今回登る『山河微笑ルート』は、燕返しのハングからすぐ左。十一面岩正面壁のルートである『秋一番』と1p目は共通となっています。

f:id:di82:20201104180414j:plain

山河微笑、秋一番ルートの取り付き

 

クライミング

つるべで登りました。自分が3p目をリードしたいとリクエストしたため、奇数ピッチはディーアイ、偶数ピッチは相方のオタキがリードで登ることになりました。

 

1p目 5.8 30m(山河微笑)

1p目はディーアイがリード。クラックのあるコーナーからスタート。ハングを左側に越してやや汚いフェースを登る。

朝イチで下部は陰になっており、気温が低くて寒いこと。フェース部分に差し掛かると陽も当たるようになり快適に。フェース部分は登りに関して簡単ですが、プロテクションを取れる場所は限られており、ややランナウト気味な場面も出てきます。グレードを表すなら"瑞牆の5.8"といった感じ。

f:id:di82:20201104180729j:plain

スリングの巻かれた樹上でピッチを切りましたが、これは失敗

f:id:di82:20201104180821j:plain

見上げるとすぐ上に快適なテラスが

f:id:di82:20201104180848j:plain

1p目を登ってくるオタキ氏

取り付きから見上げると、スリングの巻かれた立木が見えていました。その立木が終了点かと思ってピッチを切ったのですが、そこからちょっと登ると快適なテラスがありました。もっとルートをよく見てピッチを切れば良かったと後悔。

フォローで上がってきたオタキ氏と落ち合ってから、1p目正規の終了点となるテラスまで改めて登り直し時間のロス。

山河微笑ルートは各ピッチ毎に快適なテラスで区切られています。

f:id:di82:20201104181006j:plain

快適なテラスまで登って仕切り直し

 

2p目 5.8 40m(山河微笑)

f:id:di82:20201104181354j:plain

2p目はオタキ氏がリード。全身がスッポリ入る顕著なチムニーを登ります。

写真で見ると恐ろしげなワイドクラックですが、足を支えるスタンスや、プロテクションが取れるクラックが随所にあって意外に快適。

f:id:di82:20201104181933j:plain

2p目のチムニー(下降時に撮影)

f:id:di82:20201104181921j:plain

2p目のチムニー(下降時に撮影)

バック&フットで背中をゴリゴリしながら進みました。個人的には楽しく登れたので「こっちをリードしとけば良かったかな~」なんて思ったり。

このピッチ、取り付きからいくつかに登れそうなクラックがあるのでルート間違えそうだ…。

f:id:di82:20201104181509j:plain

2p目終了&3p目スタート地点の立木

オタキが立木で取ったビレイ点からちょっとだけ登って、3p目のスタート地点となる立派な立木にスリングを回してセルフビレイ。

山河微笑は各ピッチ毎に快適なテラスがあると上にも書きましたが、あちこちの立木に残置スリングが巻いてあります。どの木をビレイ点にしたら次のピッチへとスムーズに繋げられるか、初見だと分かりにくい印象。

f:id:di82:20201104182313j:plain

終了点からの景色。視界が開けてきました

 

3p目 5.10a 35m(山河微笑)

ディーアイがリード。

f:id:di82:20201104182230j:plain

3p目。取り付きから見上げたところ

ピッチを切った太い立木の木登りを交え、やや傾斜のあるクラックに取り付きます。

クラックがワイド気味になったコーナーから出るところが核心。細かなホールドやスタンスがあって、クラックから出てもなんとかなるのですが、居心地の良いクラックから身を乗り出すのに勇気がいる。

核心を越えると、長く快適なコーナークラック登り。そして短いチムニーを越えてビレイ点のある快適なテラスへ。

f:id:di82:20201104182432j:plain

3p目のクラック(下降時に撮影)

f:id:di82:20201104182519j:plain

3p目終了点で使った立木

クラックを登りきったところにもスリングが巻かれた立木がありましたが、ここまで来たらもう惑わされることもなく、ちょっと歩いて快適な下地のあるテラスでピッチを切りました。

f:id:di82:20201104182723j:plain

フォローで登ってくるオタキ氏

 

