雷鳥と高山植物が戯れる雲上の楽園・立山。対して、人を寄せ付けぬ断崖絶壁に囲まれた孤高の峻峰・剱岳。北アルプスの南部の代表者が槍・穂高だとして、それに勝るとも劣らない北部の名峰が立山・剱。
北アルプスのみならず日本を代表する峰である剱岳と立山。それだけでなく、周辺の魅力的なエリアも併せて、ここに紹介していきたいと思います。
北アルプス剱岳・立山周辺の印象的な場所
称名滝(しょうみょうだき)
落差日本最大(350m)と言われる大瀑布。4段に分かれている。
ここを登ってしまう変態クライマーがいるという話。
黒部立山アルペンルート
富山県の立山駅から、長野県の扇沢駅まで、山と県境を超えて跨る大スケールな山岳路線。バスやロープウェイなどを次々と乗り継いで行く形になります。結構お金がかかるので、頻繁には行けない高級路線でもあります。
春とか、普通だったら入山が大変な豪雪地帯の立山にも簡単に入れてしまう。歩いてこの行程をこなそうとすると何日かかるんだよというルートを、わずか数時間で通過できてしまいます。文明の力恐るべし。
天気の悪い時に来る羽目になってしまったら、折角の展望は望めないのでご愁傷様としか…
室堂(むろどう)
アルペンルートの主たる目的地。バスターミナルから外に出ると、高所の平地で目の前に立山がどーんと聳えている。
交通機関が通じているため、周辺施設は山岳地帯と思えないようなサービスを受けられます。
春の室堂周辺には、白い冬毛に覆われたライチョウがウジャウジャいます。他の山域ではレアキャラである白ライチョウに労せず出会えてしまうため、「ここでの白ライチョウの目撃は、イージーすぎてカウントに含めない」と嫁の主張。
歩いて室堂まで登るルート
山のブログ『のぼるひと』的にオススメする好ルート。
称名滝の駐車場を出発して、大日岳経由でも弥陀ヶ原経由でもいいので室堂まで自分の足で登っていくルートです。周回すれば更に楽しい。
室堂・立山の混雑ぶりとは反して、静かな山登りを楽しめます。広大で池塘が点在する弥陀ヶ原や、これまた美しい大日平など、行程はそれなりにハードですが、歩いたからこそ楽しめる光景もあります。
称名滝駐車場へのゲートが夜間閉鎖されるので、前泊に使いにくいし、帰りはタイムリミットがあるのが欠点。
雷鳥沢(らいちょうざわ)
立山を目の前に雄大な景色の中で泊まれるキャンプ場。室堂から割りと近いし下りなので、多少荷物が重くなっても頑張って担いじゃう気になる。
夕日色に染まる立山を眺めながら過ごすキャンプ場での一時は至福。
アクセスが良くて訪れる人が多いためか、テント場にて盗難事件報告あり。山に来る人々は善人ばかりでない。ウチの妻もグローブ盗られた。
龍王岳(りゅうおうだけ)
2872m
英語にするとマウント・キングドラゴンあたりでしょうか。中二っぽい名前の山。
一般登山者にとっては単なる通過点になる山ですが、東側に岩稜があってアルパインクライミングのルートとして、アプローチが手頃なためか割と登られている印象。
立山(たてやま)
3003m(雄山) 日本百名山
日本を代表する霊山が立山。
立山三山は雄山、大汝山、富士の折立と思わせつつ、実は浄土山、立山、別山だという。雄山と大汝山、富士ノ折立という3つのピークの総称が立山です。
富士山もそうですが、立山も人が多すぎで、本来あったであろう神聖な場所という雰囲気は薄れ、結構俗っぽい面があることも否めない。
本来なら厳しい豪雪地帯の山ですが、アルペンルートで室堂まで簡単に到着できてしまうので、その山頂を踏むのは比較的容易。多くの雪を頂いた春の立山も、スケールの割に手頃感があり大人気です(決して安全ではありませんが)。
剱沢(つるぎさわ)
剱岳登山のベースキャンプ。剱岳を目の前にキャンプができる素敵な幕営地。水もあるし、トイレも割と近いし、人気も納得の優良キャンプサイト。もちろん近くに山小屋もあり、小屋派も素晴らしい時間が過ごせると思います。
ここで数日間滞在してみたい…。
剱岳(つるぎだけ)
2999m 日本百名山
岩と雪の殿堂。数多くの岩稜ルートをもつ、アルピニズムの山。
一般登山ルートは距離は短いけど落ちたら死ぬ場所多数で渋滞する『別山尾根』と、標高差トップレベルな上に急騰の連続の『早月尾根』という極端な構成。
