冬山(雪山)登山の小技集

f:id:di82:20200103142737j:plain

冬山登山のテキスト(技術書)にはあまり載っていない、知ってる人は知ってるけど、知らない人は知らなかもしれない、そんな冬山登山でちょっと役に立つ(かもしれない)小技とか、知識などをまとめてみました。

 

冬山(雪山)登山の小テクニック

 

雪上へのザック(バクパック)の置き方

f:id:di82:20190215145537j:plain

雪上にザックを下ろす際には、その場にうまく立てられればベストですが、ザックのバランスの関係でその場に直立させるのが難しいこともあります。特別な理由がない限りは、上の写真のように、背面が上側になるようにします。

 

f:id:di82:20190215145543j:plain

背面が下側になるようにザックを置いてしまうと…

f:id:di82:20190215145549j:plain

背中の熱で温められたザックの背面に、雪が付着してしまいます。濡れた雪は落としづらく、背中が濡れる原因になります。

 

ピッケルカバーに水道ホース

f:id:di82:20200104181440j:plain

これはやっている人も多く、雪山に行けば目にする機会もあると思います。

ホームセンター等で売られている水道ホースを短くカットすることで、ピッケルカバーの代わりになります。純正ピッケルカバーはひとつ1000円とかするし、時々なくなることがあるし、無くても登りには影響しないパーツです。

ピッケルカバーとして使う水道ホースは寒冷地用のものを買うこと。通常のゴムホースだと寒冷地(冬山)では硬化して外しにくくなるらしいです。

見てくれはアレなので…見た目を気にする人は、純正とかちゃんとしたメーカー製のカバーを買うのがよろしいかと。

正式(?)なピッケルカバーはブレード部分を保護するパーツも付いてるし。

 

アイゼンのバンドを通しやすくする

分厚い手袋をした状態でアイゼンのバンドを通すのは、指先の感覚が乏しいので慣れないとなかなか大変。素手でやれば早いのですが、気温が低いと指先を冷やしてしまいます。

アイゼンのバンドの末端に、接着剤をうすくぬっておくとバンドにコシが出て、バンドに通すのがいくらか簡単になります。

f:id:di82:20190215145555j:plainf:id:di82:20190215145602j:plain

f:id:di82:20190215145531j:plain

私はセメダインスーパーXを自分のアイゼンのバンド先端に塗っています。クリアタイプが透明で目立たないので良いです。

 

ポケットは閉める

f:id:di82:20200101153300j:plain

ポケットが開いたままになっていることはありませんか?

私も時々やってしまうし、開けたままになっている人も時々見かけます。

ポケットが開いたままになっていると雪山の冷たい風が入ってくるばかりか、場合によっては雪が入ってしまい、衣類の中を濡らしてしまう恐れがあります。

行動中に暑く感じてベンチレーションにポケットを開けて、そのまま忘れている…ということも起こりがち。

仲間のポケットがオープンになっていたら、伝えてあげるのがいいかも。

 

カメラのファインダーに雪が詰まるので注意

f:id:di82:20200103141750j:plain

雪の中でもがいたり、雪の乗った木の枝に触れて雪を落としてしまった場合など、一眼レフなどのファインダー部分に雪が詰まってしまうことがあります。

機種によっては、ファインダーの中に詰まった雪がアイセンサーを誤動作させてしまい、ファインダー覗いているモードになってしまうことで、背面液晶へと切り替わらなくなる可能性があります。

防塵防滴でないカメラの場合は、故障のリスクもあるわけですが、一度詰まっちゃうと簡単には取り除けないので面倒なのです…。

雪の乗った木の枝を掻き分けて進まないといけないとことかは、カメラを一度ザックの中にしまったほうが手堅いかもしれません。わざわざしまうのは、面倒なので自分はやらないですけど。

 

www.dimountainphotos.com

 

凍る可能性のあるものは早めに食べる

f:id:di82:20191108205801j:plain

ザックに外付けしていたので凍ったペットボトル飲料

冬山の気温は氷点下になることが基本で、水分を含んだものはそのままにしておくとみるみる凍っていきます。

中には低温にさらしても問題なく食べられる食品もありますが、食べられなくなってしまうものもあります。

ザックの中の方に入れている食品は、(ザックがあるていど断熱するので)氷ってしまうまでにある程度の時間がかかります。

凍るリスクのある食品は、早目(凍る前)に食べた方が良いので、行動食として持っていく場合、凍ると食べられなくなるものから優先的に消費していくと良いでしょう。

 

www.dimountainphotos.com

 

ザックはある程度断熱効果がある

f:id:di82:20191226003424j:plain

ザックの外側が凍っても、中のものまで凍っていないことがある

ザック(バックパック)は、ある程度の断熱性があります。外の温度の影響は、ザックの内側にいれたものほど、低い温度による影響はすくなくなります。

凍らせたくないものは、なるべく雨蓋でなく、ザックの中心側に入るようにパッキングしましょう。

 

