【イタリア4000m峰】 グラン・パラディーゾ登山【中編】

f:id:di82:20190329135245j:plain

イタリアにある4000m峰のグラン・パラディーゾ(Gran Paradiso, 4061m)。

フランスのシャモニーから出発し、モンブラントンネルを通過してイタリアへ入国後、グラン・パラディーゾの山頂を目指した記録です。

今回はグラン・パラディーゾの山腹にあるシャボット小屋から、山頂を目指した内容となっています。

 

場所:イタリア、グラン・パラディーゾ

登山日:2015年8月10日~8月12日

登山タイプ:雪山、山小屋泊

メンバー:ディーアイ(ソロ)

 

グラン・パラディーゾ登頂記録【中編】

f:id:di82:20190403122653j:plain

f:id:di82:20190403122707j:plain

f:id:di82:20190403120516j:plain

 

~前回のあらすじ~

 ヨーロッパ滞在中にフレンチ・アルプスに登りに行ったけど、天気と山の条件が微妙だったので、比較的天候と条件が良さそうなイタリアのグラン・パラディーゾという山に行くことにしました。

グラン・パラディーゾの登山口に通じる公共交通機関がよくわからなかったので、途中から登山口までの26.3km区間を徒歩で移動してみることを決定。ヒッチハイクもやってみたら、運良く通りかかる車に拾ってもらい、意外とすんなりと登山口に到着。

シャモニーを出発したその日に、標高2750mのシャボット小屋にたどり着くことができました。

 

登山開始

f:id:di82:20190401143341j:plain

前日の天気は正直言ってイマイチ(4000m峰の登山には適していない)でしたが…

 

f:id:di82:20190402222657j:plain

翌朝(登頂日)は朝からバッチリ晴れました。小屋を出て空を見た時、心の中でガッツポーズ。事前に確認してきた、「晴れる」という予報は大当たりでした。

www.mountain-forecast.com

暗いうちから標高2750mのシャボット小屋を出発し、ヘッドライトの明かりを頼りに標高を上げていきます。周囲がだいぶ明るくなってきたので、写真を撮れるようになりました。

 

f:id:di82:20190402222704j:plain

右に見えている雪に覆われているピークがグラン・パラディーゾの山頂方面。

 

f:id:di82:20190402222711j:plain

小屋を出てしばらくはザレた登山道歩きでしたが、そのうち氷河上に到着。そのあたりから朝日色に染まったフレンチ・アルプスが見えてきました。

 

f:id:di82:20190402222725j:plain

写真左にある山がヨーロッパ・アルプスの最高峰モンブラン(4810m)。

左のギザギザした山がグランド・ジョラス(4208m)。

 

f:id:di82:20190402222733j:plain

f:id:di82:20190402222718j:plain

イタリア4000m峰上に存在する氷河と、先行する登山者たち。

基本的に氷河歩き(glacier travel)は2人以上でロープを結びあって行動します。相方がクレバスに落ちたらロープ等を使って引き上げられるようにする必要があるからです。今回は単独での山行だったので、クレバスに落ちたら基本的に「THE END」です。

Glacier Mountaineering: An Illustrated Guide to Glacier Travel and Crevasse Rescue (How to Climb)

Glacier Mountaineering: An Illustrated Guide to Glacier Travel and Crevasse Rescue (How to Climb)

 

 

f:id:di82:20190402223332j:plain

時には小さなクレバスを飛び越えて行きます。雪を被って表面上からは見えないヒドゥン・クレバスは恐怖です。

f:id:di82:20190402223340j:plain

先程のクレバス写真を離れて撮った写真。

 

エマニュエル小屋との合流点以降

氷河をエリアからしばらく登って行くと、もうひとつの登山口(大駐車場からエマニュエル2世小屋を経由するルート)との合流点ちガチ合います。

f:id:di82:20190402223735j:plain

f:id:di82:20190402223748j:plain

グラン・パラディーゾはアルプスの4000m峰の中でも、ピークに経つのが比較的簡単(誰でも登れて安全というわけではありません)。そして天候も比較的安定していると慣れば、人気の山となるのも当然。

