数年前に行ってきたエクアドル。
その中で、最大の目的だったのが
チンボラソ登山です
【エクアドル】 チンボラソ(6310m)登山
エクアドル最高峰チンボラソ
チンボラソ(Chimborazo)は標高6310mの山です。
エクアドルでは唯一6000mを超える山で、同国の最高峰でもあります。
6000m峰なんて世界中見渡せばゴロゴロしているんですが、チンボラソはその辺の6000m峰とは一味違ったチャームポイントを秘めているのです。
いきなり地球規模の話をすると、地球は赤道にかけて微妙に楕円形をしているらしいんですよ。見たことないから本当かどうかは知らないんですが。
で、チンボラソはちょうど赤道直下にある国、エクアドルの中に位置しています。
楕円形にちょっと盛り上がった地球の上に、6000mの山がある…
地球の中心部から距離を測った場合、なんとチンボラソ山頂はエベレスト山頂よりも地球の中心から離れた場所にあるらしいのです。
上の写真に書かれている文字、何となく理解できるところを抜粋すると
地球の中心部からの距離は…
チンボラソ 6,384km
エベレスト 6,382km
となっており、チンボラソ山頂の方がエベレスト山頂よりも2kmほど地球の中心より離れている、ということらしいです。
日本でチンボラソという山を知っている人はそこまで多くはないと思いますが、微妙に地理マニアには知られている山だったりするのかも。
そんな地球中心より最も離れたところにある頂ですが、遠征隊を組んでガチのガチ登山をする場所ではなくて、ガイドを雇えば1泊2日(実質1日)で登れる山です。
なんとも魅力的な目的地ではありませんか…!
余談ではありますが、エクアドルには
Caonton Chimbo(カントン・チンボ)という名前の郡(canton)があります。
日本語にするとチンボ郡です。
チンボ郡(Cantón Chimbo、カントン・チンボ)はエクアドルの行政区画である。郡都はチンボ(サン・ホセ・デ・チンボ)。ボリーバル県に属する。2001年の調査では、チンボ郡の人口は15,005人であった[1]。
私は異国の地名についての話をしているのです。真面目な話なのです。
ガラパゴスでの予期せぬ負傷
これからも真面目な話は続きます。
チンボラソの登山の直前、ガラパゴス諸島で観光を楽しんできました。
※ガラパゴスでのたのしいおもいで※
クルーズ・ツアーだったので、船で寝泊りしながら、数日かけてガラパゴスの島をあちこち回ったわけです。多くの生き物たちをみたり、海で遊んだりして素晴らしく楽しい日々を過ごせました。
しかし、そこでたったひとつ、大誤算が。
ガラパゴス諸島のクルーズ・ツアーでは朝食はバイキング形式。昼・夕食の副菜はお代わり自由だったんですね。更にスナック等の軽食・おやつも付いてきました。
そこで「うめぇうめぇ」と食事をバクバク食べていたところ…
ウ○コがでかくなって、ケ○の穴が切れました。
悲劇はまだまだ続きますよ!
エクアドル飯は基本的に超うまいです。日本人の舌にも合うと思います。
しかし、ガラパゴス諸島から戻ってきた後、色々な店で食事をモグモグ食べていたところ、何が当たったのか下痢状態に。
癒えぬ肛門部の裂傷…
数時間毎に催す強い便意…
トイレに行く度、真っ赤に染まる便器…
これから6000m超の高所登山が控えているというのに、この有様。
「ぎゃあああああ!!俺の…俺の大事な赤血球※が失われていくゥゥゥ!!」
と、トイレで事を済ませる度に、このような心の叫びがあったわけです。
ガラパゴス諸島のクルーズ・ツアーで1週間ほど海抜0mで過ごしていたことも重なって、高所への耐性に不安がある状態で、エクアドルの最高峰・チンボラソ(6310m)の登山が始まったわけです。
※血液中に含まれる赤血球(血が赤くなる成分)が血流に乗って全身に酸素を運搬することで、人間は活動できています。高所に行くと酸素が薄くなるので、赤血球の働きが超重要になります。
チンボラソへの移動
さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本番です。
エクアドルの首都・キトを離れます。
車はパンアメリカンハイウェイをひた走る。
チンボラソが見える、荒涼とした大地にやってきました。
たぶん、この時点で標高4000mぐらいあったと思います。
野生のビクーニャを何度も見ました。
ビクーニャとは、南米の有名な動物であるリャマでもアルパカでもない生き物です。それがビクーニャ。
チンボラソの国立公園・保護地区(?)への入り口。
チンボラソ登山のベースとなる山小屋は、標高約4800mに位置しています。
この時点で、ヨーロッパアルプス最高峰モンブランの山頂とほぼ同じ高さです。
ここまでは車で来ることが可能です。
これからチンボラソの山頂までは標高差約1500mほど歩く必要があります。
チンボラソ登山
15時ごろに小屋に到着。17時ごろにはご飯を食べて仮眠を取りました。
標高約4800mでの仮眠となるので、ある意程度高所に体が適応できていないと、呼吸が浅くなる睡眠時間で高山病になってしまう恐れがあります。