雪山のテント泊では冷凍食品が役立つことも

www.nichireifoods.co.jp

都市部よりもはるかに気温の低いことが多い雪山に食品を持っていくと、凍ってしまうリスクがあります。厳冬期では、山の気温は常に氷点下ということもザラです。

裏を返せば、冷凍食品を持っていっても意図せず解凍されてしまうことがないわけです。

自分の場合、テント泊の夕食に冷凍食品のチャーハンを持っていくことがあります。最近の冷凍食品は美味しいし、炒めて完成するようなものだったら冬山と相性が良いかも。凍結状態をキープできれば新鮮さを保てるので、時々山に生肉を凍らせて持っていったりもします。

冷凍食品ではありませんが、気温が低ければ、ガリガリ君を冬山の山頂で食べることも可能ですよ!

 

魔法瓶(サーモス)は、使うほどにぬるくなる

f:id:di82:20191226003634j:plain

山専ボトルなど、高い保温力を持つ魔法瓶ですが、「◯時間後もお湯の温度が◯◯°!」のようなカタログ値を出すためには、途中でお湯を使ってはいけません。

なぜなら、お湯を使うと、お湯を使った分だけ、そのスペースには空気(冬山の場合は冷たい外気)が入るので、魔法瓶の中に残されたお湯はその分だけ温度低下してしまいます。

なので魔法瓶に入ったお湯も、最後の方はぬるま湯になっていることもよくあります。

山頂でカップ麺食べるため、魔法瓶にお湯を入れていくとしたら、道中そのお湯は他の用途で使わない方が賢明だったり。

 

 

カップ麺を食べるなら、短い時間でできるものが良い

f:id:di82:20191224180950j:plain

カップ麺はお湯を入れてから早く(3分以内)で出来上がるものをオススメします。お湯を入れてから完成まで5分かかるのとかは基本的にオススメしません。

気温がマイナスになってくると、(寒ければ寒いほど)お湯はすぐに覚めてしまいます。お湯を注いでから時間がかかるほどに、お湯の温度は当然下がります。お湯を入れてから時間が経過してしまうと、麺がほぐれる頃にはスープがぬるくなっている可能性もあるわけです(気温にもよりますが)。

さらに、そんな寒い環境でラーメンが完成するまでじっと待っているのもなかなか酷です。さっさと温かいものを口にして温まりたいのです。

なので、カップ麺はお湯を注いでから早く出来上がるもののほうが、寒い環境(冬山)では有利です。

 

ちなみによくある「有名店監修のラーメン」とかは、調味油とか、中に細かい袋がついてくるので、手袋をしているとイチイチ小袋を開けるのが面倒。サッとお湯を入れて3分待つだけで食べられる日清のカップヌードルがやはり起源にして頂点だと思っています。

 

外した手袋は上着の内側に入れておく

f:id:di82:20200101153454j:plain
どうしても細かい作業が必要となって、手袋を一旦外しておく場合には、上着の内側にでも入れておくのが良いです。

手袋をその辺に置いてしまうと雪が入ってしまったり、せっかく温まったインナーが、外気温のせいで冷たくなってしまうことがあります。稜線上では手袋が風で飛ばされるリスクもあるし。

f:id:di82:20200101153510j:plain

薄手のグローブは、外している間はポケットの中に突っ込んだりします。

 

ナルゲンボトルにお湯を入れて保温

f:id:di82:20200104181446j:plain

予備の手袋にお湯を入れたナルゲンを入れとく

エクアドル人の国際山岳ガイドに教えてもらったワザ。アイスクライミング界のレジェンドであるウィル・ガッドの本にも書いてありました。

ナルゲンボトルなどのボトルにお湯を入れておくと、ザックの中を温められます。

たとえば熱いお湯を入れたナルゲンボトルを、ダウンジャケットで包んだり保温用のグローブに突っ込んだりします。

f:id:di82:20200104181453j:plain

お湯入りナルゲンを包むようにパッキング

そうするとナルゲンボトルに入ったお湯がダウンや手袋を温めてくれるので、寒い時に必要になる保温用の装備をポカポカの状態で装着できるのです。ウェアでくるむことで、ボトルに入れたお湯の温度低下もある程度防げるので一石二鳥。

出発直前にお湯を用意する必要があったりと、手間が少しかかります。保温力のないナルゲンボトルに入った水は、長時間低温の環境にさらされることで氷ってしまう可能性もあるので、使える機会は限られている?

 

 

何かちょっと役に立ちそうな冬山のテクニックがあったら、追記していく予定です。

また、役立つ小技があったら教えていただけると嬉しいです。

 

こちらの記事もどうぞ

www.dimountainphotos.com