ヨーロッパアルプス・モンブラン 【登頂編】

7日間の夏休みを利用し、ヨーロッパアルプスのモンブランを登ってきました。

前回はシャモニーのホテル出発~登山開始~グーテ小屋まで

 

今回はモンブラン登山の最終回、登頂から帰国までです。

 

ヨーロッパアルプス・モンブラン 【登頂編】

8月31日、シャモニーを発ちモンブラン山頂への最寄営業小屋、グーテ小屋に宿泊しました。

小屋に到着した日の夜はなんとなく気分が優れない感じでしたが、一晩寝たら完全に回復していました。

昨日小屋の外はガス&雪で、午後から景色は全く望めませんでした。 

 

9月1日 山頂を目指す

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朝食は午前3時、7時と選択可能です。

登頂を目指す人は3時に朝食を食べて出発することが多いと思いますが、今回は小屋に2泊の予定だったので、7時の朝食としました。

この日は強風予報で、午後になると風は少しだけ落ち着く予報だったのも7時の朝食を選んだ決め手でした。

いつも朝はあまり食欲がなく、朝食を抜くことも時々ありますが、登山前はエネルギー補給のためにしっかりと食事を取りました。

食欲がないのは相変わらずですが、パンをコーヒーで流し込むようにして口の中に入れていきました。

 

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グーテ小屋は玄関内部でアイゼンを装着可能です。

小屋の中で完全装備をして、いざモンブランの山頂を目指します。

 

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小屋を出るとまず目を引くエギーユ・ディ・ミディ(3842m)。 

 

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小屋を出てまず目指すのが、ドーム・ド・グーテ (4304m)

先行する登山者の姿が見えますが、この写真ではほぼドット(.)です。

それにしても風が強い。

 

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強風の中、上から下ってきた2人組うちのガイド方から、

「Wind is Extremely Strong. Here is nothing!(上の方は風がヤバいぜ~。そんなのに比べたらここは風吹いてないのと同じぐらいだよ~ん)」

と警告を受けました。

 

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ドーム・ド・グーテ(4304m)の山頂。

モンブラン山頂が見えました。

ドームの登りの後半は、さすがに4000mを超えているだけあって、行動中は今までより息苦しさを強く感じました。

風は、先ほどのガイドの言うとおり、ドームの登りよりもさらに強くなっていました。

 

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モンブランの山頂(4810m)。

あの雪煙を見る限り、上に登れば登るほど風は強くなっていきそうです。

登ること自体、技術的にはそれほど困難ではなさそうですが…

グーテ小屋は予備日も含めて2日間の予約をしてあったので、残念ですが今回は登頂を諦めて下ることにしました。

 

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グーテ小屋(3835m)が見えるところまで下ってきて一安心。

確かに小屋付近も風が強かったですが、ドームの上と比べればそよ風みたいなもんです。

 

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ドームを振り返ったところ、強風と雪煙は相変わらず。 

 

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グーテ小屋を出てすぐの稜線からの景色。

写真では平和そうな感じですが、強風により体感温度は結構低いです。 

 

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グーテ小屋に戻ってきたら、一安心するのと同時に腹が減ってきたので昼食を。

友人Hが注文したDish of the day(15EUR)とTea 1L(5EUR)。

 

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自分が注文したボロネーゼ(14EUR)はパスタが茹で過ぎで歯ごたえがなかったです。

フランス人はオムレツとデザート作りに熱が入りすぎて、パスタの湯で加減には関心が薄いのでしょうか。

 

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日本から持参した練乳を使って、モンブランの雪を美味しく頂きました。

 

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ヘリを使って小屋番の入れ替えを行っているようでした。

 

10時ごろにはこの日の行動を終えてしまっていたので、景色を眺め写真を撮ったり、昼寝をしたりして過ごしました。

翌日山頂へ向けて再チャレンジの予定だったので、予備日を設けるために2日間グーテ小屋の予約を取っておいて本当によかったです。

 

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時間はあっと言う間に過ぎていき、夕暮れ時に。

 

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グーテ小屋直上の稜線から見る、エギーユ・ディ・ミディ(右)とエギーユ・ヴェルト(右奥)。そしてすっかり日が沈んだシャモニーの街(左)。 

 

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グーテ小屋と夕焼け。

 

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左のピークがエギーユ・ヴェルト(4122m)

右手前がエギーユ・ディ・ミディ(3842m) 

 

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今日も良い一日でした。

 

9月2日 再び山頂を目指す

9月2日は予備日。9月3日は帰国予定日です。

9月1日に登頂を終えたら小屋で泊まったあとに早々に下ってシャモニーの観光をする予定でした。

初日がダメでもこの日に登頂のチャンスがあるかもしれないと、2日間小屋の予約をしておいたので、2度目の登頂チャンスを得ることができました。

 

風は前日と同じか少し弱いぐらいという予報。

 

3時に朝食を摂って暗いうちにグーテ小屋を出ました。

昨日ドーム・ド・グーテ(4304m)まで登っていたのが効果的だったのか、ゆっくりと息を切らさないように登ったつもりでも、前回と同じく1時間でドームの山頂に到着できました。

昨日登りと3800mのグーテ小屋で1日過ごしたことで、高度に対する耐性が高まったのは幸いでした。

まだ真っ暗なうちにヴァロ避難小屋に到着し、30分ほど休憩。

周囲が明るくなり始めた頃に登山を再開しました。

 

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周囲は明るくなってきましたが、相変わらず風が強くガスが取れません。

