パタゴニア・アセンジョニストパックのレビュー

2017年にモデルチェンジしたパタゴニアのアセンジョニスト・パックは素晴らしいと思います。

容量40Lのアセンジョニスト・パックを買って何度か使用しましたが、これまで使ったことがある40Lサイズのザックの中では一番のお気に入りとなりました。

以前書いた記事の中でもざっとレビューしていますが、

今回はアセンジョニスト・パックについて、詳細にレビューをしていきたいと思います。

 

Patagonia Ascensionist Pack 40L

 

アセンジョニスト・パックのデビュー

パタゴニアからアセンジョニスト・パックが発売されたのが2014年。

25Lで350gという超軽量。なおかつペラペラ生地のアタックザックとは異なり、クライミングにも対応したしっかりした生地でできており、ある程度ハードな使用にも耐えうる作りとなっていました。

アタックザック並みの重量で、クライミングに耐えうる作りという、当時としては革新的なザックだったと思います。

これは凄いザックが出たものだ、と発売後まもなく25Lを購入しました。

 

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しかし、限界まで無駄を省いた作り故(25Lは特に)、 いろいろ使い勝手の悪いところもあり、軽量化と引き換えに快適性は犠牲になっている印象でした。

買った当時は何度か使用し、特に軽量化重視の参考では活躍はしましたが、やはり使い心地は快適とはいえず、徐々に使わなくなってしまいました…。

 

2017年にモデルチェンジ

そんなアセンジョニスト・パックが2017年にモデルチェンジされました。

新型はループが増えたり、雨蓋の容量が増えたり、中にポケットが付いたりで、「尖ったデザインだったアセンジョも、一般登山でも使いやすいように丸くなったな~」なんという第一印象を持ちました。

しかし、『アセンジョニスト・パックは、快適性を犠牲にしてシンプル・軽量化されたザック』という初期型のイメージがどうしても付きまとってきたので、最初はそれほど欲しいとは思いませんでした。

 

アセンジョニスト・パックを購入した動機

話は変わって、2017年の夏から、沢登りをはじめることとなりました。

沢登りには今まで使っていたアルパインパック(ホグロフスのロックアイス35というモデル)を使いましたが、頑丈なのはいいですが生地が分厚くて結構重く、濡れると更に重くなってしまうという点が気になりました。

また、冬山でも使うお気に入りのザックが沢臭くなるというのも気になっていて、何か沢登りでも使えそうなザックが無いものかと探すようになりました。

沢で使うザックの条件として、以下を挙げました。

1.シンプルな一気室構造

2.濡れても重くなりにくい軽量なもの

3.ハーネスに干渉しないウエストベルト

最初は沢登りにはモンベルのサワークライムパックあたりにしようかと考えていたのですが、店頭で背負ってみるとフィット感がイマイチしっくりこなかったので、別のザックを探すことに。

色々調べているうちに、理想がぐんぐんと高くなってしまい、軽量・シンプルでクライミングにも使えるパタゴニアのアセンジョニスト・パックに行き着きました。

沢で使うには高級すぎるのではないかと迷いはしたものの、沢には危険もいっぱいあるし、あまり装備に妥協はするべきではないと考え、思い切って購入しました。

 

アセンジョニスト・パックの詳細

素材:5.5オンス・210デニール・コーデュラ・ナイロン86%/ポリエステル14%。ポリウレタン・コーティング加工済み

重量:878g

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40L S/Mサイズ。

カラーはグレーをチョイス。

小物類の固定のために、バンジーコード(ゴムひも)をフロントに追加しています。

パック本体の生地は丈夫で頼りがいのある印象です。ボトム部分は更に丈夫に補強されています。

 

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ウエストベルトには可動式のパッドがあります。ギアループも付いているのでカラビナでギア類を取り付けることが可能です。

パッド自体は取り外し可能です。

 

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雨蓋の固定は一本締め。アルミ製のフックで取り付けます。シンプル故に故障/トラブルの可能性はかなり低そうです。

 

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背面はあまり通気性が良いとは言えませんが、冬に雪が付きにくいという利点があります。

 

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トップポケットはダブルジッパーです。正直これは、存在意義がよくわかりません。

シングルでも不自由ないですし、ダブルだと余計なパーツが増えてしまう…と考えてしまいます。

 

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メインコンパートメントの開け閉め。

上の写真のようにドローコードを軽く引くだけで閉じられます。

反対に開けるときには緑の紐を引っ張ると明けられます。

開け閉めする時にどちらのコードを引けばいいのか、分かりやすく色分けされているのは好印象です。

 