八ツ峰や源次郎尾根、チンネなど魅力的なバリエーション(アルパインクライミング)ルートも多数。アルペンルートでお金がかかるし、アプローチだけで1日かかるし、休みもそんなに取れないし、パートナーと予定が合わないし、是非是非行ってみたいけど行ったことがないので、剱岳の魅力についてはあまり深く語れず残念。
別山尾根(べっさんおね)
剱岳への最短ルート。日本の一般登山ルートで最も危険度が高いらしい。その評判通り、滑落・遭難が毎年のように発生している。
剱岳は日本百名山にも数えられている人気の山で、室堂から割合アクセスも良いため登山者多い。人が多ければもちろん、それぞれのレベルや経験も様々。ルート上は狭く追い抜きもままならい箇所があるので、ゆっくりな人の後ろに付くと自分のペースでは進めない。人によっては渋滞が一番の核心となることも。
渋滞を見越して、日の出前に出発したら快適に登れるだろうと予想していたのですが、それでも登山者による渋滞にハマってしまいました。
早月尾根(はやつきおね)
麓の馬場島から剱岳山頂に伸びる尾根。登山口から山頂までの標高差は2200m。
山頂付近に岩場はありますが、別山尾根と比べた場合にはテクニカル要素は少ないです。その代わりひたすら登りに次ぐ登り。
最初にテント泊山行をしたのがこの早月尾根から登る剱岳だったので、思い出深い場所です。
ここをタイムアタックで駆け上がるトレランの人もおり、甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根と並び、健脚のベンチマークとして使われる場合も。
大日連山(だいにちれんざん)
2606m(奥大日岳) 二百名山
室堂から、立山の反対側に目を移した時に見える立派な山が奥大日岳。その他、中大日岳や大日岳などのピークがあり、総称して大日連山、または大日連峰などと言ったります。
ここの稜線を歩くと剱岳や立山が良く見える他、室堂や弥陀ヶ原、称名の地形が面白いです。
多くの登山者は剱岳や立山へ登りに行くので、ここでは静かな登山が楽しめます。
黒部ダム(くろべだむ)
大町がPRする観光地。アルペンルートで通過の他、読売新道や上ノ廊下、下ノ廊下の出発地点でもあります。
「えっ? 上高地って観光で行くところなの!?(山に登らないの?)」と驚いたことがあるという若かりし日の母は、「えっ? 黒部ダムって観光で行くところなの!?(山に登らないの?)」と驚いたことがあるらしいです。山ヤの感覚はおかしいというエピソード。
下ノ廊下(しものろうか)
一年のうち限られた期間だけ通行可能な、黒部ダムから欅平までの登山道。登山道といっても基本は水平歩行なので、ガチ登りは少ない(一部登り下り区間あり)。
断崖絶壁をくりぬいて作られた道で、落ちたら即死亡な崖がすぐ隣で口を開いている。
紅葉バチ来た期間中にまた歩いてみたいのですが、なかなか休みと天気が噛み合わずに数年間二の足を踏んでいます。
黒部ダムを出発点とするか、欅平を出発点とするか悩ましいところ。
黒部ダム→欅平は、標高をゆっくり下げていくように歩くので、体力的には楽。
歴史的には欅平→黒部ダムと開拓されたルートなので、こちらの行程の方が自然? フィニッシュに黒部ダムがどーんと目の前に現れるので感動するという話も聞くし。
下ノ廊下を歩く前に、『高熱隧道』と『黒部の太陽』を読んでルートの歴史的な背景などをちょっと頭に入れておくと、より楽しめるはず。
阿曽原温泉(あそはらおんせん)
下ノ廊下の中間地点であり、オアシス的な存在。シーズン中にはテン場にテントぎっしりという話。
名前の通り温泉があり、登山中の縦走シーンでは珍しく、お湯に浸かることが可能。
奥鐘山(おくがねやま)
1543m
スゲー地味でどこだよそこと言われそうですが、ここの西壁(岩壁)は国内最大規模。クライミングの対象。
祖母谷(ばばだに)
欅平を出発点として後立山方面に進むと出てくる温泉。ここから不帰岳を経由して唐松岳まで登り上げるルートがあります。凄く興味があるのですが、アプローチとか諸々を考えるとなかなか都合がつかず未踏。
仙人池(せんにんいけ)
鏡のように写った裏剱が有名。いつか行ってみたい。
読図ができる登山地図 剱・立山連峰 1/25,000縮尺+詳細情報、北アルプス総図・核心部詳細図付 (ヤマケイ登山地図)
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