良い製品なんだけけれども、何が良いのか、その魅力が伝わり辛い。それがパタゴニアのフリースラインナップの中にある『テックフェイス』シリーズ。
パタゴニアの『R2テックフェイスジャケット』を買ってしばらく山で使ってみたので、その感想などを書いていきたいと思います。
R2 Tech Face Jacket
製品概要
アメリカを代表するアウトドアブランドのパタゴニアから発売されている、登山やクライミングなどのアウトドアアクティビティに焦点を当てたフリースが、今回紹介するR2テックフェイス・ジャケットです。
・重量:380g
・多少の防風性
・丈夫でスムーズな表地
・起毛して保温性のある裏地
・ストレッチ性
内側はブロック状に起毛しており、ここに温かい空気を閉じ込めることで保温性を発揮します。
グリッド状の起毛構造がおそらく通気性を高める役割を果たしており、汗抜けと蒸れを防ぎます。
テックフェイスの魅力
最初に断っておきますが、R2テックフェイス・ジャケットは軽量でもコンパクトでもありません。革新的機能が搭載されているわけでも、防水ではないので雨の中でアウターとして着ればズブ濡れになります。多少の防風性はありますが、強風の中では冷たい風をいくらか通します。
テックフェイスはほどほどに防風、ほどほどに保温、ほどほどに軽量で、丈夫なフリースです。
ギアマニアに訴えかけてくるキャッチーな性能は皆無で、特徴を文字に起こしてみると、なんとも地味…。
使用した場面
ロッククライミングで着用。ストレッチ性があるので動きを妨げず、スムーズなムーブを起こすことが可能。丈夫な生地は岩とのコンタクトがあってもダメージを受けにくいので安心して着用できます。
軽量さが売りのウェアなんかは、岩と擦れると簡単に穴が空いてしまうのもあるので、丈夫なウェアはお財布にも、精神衛生上も宜しいと思います。
ただし、表面の粗い岩にウェアをゴリゴリ押し付けるようにして登ったら、流石に小さな穴が空いてしまいました。丈夫ではあるもの絶対に破れない素材ではないということは、理解しておく必要があります。
冬山登山で中間着として着用。完全防風とか防水系の服は汗を中に閉じ込めてしまい、着脱を面倒くさがって暑くても着続けると蒸れ→汗冷えと繋がりがちです。一方で、ほどほどの防風性を持つテックフェイスは通気性が高いので汗抜けが良いです。涼しい(寒い)気候の中ではずっと着続けていてもムレ感はありませんでした。
(ソロ登山で誰にも合わなかったため、着用中の写真ナシ)
残雪期の登山でも着用。稜線上は風が強かったですが、ほどほどに防風してくれるので動いている間は寒さを感じませんでした。流石に稜線上で停滞時には防風性のアウターを羽織りましたが、行動中なら多少風抜けがあっても気になりませんでした。
上にも書いた通り、ほどほどの防風性により汗抜けは良いので、この日は朝から山頂までずっとR2テックフェイスを着けることができました。
アイスクライミングで某80mぐらいの凍った滝を2ピッチに分けて登りました。中間着としてR2テックフェイスを着用。
マルチピッチクライミングやアルパインクライミングなんかだと、ハーネスを装着している関係上、環境に合わせて中間着を頻繁に着脱するのは難しいです。ほどほどの防風性とほどほどの保温性を持つテックフェイスは、寒い暑いが交互に出てくるようなクライミングシーンにおいて、「ギリギリ寒さに耐えられる」「ギリギリオーバーヒートしない」といった状況を作ってくれます。必ずしも超快適ではないにしろ、我慢すれば耐えられる場面を広げてくれるのが、パタゴニアのテックフェイスフリーズシリーズ。
丈夫な生地と相まって、クライミングとの相性が良さそうです。
だからといってハイキングで使えないのかと言えば全然そんなことはなく、防風性にしろ通気性にしろほどほどの機能は、ウェアの着脱の回数が減りますし、普通に便利な製品です。
他のフリースとの比較
パタゴニアの定番フリースにR1、R2というものがあります。
テックフェイスにもR1、R2があります。
上記4種類のフリースをすべて使ったことがあるのですが、個人的な体感ではR1テックフェイスがR0.5ぐらいの保温性。R2テックフェイスがR1.5ぐらいの保温性だと感じています。Rシリーズとテックフェイスシリーズの保温力を番号ごとに合わせて欲しかったです。
テックフェイスにはある程度の防風性があるので、アウターとして着た場合、風のある場面では風を通す通常のRシリーズよりも、テックフェイスの方が温かく感じることがありました。
R1テックフェイスと、R2テックフェイスと保温力に違いがあります。それぞれの用途によって快適な場面が変わってきます。
・春・秋の行動着、夏の保温着にはR1テックフェイスがオススメです。
・春・秋の保温着、冬の行動着にはR2テックフェイスがオススメです。
重ねていいますが、テックフェイスはギアマニアの食指に触れるようなキャッチーで革新的な機能はありません。
ただその中途半端ともとれる保温性や防風性は着用できる場面が広く、そして丈夫な生地はヘビーユースに向いています。
登山道具のスペックで遊ぶ人にはイマイチなのかもしれませんが、休みの度に山で遊ぶことだけを考えているアウトドア中毒な人にこそ、是非オススメしたい製品です。
パタゴニア・メンズ・R2テックフェイス・ジャケット
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