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トップポケット以外にも、メインコンパートメントの中に小さなポケットがあります。

スマホと鍵ぐらいだったら入ります。

個人的には、財布もここに入れられるぐらいの大きさだったら更に良かったです。

 

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アックスの固定は、最近流行のアックスの穴に金具パーツを通すやつと、昔ながらの紐で固定するタイプの2つが搭載されており、お好みな方を使えます。

 

フィールドでの使用状況 

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アイスクライミング用のアイゼン・Grivel G20 Plusは全長がコンパクトにならず、持っているアイゼンケースでは収まらないため、バンジーコードでザックのフロントで固定しています。

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雪山登山では、バンジーコードにワカンを付けておくと使いやすいです。

シンプルなザックですが、ループ類が多いので使い勝手が良いように拡張することが可能です。

 

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沢登りでも活躍。

元々軽い上にコーティングされているのもあって、水を浴びても重くなりにくいです。

縫い目のシーリングはされていないので完全防水ではないですが。

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アセンジョニストパックを購入した動機は沢登り用でしたが、あまりにも使い勝手が良かったので、沢以外の山行にもよく使っています。

四季を通しての登山、沢登り、アイスクライミングにとオールシーズン、オールラウンドに活躍しています。

 

ロープの固定

ディーアイは個人的に、ザックの雨蓋は一本締めよりも二本締めの方が好みです。

二本締めの方が、容量が少ない時でも形が崩れにくいのと、

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上の写真のように、雨蓋と本体の間にロープ等を挟んだ際、安定させやすいからです。

 

しかし、アセンジョニスト・パックは一本締めな上、構造上、荷物をいっぱいにいれてしまうと本体と雨蓋の間でロープを固定するのは大変です。

アセンジョニスト・パックを使う時、ロープを持っていく場合には、ドイツ式ロープ固定方法を使います。

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ドイツ式ロープ固定とは? 

ザックの上にロープを乗せて、両サイドのコンプレッションストラップでロープを挟んで固定する方法です。正式名称は知らないので勝手にドイツ式と呼んでいます

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ヨーロッパアルプスで出会ったドイツ人クライマー(写真右)が、この方法でアセンジョニスト・パックにロープを固定していたのを見たので、ドイツ式と覚えました。

 

テント泊での使用について

アセンジョニストパック40の容量は、40L。

必要な装備が少ない無雪期であれば、(最近の小型・軽量化された装備を持っていけば)テント泊も可能です。

それなりに装備を切り詰めていく必要があるので、快適なテント泊山行になるかは微妙なところですが…。

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無雪期、1泊2日の日程で、テントを持ってのアルパインクライミング。

相方と荷物を分担していけば、アセンジョの40Lでなんとかギリギリ装備が収まりました。相方も同じぐらいの容量のザックです。

テント→ツェルトにすれば、容量にもっと余裕が生まれそう。

しかし、ザックの重さは測っていませんが、容量パンパンで金属類のギアが多いため、見た目以上に重いです。アセンジョは腰パッドのサポート性能はそれほど期待できないですし、重い荷物を快適に背負うように設計されているわけではないので、テント&クライミング装備が入っていると結構肩にきました。快適ではありません。

重量物のサポート性能に優れた縦走用のパック+アタックザックの方が、ベースキャンプを張ってのアルパインクライミングでは快適だと思います。

 

まとめ

アセンジョニスト・パックは使いやすいザックです。軽さに特化してイマイチ我慢が必要だった初期型アセンジョの弱点を克服しているデザインとなっています。

なおかつ、軽量性、拡張性、シンプル、それでいて丈夫というアセンジョの特徴を損ねることなく持っており、それでいて初期型よりも快適性が上がっているのが素晴らしいです。

背面がメッシュではないので、夏山ではハイキング用ザックの方が快適なのかもしれませんが、登山でもクライミングでも、夏でも冬でも使えるザックです。

これを買ってしまったせいで、それまでお気に入りだったザックの出番が減ってしまいました。

登山でも使えますが、特に沢(シャワークライミング)、アイスクライミング、アルパインクライミングなど、『クライミング』と名が付くアクティビティでは、素晴らしい使い勝手の良さです。

 

今回レビューしたのは40Lですが、30Lもあります。

40Lだと、日帰りでは容量が多すぎだと思うことも時々あるので、実は30Lも欲しいです。

 

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