4p目 5.10b 25m(山賊'79黄昏)

f:id:di82:20201104182811j:plain

山河微笑ルートの次ピッチを覗き見るオタキ氏

山河微笑ルートの4p目は、一度クライムダウンした後ピッチを切って、5p目の5.10aのオフウィズスへと繋ぐという内容なのですが、3p目終了点から見上げると、すぐ真上へと続く明瞭なクラックがありました。

f:id:di82:20201104182931j:plain

山賊'79黄昏ルート

オタキ氏と相談した結果、一度クライムダウンするより真っ直ぐ登る(山賊'79黄昏ルートの最終ピッチ5.10b)方がラインとして自然でないかという意見が一致し、山河微笑ルートから離れ、山賊黄昏の最終ピッチへと直上する流れになりました。この場合、最終ピッチが5.10aから5.10bにアップグレードされるので、逃げている訳ではないし。

f:id:di82:20201104183139j:plain

最終ピッチはオタキ氏がリード。オフウィズスから始まるこのピッチもなかなか良いライン。核心はクラックを抜けてボルトにクリップしてから。

f:id:di82:20201104183204j:plain

f:id:di82:20201104183747j:plain

4p目(下降時に撮影)

 

左岩壁の肩にトップアウトしたところで、ボルトが2本打たれた終了点がありました。これにて山河微笑~山賊'79黄昏ルートは終了。

f:id:di82:20201104183222j:plain

ラインとして見れば最終ピッチは山賊'79黄昏ルートを登った方が合理的。ただし、最後はボルトによるプロテクションとステンレスアンカーを使用することになるので、オールNPで登りたい場合は、山河微笑をそのままトレースするのが良いと思います。

f:id:di82:20201104183358j:plain

終了点からの眺め

f:id:di82:20201104183424j:plain

十一面岩正面壁

f:id:di82:20201104183548j:plain

隣で秋一番を登るパーティの姿が

 

下降

f:id:di82:20201104183903j:plain

取り付きからほぼ真っ直ぐ登って来たので、下降は登って来たライン通りに。

山賊'79黄昏ルート終了点から懸垂開始。

①左岩壁の肩から、テラスをひとつ飛ばして山河微笑2p目終了点まで。50mダブルロープでギリギリ。

②山河微笑2p目終了点→1p目の終了点

③1p目終了点→取り付きへ。

f:id:di82:20201104183951j:plain

f:id:di82:20201104184002j:plain

50mダブルロープを使用し、3回の懸垂下降で取り付きへと降りることができました。

 

時間があれば奥壁のJoyful Momentあたりも継続しようかという話もありましたが、取り付きに戻ってきた時点で14:00過ぎていたので時間的に継続は難しそう。初見だと効率的にピッチを切れる場所も分からず、いろいろと時間をロスしてしまったのも反省点でした。

f:id:di82:20201104184323j:plain

駐車場へと戻ります

中途半端に時間が余ったので、一度駐車場まで降りて車に残してきたシングルロープを取りに行く。そのあとカサメリでお互い1~2本ルートを登ってこの日のクライミングは終了となりました。
 

f:id:di82:20201104184344j:plain

瑞牆でのクライミングは相変わらず面白い

山河微笑ルートは、瑞牆のマルチでは短めで手頃なグレードではありますが、どのピッチも楽しく登れました。中だるみするようなピッチもなく、広々としたテラスで区切れて、快適な登攀ができました。

瑞牆マルチピッチクライミングのエントリー層に、是非おすすめしたいルートです。

 

装備

ロープ8.5mm 50m 2本

アルパインクイックドロー4本

キャメロット#0.3~#4を2セット

キャメロット#0.2と#5を1つずつ

クライミングシューズ

ビレイデバイス(ATCガイドタイプ)

ビレイグローブ

120cmスリング

ロック付きカラビナ 

ハーネス

ヘルメット

チョーク&チョークバッグ

ザック(ひとつは取り付きへデポ、ひとつはフォロがー担ぐ)

水と行動食

ヘッドライト

トポのコピー

カメラ(オリンパスOM-D E-M5 Mk2+9-18mm F4.0-5.6) 

アプローチシューズ(取り付きにデポ)

 

 

 

こちらの記事もどうぞ

www.dimountainphotos.com