自分の中ではこれ以上進んだら危ないかもしれないという思いが強くなり、諦めムードが強くなってきました。

友人Hに「もう下ろうか?」と相談したところ、

「もう少し先に進もう」と言われ、折れかけていた心が引き締まりました。

 

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幸いにも、山頂に向かって詰めていくと風が少し弱まっていきました。

場所によってはほぼ無風となる箇所もあり、そこで少し休憩をとれました。

高度は4800m近くなっているはずなのに、不思議と息苦しさは感じませんでした。富士山でのトレーニングと、前日行動が効果的だったようです。

これは登頂できると自分の中で確信しました。

 

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頂上付近のナイフリッジを通過する友人H。

シェルは好日ブランドの安いカッパ、 保温着・ズボン等はユニクロでした。

(さすがに靴と手袋はちゃんとしたーメーカー製)

やっぱり登山は体力・技術。装備は二の次ですね。

 

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 山頂手前で先行する2人組みパーティを抜くと、その先には誰もいませんでした。

そして、何もさえぎる物のない場所に到着。

 

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モンブラン(4810m)に登頂。

山頂はガスの中で展望は全くなしでしたが、素晴らしい達成感でした。 

山ばかり登っていて職場で非難されたこと、山に行きすぎで女の子にフラれたこと、ひとりで雪山を始めたこと、冬の八ヶ岳、仙丈、穂高、残雪の中央アルプス縦走、白馬の雪稜…過去のことも色々思い出し、その結果この山頂にたどり着けたという事実に感無量です。

 

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ちゃんと自分が登頂したという証拠を残すための写真。

後にやってきた登山者たちとハイタッチして、登頂の喜びを分かち合いました。

 

下山~帰国へ

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 登山の事故は登りよりも下りの方が多いので、お互いに気をつけてかかろうと友人Hと戒めあいながら下り始めます。

 

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ドーム・ド・グーテのところで少し登り返しあり。

ここは完全にホワイトアウトしたら現在位置を見失いそうで怖いところです。 

 

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ドームのあたりで風も弱まり一息つけるような環境になったので、通りがかった登山者に友人Hとのツーショットを撮ってもらいました。

 

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エギーユ・ド・ビオナッセイ(4052m)と登山者。 

 

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シャモニーの街がよく見えます。今日中にあそこまで帰らないといけません。

ビールとうまい食事が待ち遠しいです。

 

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だいぶ下りてきたところ。この辺まで来ると普通の登山道です。 

 

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アイベックス発見。 

 

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登山口のNid d'Aigle(2386m)まで戻ってきました。 

13:15下山完了です。

 

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ロープウェイやバスの接続が悪く、シャモニーに戻ってくるまでには意外と時間がかかって夕方に。

レストランで打ち上げです。

疲れていたのか500mlのビール1杯で十分に酔っ払ってしまいました。 

 

食事のあとは、ホテルに戻って爆睡しました。

夢も見ずに朝までよく眠れました。

 

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ありがとうアルペンローズ。 

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友人Hは早朝に出る飛行機で先に帰ってしまったので、自分はひとりでシャモニーの街中をぶらぶらと観光し、優雅に食事を食べたりして過ごします。

 

帰りはChamo Vanという会社でホテルからジュネーブ空港までの送迎を頼んでいました。少々不安もありましたが、約束どおりに時間にホテルの前まで来てくれました。

13:10 ジュネーブ国際空港着。

15:15 エミレーツ便はスイスを飛び立ちました。

空から見るアルプスの山並みに期待していましたが、あいにく山は雲に隠れてしまっていました。 

帰国の翌日は仕事だったので、休む暇も感慨に耽っている時間もわずかしかありませんでした。

 

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後日友人Hが送ってくれた、空から見たアルプスの写真。

右端がモンブラン。

よく見るとマッターホルン、モンテローザ、グランド・ジョラスなどの名峰も写っています。

 

登山を終えて

はじめての海外登山は、天候も何とか持ってくれたおかげで、無事にモンブランに登頂して戻ってくることができました。

シャモニーの宿の主人には、1週間の日程でモンブラン登頂を果たせたのはかなり運が良いといわれました。

また、単に運だけではなく、事前に富士山を登ってトレーニングをしたり、冬~春にかけて毎週のように雪山に登っていたことも、登頂になくてはならないものだったと感じています。

 

途中で折れかけていた心を立て直してくれた友人Hには感謝です。

元々自分の中にもモンブラン登山の計画はありましたが、友人Hが話を持ちかけてくれたおかげで、計画が一気に現実的になりました。

彼も、「ディーアイさんと一緒なら登れる」と思って話を切り出してくれたそうです。

北アルプスの幕営地でたまたま隣同士だったという出会いが、今回の海外山行に繋がっていきました。

「山ばかり行かずにもっと仕事しろ!」と職場での叱責を跳ね除け、山に行き続けた成果です。

自分の頭ではとても合格できないような有名大学ワンゲル部出身、優秀な男である友人Hは、その後誰もが知っている有名企業に就職し、北の大地で活躍しています。

 

さいごに、

モンブラン登山は難易度が低いと言われることがありますが、

同じく簡単と言われている冬の八ヶ岳の天狗岳や硫黄岳なんかに登るのとは訳が違うので、決してお気軽登山ではありません。

あくまでもヨーロッパアルプス4000m峰の中では簡単な方”という事を理解したうえで、登る予定のある人は事前の準備はしっかり行っておきましょう。

 

※モンブラン登山シリーズ※


※個人でモンブラン登山を検討中の方向け※

www.dimountainphotos.com