22時に起床。幸い、体調に異変を感じることはありませんでした。
登山開始は到着日の、午後23時よりスタートです。
無駄な荷物は小屋に置いていき、軽量な日帰りスタイルの登山となります。
23時出発なもんで、外は闇夜の世界。
だったんですが、月明かりが結構明るくて、ヘッドライトをオフした状態でも歩けました。
今回登山を行ったのはチンボラソのいわゆるノーマルルート。
Whymper Refuge(5000m)を経て稜線上で目を引く岩塊(El Castillo 5400m)右側のコルへと登ります。II級の1ピッチを含む岩と雪の尾根を少し登ると氷河となり、Ventimilla Summit(6268m)を経て一旦少し下った後に、最高峰Whimper Summit(6310m)へ到着するルートです。El Castillo下にあるEl Corredorという(ガイドはレッドバンドと言っていた)箇所は、落石多発地点。午前中に通過してしまわないと危険なため、登山は前日の夜間22~23時ごろから行われています。
休憩中の様子。ガイドとその他パーティ。
この日はガイドがグッド・コンディションという日で、風はあまり強くなく、気温もそれほど低くはなかったです。
ガイド曰く、登れる条件の日(風が強くなく、天候の悪化がなく、氷河がガチガチに凍り付いてない等々…)での登頂率は約50%だそうです。実際今回自分含め4パーティが登頂に挑んでいましたが、途中2パーティが引き返していました。
カヤンベ(5790m)では、呼吸困難はそれほど感じませんでしたが、今回は5500mあたりから徐々に呼吸が苦しくなり始めました。
とは言え、頭痛や吐き気などの高山病症状はなかったので、深く頻回な呼吸を繰り返しながらゆっくりながら高度を上げていくことができました。
標高6000mを過ぎたあたりから一段と呼吸は苦しくなり、最終的には1歩踏み出すのに4呼吸ぐらい必要な状態に。
脚の筋肉はまだまだ余裕で動かせるのに、呼吸が全然ついてこない感じでした。
そこで突然襲来する強烈な便意。
…氷河の影に隠れて、こっそりと用を足しました。標高6000mでするウ○コって、かなり生みの苦しみを伴いますね。
空気が薄すぎて、呼吸を上手くコントロールしながらいきまないと、苦しくてやっていられません。むやみやたらにウンウン腹圧をかけれないんですよ。空気が薄くてブッ倒れそうです。
呼吸筋と腹圧。ウ○コをするのにこんなに全身のコントロールを意識したことはいまだかつてありませんでした。
今回の事で、野糞の高所記録を大きく更新です。
今回の登山では高山病の症状はなかったですが、ひたすら息が苦しかったです。ゲロでも吐けば下山する理由になったのに…と思ったりしたぐらいです。
仕方なく、激しく仕事をしている心肺に鞭を打つ形でゆっくゆっくりと歩みを進めていきました。
いきなり到着です。
ベンティミラ・サミット(6268m)
奥に見えるピークがチンボラソの山頂ウィンパー・サミット(6310m)
最高点まで行きたかったですが、呼吸筋が限界を迎えており、ここまでで登山は終了となりました。
標高6000m超の景色。
周囲の大地も4000mぐらいなので、物凄い高度感というわけではなかったです。
力尽きているディーアイ。
奥に小さく見えている山は、エクアドル第2の高峰コトパクシ(5897m)
これから下山です。
カメラを出して下ることをガイドが許可したので、写真を撮りながら下りていきます。
荒涼とした大地の上に白いピークがぽつんと立っているという、面白い景色です。
チンボラソの上部は巨大なシモバシラみたいなのが林立している、不思議な地形でした。
傾斜が急になっているところは後ろ向きで下ります。
右下に小さく見えている赤い屋根が、チンボラソ登山のスタート地点にある小屋です。
氷河末端。
大分下ってきたところから、チンボラソ山頂方面を見上げたところです。
標高はだいたい5000mちょいぐらいで、空気が濃くなってきたことを実感します。
途中にあるII級ぐらいの岩場。
氷河の地帯を抜け、落石が時々ポロポロ落ちてくる急斜面を下りきり、安全地帯まで戻ってきたところでロープ解除となりました。
後はのんびり下るだけです。
無事に登山口にある小屋Carrel Refuge(標高約4800m)まで戻ってきました。
これにて登山終了です。
無事に下山できて本当に良かった。
麓から、ビクーニャとチンボラソ。
ケツを負傷していたせいで、残念ながら地球の中心部から最も離れた地点は踏めませんでしたが、それでも山頂部まで辿り着けたので満足です。
チンボラソ登山の翌日は帰国でした。
荒い呼吸を何時間もし続けていたせいで喉がやられて風邪を引いてしまいました。
その状態での長距離フライトはとても辛かったです。
ウ○コネタが何度も出てくるという、このブログらしからぬお下品な文章を含んでおり、大変失礼致しました。
これからは心機一転して、老若男女に愛されるような文章を書いていきたいと思います。
エクアドルシリーズ