アルパインクライミングに活躍!予備のカム1セットとしても便利!オメガパシフィックの可変型カミングデバイス、リンクカムについて書いていきます。
主にアルパイン・沢で活躍するOmega Pacific Link Cam
アメリカのオメガパシフィックというメーカーが作っているリンクカムというカミングデバイス(SLCD)。
クライミングの際、墜落を途中で止めるための中間支点となるデバイスです。クラック(岩の割れ目)に挟み込んで使用します。
ディーアイは主にアルパインクライミング・沢登りなどで使用しています。
オメガパシフィック社・リンクカムと、ブラックダイヤモンド社・キャメロット(X4とC4)を並べた写真。
スペック・外観
オメガパシフィック(Omega Pacific)・リンクカム(Link Cam)
#0.5, #0.75, #1, #2の4サイズ展開。
カラーコード、カムが開いた時のサイズはブラックダイヤモンドのキャメロットと共通です。
#0.5:サイズレンジ13.5 - 35.0mm 強度8kN 重さ95g
#0.75:サイズレンジ17.8 - 44.5mm 強度10kN 重さ113g
#1:サイズレンジ21.1 - 53.3mm 強度14kN 重さ176g
#2:サイズレンジ25.4 - 64mm 強度14kN 重さ207g
リンクカムの全体像(写真は#0.5)
ダイニーマ製スリング。サムホールは無し(写真は#0.75)
ヘッド・トリガー部分(写真は#1)
トリガーを引いた所。可変型カムヘッドにより幅広いサイズレンジ。その分トリガーの引きが大きくなるため、ステムは長いです(写真は#2)
ステムが長いため、ギアラックに下げたまま歩くとブランブランと大きく揺れるのが欠点(写真は#2)
カムローブの幅に関しては、リンクカム(左)はキャメロットC4(右)とほぼ同じです。
リンクカム(左)とキャメロットX4(右)のカムローブ幅を比較すると、リンクカムはカムの歯1枚分ぐらい幅広です。幅広の方が安定はしますが、ポケットにセットする際には、幅が狭い方が有利です。
サイズレンジ比較
リンクカム最大の特徴は、他のカミングデバイスと比較して広いカバーレンジにあります。
カムが開いた状態では、リンクカム#2(左:64mmmm)とキャメロットC4#2(右:64.9mm)はほぼ同じ横幅。
トリガーを最大限に引いた状態。リンクカム#2(左:25.4mm)は、キャメロットC4#2(右:37.2mm)に比べてかなり細くなります。対応するクラックの幅が広いリンクカム。
トリガーを最大限に引ききった状態では、リンクカム#2(左:25.4mm)とキャメロットC4#1(右:30.2mm)がほぼ同じ横幅となります。というか、リンクカムの方が細くなります。
リンクカムの宣伝文句である、「一般的なカミングデバイスの2~3倍のサイズレンジ 」というのは間違いありません。
リンクカム#2はキャメロットC4でいうと#1と#2を合わせた以上のカバーレンジがあるようです。リンクカムは他のサイズ(#0.5, #0.75, #1)も同じように、1つでキャメロット2つ分以上の範囲をカバーできます。
ちなみにカムの動きをGIF動画にしてみました。
Omega Pacific Link Cam #2
Black Diamond Camalot #2
幅広いサイズレンジに対応できるので、どのサイズのクラックが出てくるかわからないアルパインクライミングで、切り札的に使用できるのがオメガパシフィックのリンクカムです。
墜落時にクライマーの命を守るプロテクション。幅広いサイズに対応できるリンクカムは、いざという時に、最もセットできる可能性が高いカミングデバイスと言っていいでしょう。
リンクカムの欠点
良いことばかりのようなオメガパシフィック・リンクカムですが、欠点もあります。
重量
【写真】2016年に発売された、キャメロットUL(ウルトラライト)
他のカミングデバイスと比較すると、リンクカムは最も重いです。
特に、ブラックダイヤモンドの軽量カム・キャメロットULと比較するとその差は顕著です。
リンクカム#0.5:95g
キャメロットUL#0.5:74g
リンクカム#0.75:113g
キャメロットUL#0.75:89g
リンクカム#1:176g
キャメロットUL#1:101g
リンクカム#2:207g
キャメロットUL#2:126g
★リンクカム総重量:591g
★キャメロットUL総重量:390g
ブラックダイヤモンドのキャメロットULと比較すると、オメガのリンクカムは1.5倍ほど重いです。(これとは別にラッキング用のカラビナの重量が加わってきますが…)
オメガのリンクカム、確かに使用できるサイズレンジは広いですが…。重量ベースで考えた場合、リンクカム2つ分の重量で、キャメロットULは3つ持っていけることになります。
プロテクションを細かく設置したい場合、たくさんのカム類を持っていく必要が出てきますが、リンクカムで揃えるとだいぶ重くなってしまいます。
リンクカムの代わりにキャメロットULで揃えた場合、リンクカムと同じ個を数持ってけば軽量化=スピーディな行動が可能となりますし、リンクカムと同じ重量だけカムを持っていけば、たくさんのカムを持っていける=短い間隔でプロテクションを設置でき、安全につながる可能性があります。
リンクカムの幅広いサイズレンジが安全に繋がるという考え方もできますし、この辺は個人個人で、何が正解かは変わってきそうです。
値段
ブラックダイヤモンドのキャメロットC4(最もスタンダードなカム)のお値段は、
#0.5 #0.75は7,100円。#1は7,700円。#2は8,200円となっています。
ブラックダイヤモンドのキャメロットULはちょっと高くなり、
#0.5 #0.75 #1は10,000円。#2は12,000円です。
対するオメガのリンクカムのお値段。
#0.5は16,500円。#0.75は17,300円。#1は17,600円。#2は18,400円。
他のカムと比べると明らかに高いですね。
※表示した価格は定価(2018年9月調べ)。税抜き価格です。
修理について
ネットサーフィンしていたら、オメガのリンクカムは壊れても輸入元のマジックマウンテンでは修理が受け付けてもらえないという情報を見ました。
自分で直そうにも、日本では上手く規格に合うパーツがなかなか見つからないみたいなことが書いてありました。 自力で修理したという記事もありました。
この情報を見てしまうと、リンクカムは近くの岩場で練習用にガンガン使うという使用には向いていないかもしれません(リッチな人は除く)。
結論:リンクカムは便利
欠点もいろいろとありますが、リンクカムは便利な道具です。フリークライミングではだいたい必要なギア(カムの番手)は情報としてあったりするのですが、アルパインクライミングや沢登りでは、カムが何個必要になるのか、そもそも使うのかどうかもわからないことが多く、そんな状況ではお守り代わりにリンクカムを持っていきます。
リンクカム、持っていっても使わないこともありますが、命を守るプロテクションとなってくれたこともありました。
1つのカムに対して、対応クラック幅が広いので、「セットしようと試みたけどうまくはまらなかった」ということが少ないのも嬉しいです。
アルパイン派の人はワンセット持っておくと良いかも知れません。
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