今回の記事では、所有しているフルサイズとマイクロフォーサーズのカメラを使って、画質比較を行いました。
デジタルカメラにはいろいろな種類がありますが、全般的に
『撮像素子(イメージセンサー)が大きいほど、画質が良くなる』
そんなイメージを持っています。
では、実際のところ大きなセンサー(フルサイズ)と比較的小型のセンサー(マイクロフォーサーズ)のカメラは、どれほどの画質差があるのでしょうか。
今回実際に撮り比べを行うことで、比較検証していきたいと思います。
【ボケ・高感度】 フルサイズ/MTFカメラでの比較
カメラで撮影した写真の画質は、センサーサイズだけでなく、レンズの影響も大きいです。
しかし今回の記事では、どのメーカーのレンズが優れているかを論ずるつもりは全くありません。
レンズ性能の影響がほとんど無く、撮像素子(イメージセンサー)によって決まってくる部分…
ボケの量(ボケの美しさや滑らかさは含めない)
高感度性能(ISOを高値にしてもノイズが出にくい)
を、当記事では比較していきたいと思います。
それぞれ異なるセンサーサイズ(フルサイズとマイクロフォーサーズ)の、持っている2台のカメラを使ってサンプル画像を撮影しました。
センサーサイズについて
まず、今回の比較撮影でフォーカスを当てている、センサーサイズについて簡単に。
撮像素子(イメージセンサー)の大きさは、取り込む光の量を増やすことができる他、ボケを大きくできるといった特徴があり、一般期に大きなセンサーサイズの方が高画質と言われています。
上記画像:FourThirdsのwebsiteより
それに反してフォーサーズの説明サイトでは、デジタル専用に設計されたフォーサーズシステムは、センサーサイズが小さくても画質は優れていると述べています。
正直なところ、一部本当のようであり、少し疑わしいような気持ちもあります。
(マイクロ)フォーサーズのセンサーサイズは17.3×13.0mm
一方のフルサイズのセンサーサイズは35.8×23.9mm
フルサイズ/マイクロフォーサーズは、センサー面積にして約4倍の差があります。
さて、このセンサーサイズの差は、実際のところ画質にどれほどの影響を与えるのでしょうか?
比較に使用するカメラ
ディーアイが所有しているフルサイズ/マイクロフォーサーズ(MFT)のカメラで、今回の画質比較を行っていきます。
比較に使用するカメラは以下の2台です。
Canon EOS 6D 【フルサイズ】
Lens: EF24-105mm F4L IS USM
Olympus OM-D E-M5 Mark II 【マイクロフォーサーズ】
Lens: M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
本来なら同じタイプのレンズ
例えば、CANON EF24-70mm F2.8L II USMとM.ZUIKO 12-40mm F2.8 PROなどを用いて比較すべきでしょうが、自分がフルサイズ/MFTで同じカテゴリに属するレンズを持っていないので、可能な限り条件(撮影設定)を合わせて撮り比べしていきます。
撮影設定について
CANON EOS 6Dのベース感度はISO100からですが、OLYMPUS OM-D E-M5 Mark IIのベース感度はISO200です。
できる限り同じ条件で撮影するため、低感度で撮影する場合はEOS 6DもISO200での撮影しています。
双方のカメラを用いて撮影した画像は、Adobe Lightroom Classicを使用して、画像編集せず書き出しを行っています。(例外的にWBの影響で色味が違う場合、WBのみの修正を行っていることがあります)
但し、OM-D E-M5 Mark IIはメーカー純正レンズを使うと、RAW設定で撮影した場合でも自動的にレンズプロファイルに基づいて修正が行われています。従って、Canon EOS 6Dの撮影画像では、レンズ収差が目立って見えることがあります。
ボケ量比較
24mm F4設定でのボケ量の比較
Canon EOS 6D + EF24-105mm F4L IS USM
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II + M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO
40mm F2.8設定でのボケ量の比較
Canon EOS 6D + EF40mm F2.8 STM
※F2.8での作例比較を行いたかったので、この作例ではEF40mm F2.8 STMを使用しています。
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II + M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO
80mm F4設定でのボケ量の比較
Canon EOS 6D + EF24-105mm F4L IS USM
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II + M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO
高感度性能(ノイズ)比較
ISO200設定
Canon EOS 6D + EF40mm F2.8 STM
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II + M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO
ISO400設定
Canon EOS 6D + EF40mm F2.8 STM
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II + M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO
ISO800設定
Canon EOS 6D + EF40mm F2.8 STM
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II + M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO
ISO1600設定
Canon EOS 6D + EF40mm F2.8 STM
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II + M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO
ISO3200設定
Canon EOS 6D + EF40mm F2.8 STM
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II + M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO
ISO6400設定
Canon EOS 6D + EF40mm F2.8 STM