シャボット小屋からの登山者に加え、エマニュエル2世小屋からの登山者たちも合流して山頂を目指すので、ルート上には大勢の登山者の姿があります。

 

f:id:di82:20190402223754j:plain

f:id:di82:20190402223804j:plain

比較的簡単な4000m峰ではありますが、冬の天狗岳や硫黄岳に登るのとはワケが違います。クレバスの存在や富士山よりも薄い空気など、危険要素はたくさん潜んでいます。

 

f:id:di82:20190402223812j:plain

f:id:di82:20190402223826j:plain

圧倒的な4000m峰のスケール。

 

f:id:di82:20190402223835j:plain

シャボット・エマニュエル小屋の両ルート合流地点から傾斜のある氷河の斜面を登りきると、一旦傾斜が緩みます。休憩適地なので、一呼吸ついてから行動食を食べました。

この辺から太陽の光が射すようになってくるので、標高は上がっていますが、少し暖かく感じます。

 

f:id:di82:20190402223849j:plain

f:id:di82:20190402223856j:plain

f:id:di82:20190402223903j:plain

f:id:di82:20190402223937j:plain

休憩適地のあとは雪の急斜面をガンガン登っていきます。

事前にヴァイスミースやドムなど、スイスの4000m峰をいくつか登っていたので、高度順化はバッチリ。息苦しさはそれほど感じませんでした。

 

f:id:di82:20190402223929j:plain

ようやく陽光とご対面。ホッとする瞬間です。

 

山頂稜線へ

山頂稜線へ至る直前に、比較的大きなクレバスがあり、そこには金属製の立派なハシゴが立てかけられています。

f:id:di82:20190402223917j:plain

誰がこんなハシゴ持ってきたんだ…?

f:id:di82:20190403120233j:plain

クレバスの底を覗き込むと、そこは深淵。中はどうなっているのか、落ちたら這い上がれるのか見当もつきません。

 

f:id:di82:20190403120311j:plain

 

ハシゴを登った後、やや急な雪の斜面を登りきると、山頂稜線です。

 

f:id:di82:20190403120255j:plain

稜線の向こう側が見えるようになりました。

f:id:di82:20190403120303j:plain

素晴らしいスケールの氷河です。向こう側に見えている山もなかなか険しそう。日本にいると、海外の山はマッターホルンやモンブランなど、有名どころばかりの情報しか入ってきませんが、素晴らしい山は他にもいっぱいあること再確認。

 

f:id:di82:20190403120249j:plain

遠くの景色を望むと、マッターホルンやモンテ・ローザなど、スイスアルプスの名峰も見えていました。

 

f:id:di82:20190403120241j:plain

山頂を目指すルート上に、岩場が出てきます。雪も混じっているのでアイゼンを履いたまま、岩の稜線を歩きます。

f:id:di82:20190403120317j:plain

この辺から岩と雪のミックス。

f:id:di82:20190403120325j:plain

細い稜線上を歩くことになるので、場所によってはすれ違いも困難です。難所があるのか渋滞が発生してくるので、山頂を目前として行動速度はガクンと落ちます。

 

f:id:di82:20190403120332j:plain

山頂手前の難所。通常はロープ確保が必要となるので、非常に混雑します。

ここで30分以上時間をロス。

先方が通過した瞬間に強引に入り込むとか、「オレすぐ通過できるから入れてちょ」とか、一般的に日本人が苦手としている強行突破とか交渉術とかを使わないと、割を食らう感じです。

 

f:id:di82:20190403120341j:plain

グラン・パラディーゾ山頂(4061m)です。

山頂にはマリア像があり、それが目印となっています。

人が多すぎで、山頂は狭いし、のんびり記念写真を撮っている暇はありませんでした。 

f:id:di82:20190403120809j:plain

グラン・パラディーゾ、山頂からの景色。

 

f:id:di82:20190403120549j:plain

山頂手前にある岩場。足元がすっぱり切れ落ちているところをトラバース。

人が多すぎな上に、ガイドはロープで確保するし、高度感で動けなくなる人もいるし、なかなかカオスです。

順番待ちの間、隣のオッサンと「イタリアに来たかと思ってたんだけど、ここはTOKYOのストリートかよ。HAHAHA」なんて他愛のない会話をしたり。

 

f:id:di82:20190403120900j:plain

さて、これから下山です。

 

つづく…

 

Walking and Trekking in the Gran Paradiso: Alta Via 2 trek and 28 day walks (Cicerone Walking and Trekking) (English Edition)

Walking and Trekking in the Gran Paradiso: Alta Via 2 trek and 28 day walks (Cicerone Walking and Trekking) (English Edition)

 

写真撮影はCanonのEOS 6Dというカメラを使用しています。

アルプス登山はスピード勝負的なところもありますし、レンズ交換をしている暇がなかったり、足元が不安定な場所も多いので、レンズ交換の頻度を減らせるズームが便利です。

 

グラン・パラディーゾ登山記

 

こちらの記事もどうぞ

www.dimountainphotos.com