今まで使ったアイスクライミング用のアイスアックス(ハンドル付き)の感想を書いていきたいと思います。使用したアックスはノミック、テックマシンカーボン、Xドリームの3本です。
アイスクライミング用アックスの使用比較
左からペツル・ノミック、カンプ/カシン・Xドリーム(アルパイン)、グリベル・テックマシンカーボン
ペツル ノミック
重量:585g
全長:50cm
製造国:フランス
アイスクライミング用アックスの定番かつ間違いのない選択がペツルのノミック。アイスクライマーの間ではナンバーワンのシェア率ではないでしょうか。
ハンドル、ヘッドの重さなど、全体的に非常にバランス良いです。付属のピュアアイスピックは氷への刺さりが素晴らしい。
取り外し可能なヘッドウェイトがあるのも良いです。ハンドルの大きさも調整可能なので、お好みにカスタマイズ可能です。
ヘッドウェイトを外せば、アックスを振り回し易いので引っ掛けムーブでは有利。ガチガチの硬いアイスではヘッドウェイトを付けて貫通力をプラスする。…のような使い分けが可能。
2019年のアップデートによって石突きが追加され、アルパイン的なシーンでも使いやすくなりました。氷瀑へのアプローチは、意外と傾斜があって危ないところも多々あるので、石突きがあるとなにげに助かります。
氷への刺さりが良すぎて、抜くのが大変な場面がしばしば出てくるのが数少ない欠点といえば欠点か。他のアックスと比べて引き抜きが大変…といった場面が少し多い気がします。
基本的に死角なしな感じなんで、でこれ買っときゃ間違いなし。使用者が多すぎるのがちょっとツマラン?ところかもしれません。
カンプ/カシン Xドリーム
Xドリーム(通常版)重量:600g
Xドリーム・アルパイン重量:630g
全長:50cm
製造国:イタリア
カンプ/カシンってあまり目立たないブランドだと思うんですが、このアックスに関してはアイスクライミングシーンでしばしば目にします。それだけ良い製品ということでしょう。実際使ってみると、その人気にも納得でした。
最大の特徴は巨大なハンドルで、これがグリップ感良好。2種類の交換可能なフィンガーレストが付属し、自分の手の形に合わせて選ぶことができます。
アイス/ドライ用途に合わせてシャフトの角度も変更可能。アイス、ミックス、ドライとなんでもこなせそうな高性能アックスです。
実際にアイスクライミングで使わせてもらって感じたのは、このグリップの素晴らしさ。また、他のアックスと比べて浅打ちの時の安定感がピカイチだと思いました。ブッ立った硬い氷を登っていく時、氷に対して何度もアックスを打ち直しするとその分消耗していくので、浅決まりでの安定性は大事な性能です。
ハンドルがゴツい分、バーチカルでは抜群に良いのですが、ナメ氷を登っていくアルパインアイスとかではちょっと大げさ過ぎる印象。
ハンドルがゴツすぎる印象もあるのですが、手の小さな女性でもこのハンドルが良いと愛用している方もいます。用途やフィーリングによって合う合わないは結構あるのかもしれないので、買う前にどっかで実際に振らせてもらえると良いかもしれません。
グリベル テックマシンカーボン
重量:615g
全長:49cm
製造国:イタリア
男子諸君の物欲をくすぐるカーボンシャフトのアックス。気温が氷点下アタリマエの雪山でも、カーボンシャフトは冷たくなりにくいのが利点。
カーボンはアルミより衝撃吸収に優れるので氷を壊しにくいとどこかで見ましたが、その点はアルミシャフトと比較して私では違いを感じ取ることができませんでした。
アイスアックスで一般的なアルミよりも、カーボンの方がお値段的に高いことが多いのですが、この製品に関しては他社のライバル製品と比較して健闘している価格も良い点。
ハンドルのグリップ感は非常に良いのですが、大きさが調整できない&ハンドルがやや小さめなのが注意点。手の大きい人や厚いグローブを好む方だと、ハンドルが小さく感じられるかも。反面、手の小さい女性には良いかも知れません。
ヘッドウェイトの装着ができない&ヘッドが軽めなので、硬い氷では気合い入れて振らないと弾かれてしまう印象。ペツルよりも刺さり過ぎて抜くのが大変...とはなりにくい。ピックに付いてる返しが鋭いためか、一度抜けなくなると抜くのが大変だった思い出あり。
ピック部分の返しが他社と比べると鋭いので、肩にアックスを掛ける際にウェアを引き裂いてしまわないかちょっとヒヤヒヤしてしまいます。
あまり使っている人を見ないアックスなので、人と被りたくない方には良いかも。
アイスアックス選びの参考になれば幸いです。
こちらの記事もどうぞ