4000m峰として山体がイタリア領内に全て属している唯一の山がグラン・パラディーゾ(Gran Paradiso, 4061m)。
フランスのシャモニーから、イタリアのグラン・パラディーゾ中腹にある小屋を目指した【前編】、山小屋からグラン・パラディーゾ山頂を目指した【中編】に続いて、山頂から街に戻るまでを今回【後編】として書きました。
場所:イタリア、グラン・パラディーゾ
登山日:2015年8月10日~8月12日
登山タイプ:雪山、山小屋泊
メンバー:ディーアイ(ソロ)
グラン・パラディーゾ登頂記録【後編】
~前回・前々回のあらすじ~
フランスのシャモニー滞在中、イタリアにあるグラン・パラディーゾという山に登りたくなりました。
麓まで通じる公共交通機関がないので、途中まではバス、それからは歩きとヒッチハイクにて無事登山口に到着。意外と順調な滑り出し。
初日の天気はイマイチでしたが、登頂日にはバッチリの天気になってくれたので、単独でイタリア4000m峰のピークを目指しました。
クレバス多発の氷河上を通過し、大混雑の山頂稜線を歩いた末に、標高4061m山頂に到着。
これから下山にかかります。
下山開始
人が多すぎてのんびりできないグラン・パラディーゾ山頂(4061m)から、下山を開始します。下山の方が事故が多いのが登山なので、慎重にいきたいところです。
行列のできる大人気の岩稜帯。人が多すぎてすれ違いが大変です。
人の少ない雪の斜面まで降りてきてホッと一息。
グレバスにかかるハシゴ(写真右)から山頂(写真左上)まで人でごった返しています。
人が多すぎて本当に疲れました。距離は大したことないのに、渋滞で全然進まなかったし…。
気を取り直して、下山です。
奥に見えている立派な山は、イタリア・フランスの最高峰のモンブラン(4810m)。
グラン・パラディーゾは比較的登頂が簡単な4000m峰ですが、氷河のスケールは素晴らしいです。
巨大なクレバスがパックリと口を開けています。写真右にチョットダケ見えている人間と比較すると、サイズがわかります。
いつ崩れるか分からないような、際どい場所を歩く羽目になります。日中は雪が緩んでくるので、なるべく気温が上る前にクレバス帯を抜けてしまいたいところ。
一番怖かったクレバス。連続ジャンプが必要です。
登山装備を背負っての、命がけジャンプは恐ろしい。気分はマリオ。
氷河上部は降りたての雪があるのか、白くてキレイですが。下部氷河は色々混じってキタナイ感じ。
氷河エリアを脱出して一安心。これからはハイキングです。
あとは山小屋までトレイルをたどっていくだけ。
アイベックスとの遭遇
昨日、山小屋への登りでも遭遇しましたが、再びアイベックス発見。
結構近づいて撮影もできました。
スイスやフランスではあまり姿を見かけなかったアイベックス。グラン・パラディーゾエリアには、多数のアイベックスが生息しているのかもしれません。
登山道に角のデカイ奴が居座っていてビビる。
帰るためには奴らが道を塞いでいるトレイルを通らないといけません。
恐る恐る近づいていったら、アイベックスの群れは去っていきました。
シャボット小屋
眼下にシャボット小屋(2750m)が見えてきました。
小屋に到着。馬…。
特に予約をしていなかったのですが、「もし部屋が空いていたらもう一泊させてちょ」とシャボットの小屋番にお願いしたらOKもらえました。
良かった。帰りの交通手段を確保していなかったので、下手したら道路に出てからの26.3km区間を歩かなければいけなくなるところでした。
まぁ、とりあえず今晩の宿は確保できたし、これからの下山路には危険箇所はないので緊張感はありません。
帰る方法は後々考えることにして、とりあえず今は登頂の喜びに浸りながら、小屋でのんびりすることにしました。
グラン・パラディーゾ、シャボット小屋から見る夕暮れの景色。
赤く染まるグラン・パラディーゾ。
8月12日の朝
再びシャボット小屋に宿泊し、翌朝。
シャボット小屋前で朝日に染まる山を見る。小屋の位置的にご来光は見られませんでした。
今日も多くの登山者がグラン・パラディーゾの山頂を目指しています。
2日連続で食事の席が一緒になったフランス人の夫妻と山岳ガイド。仲良くなったので記念撮影。
アオスタへ
翌朝、グラン・パラディーゾ山中にある小屋から街へ向けて下山開始です。
シャボット小屋での夕食時にイタリア人の親子(パパはイケメン、娘は将来絶対美人)と知り合いました。彼らはイタリアの都市・アオスタ方面に行くということ。帰りの移動手段で困っていることを伝えたら、車に乗せてもらえる流れになりました。
ハイキングルートを通って、登山口へと下っていきます。
登山口(道路)が見えてきました。
無事駐車場に到着(ピンずれ写真…)。
その後、イケメンパパの運転でアオスタを目指します(タダ乗り)。
イケメンパパは見るからにインテリな雰囲気。娘との会話中も、「いいかい?ボクらがイタリア語で会話すると、この方が理解できないから、今回は英語で喋ろう。約束だ」とか言うセリフをサラッとかましてきます。
運転中、「君の国の経済政策についての意見を聞かせていただきたいのだが」とか、何やらインテリな質問をしてくるので、英語力も頭も良くない私(ディーアイ)は上手く回答できたのか自信がございません…。
あとは、ディーアイが「イタリアって古い建物がたくさんあって歴史を感じます。素晴らしいと思います」と言ったところ、イケメンパパは「北(イタリア)に関して言えばそうだね。それに比べて南は…」と、急に南イタリアをディスり初めたので、南北イタリア国民の間には何らかの確執があるのかもしれませんね。
イケメンパパの運転で楽々アオスタに到着。イタリアっぽい市街の雰囲気。
アオスタ市内にはローマ時代の遺跡もあります。写真を撮りながらブラブラと観光。
アオスタ市内にあったインド料理屋で、ケバブピザというモノを注文。色々とカオス。
物価はシャモニーよりちと安めだったのでウレシイ。
イケメンパパ&美人娘と街中で再び遭遇し、ジェラートをおごってもらいました。
ヨーロッパには登山に来ていたので、街の観光は基本的に興味ナシ。アオスタの観光も早々に飽き始めていたので、「今日中にアルプスの方に戻る」と言ったら、イケメンパパがアオスタのバスターミナルまで送ってくれました。更に、イタリア語がよく分からないディーアイのためにバスチケットまで買ってくれました。本当にイケメンパパは何から何までイケメンでした。感謝。
イタリア側のモンブラン麓町、クールマイユールに到着。
しかし、リサーチ不足のために特にやりたい事も見つからず、滞在もそこそこに(バーでビール飲んだぐらいで)、バスでモンブラントンネルを通過し、シャモニー(フランス)へ帰ることにしました。
ヨーロッパ滞在終了…帰国
グラン・パラディーゾの登山が終了したところで、今回のヨーロッパ・アルプスを巡る滞在も残り時間はわずか。イタリア(アオスタやクールマイユール)でのんびりするより、フランスで絶景を求めてハイキングをすることに。
しかし…
美しい景観を求めて宿を取ったラック・ブラン(Lac Blanc)は生憎の天気。晴れていれば池に映った逆さモンブランが見えるというのに…残念無念。
Pixabayのフリー画像より。晴れていればこんな感じらしいです。こんな景色を見たかった。
今回ヨーロッパ・アルプスを訪れた時よりもむしろ、やりたい事、登りたい山、見たい景色が増えた状態での帰国となりました。
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グラン・パラディーゾ登山記
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