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II + M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO
ISO12800設定
Canon EOS 6D + EF40mm F2.8 STM
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II + M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO
パンフォーカス
パンフォーカス(景色の全てにピントが合った状態)で撮影した画像も参考までに挙げていきます。
Canon EOS 6D + EF24-105mm F4L IS USM
設定: 24mm, F4, SS1/3200, ISO200
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II + M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO
設定: 24mm, F4, SS1/3200, ISO200
Canon EOS 6D + EF24-105mm F4L IS USM
設定: 24mm, F8, SS1/500, ISO200
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II + M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO
設定: 24mm, F8, SS1/500, ISO200
比較結果を受けて
フルサイズセンサーを搭載したCANON EOS6Dと
マイクフォローサーズ規格のOLYMPUS OM-D E-M5 Mark II
それぞれの出すボケ量と高感度性能を比較してみました。
比較検証する前からだいたいわかっていましたが、ボケの量・高感度性能ともに、マイクロフォーサーズよりもフルサイズのセンサーを搭載したカメラの方が勝っているという結論です。
そりゃそうでしょう。4倍ですよ。デジカメの心臓部でありカメラパーツの中でも高価な撮像素子(イメージセンサー)の面積が4倍も差があります。
大きなセンサーと、それに伴う大きなボディサイズ、そして大きなレンズ。それなのに、小さなカメラに画質で負けていたら投げ捨てたくなりますよね。
画質はある程度、センサーサイズに依存するといった結論で間違いなさそうです。
さて、画質的にフルサイズ優位なのは当然として、
『その画質差に納得できるかどうか』かどうかで、あえて小さなセンサーを搭載したカメラを選択するのもアリだと思いってます。
キレイな画が撮りたくてカメラを手にする以上、画質はモチロン重要です。(でなければ、スマホでも十分)
しかし、フルサイズセンサーのカメラ(それに加えて高解像なレンズ)は、その高画質と引き換えにして、大きく、重くなります。
フルサイズのカメラと比較して画質はいくらか不利になるものの、マイクロフォーサーズなど比較的小型のセンサーを搭載したカメラは、レンズと合わせて小型・軽量となっています(ちなみにお値段も比較的安め)。
ディーアイのように登山やクライミングにカメラを持っていく場合、カメラの軽量化を行うことは安全性の面でも大切です※1。また、オリンパスのOM-Dシリーズはアウトドアに最適化された仕様にもなっています※2。
登山など、写真撮影+のアクティビディを行う際、自己の安全を確保したり、活動の快適性を高めるためには、多少画質を妥協しても、装備の小型・軽量化することによるメリットは大きいです。
元々フルサイズのカメラを使っていたディーアイも、アウトドアアクティビティのために、あえてセンサーサイズを小型化したオリンパスのカメラを買いました。
画質が全てに優先するという考えの方はフルサイズカメラを。画質よりも快適性を選択したい人は、フルサイズが常に最高の選択肢とは限らないと考えています。
また、パンフォーカス(景色全体にピントが合ったような撮影)する場合、センサーサイズによる画質への影響はあまり大きくありません。
風景専門で、パンフォーカス撮影が殆どの場合は、よほど高画素にこだわらなければ、フルサイズセンサーを積んだカメラにしても、恩恵はあまり大きくなさそうです。
※1 登山で装備を軽量化することで、危険地帯からの早急な脱出や、体力の温存(危機対処への予備力を保つ)を図ることができます。
※2 OLYPUS OM-D E-M5およびE-M1シリーズは、他メーカーの同グレードのカメラと比較し軽量なシステムを組める上に、業界最強レベルの防塵・防滴性、-10℃低温保証など、厳しい自然環境で使うための機能が充実しています。
比較の限界
今回はフルサイズ/マイクロフォーサーズの画質差に着目し、画像を検証していきました。
しかし、フルサイズ/マイクロフォーサーズというセンサーサイズによる画質差を厳密に検証したい場合は、同じメーカーかつ、同じ世代のセンサーで比較しなければフェアでないかも知れません。(イメージセンサーはメーカーの研究・開発により日々進化している為)
また、画質について検証する場合は、『同じレンズ』を使わなければ真に公平な比較はできないでしょう。
同じレンズというと…レンズ構成が同じ?
フルサイズとMTFだと画角変わっちゃうけどそれって厳密な比較になるの?
…考えただけでもめんどくさそうなので、誰かそういうの好きな人、お願いします。
手持ちのレンズとカメラでざっと比較しただけなので、今回の記事での検証はアンフェアなとこがあるかも知れないよ~というお話でした。
ランダム作例
これから、CANON EOS 6Dで撮った写真と、OLYMPUS OM-D E-M5 Mark IIで撮った写真をランダムに紹介していきたいと思います。
(OM-D E-M5で撮った写真はアスペクト比を4:3にリサイズしています)
おわりに
カメラのフォーマット(センサーサイズ)と高価なレンズで写真がすべて決まるわけではありません。
特に人間を写す場合は、その場の状況と、相手との人間関係が、被写体の表情や動作に大きな影響を与えます。
逆に、フルサイズカメラ+Lレンズ(高級レンズ)を使っても、被写体や撮り方が平凡なら平凡な写真しか撮れません。
センサーサイズや高性能なレンズなんかは美しい写真を撮るのに大事ではあると思いますが、まず心奪われるような光景に出会いに行かなければ、何も始まりません。
マイクロフォーサーズとフルサイズの画質比較では、フルサイズの方が優位な結果になりましたが、個人的にはあの程度の画質差なら問題ないと判断しました。
マイクロフォーサーズにて得られる軽量化(それと、OM-D E-M5の堅牢性)と、それを活かした機動性を得て、面白い写真が撮れるように精進していきたいと思います。
今回の記事で使った機材
ディーアイがEOS 6Dでメインに使っているレンズの後継機です。便利な画角、手ぶれ補正、それなりの画質で、使い勝手のいいレンズだと思ってます。
フルサイズのカメラをコンパクトに持ち運べる、軽量かつ写りも凄い、素晴らしいレンズです。EOS 6Dにて使用。
オリンパスのOM-D E-M5で使用。キレのいい画質と、本体と同じく強力な防塵・防滴性能が魅力です。
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