八ヶ岳の後はどこに登ればいいのさ?【冬山登山ステップアップ】

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冬の八ヶ岳・赤岳とかその辺が難なく登れるようになってくると、次に目指すべき冬山の頂はどこなのか、微妙に迷うところです。

赤岳、木曽駒ヶ岳、西穂独標あたりを登った登山者が、更なるステップアップを目指すためのルートを考えてみました。

中部山岳、日本アルプス・八ヶ岳など、標高2500mを越える冬山(12月~3月ぐらいの時期)に焦点を当てていきます。

 

冬山登山のステップアップにおすすめするルート6選

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西穂高岳【新穂高ロープウェイから】

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『両端が切れ落ちた雪稜をゆく、冬穂高の入門編』

★日帰り~1泊2日

 

北アルプスで数少ない冬季(12月~3月頃)に無理なく日帰りできるピーク。(ここの日帰りを無理なくできるのが、日本アルプス冬山登山の標準体力です)

ロープウェイスタートだと、始発でも結構遅くなってしまうので、西穂山荘に宿泊して、朝日を見ながらゆっくり登るのもなかなか良いです。

独標以降は危険箇所の連続ですが、基本的に独標の登り下りと同じぐらいの難易度。つまり、独標の登り下りが問題なくできれば、西穂高岳山頂に立つことは技術的に可能。逆に、独標の登りや下りで怖くて足がすくむ人は、足を踏み入れてはいけないエリア。

足を踏み外すと死ねる箇所が独標から山頂まで連続するので、安定したアイゼン歩行ができるかどうかがカギ。

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言うまでもないかもしれないですが、着雪状況により難易度は大きく変わります。SNS等で「登れちゃった」報告は、条件が良かっただけの可能性もあり。悪条件でつっこむと普通に死ねます。

移動性高気圧に覆われた、ピーカンの日を狙って行くのが吉。

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御嶽山【濁河ルート】

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『混雑知らず。程よいラッセルと達成感』

★日帰り

 

冬でも無雪期と同じく、濁河温泉にある小坂登山口を利用できるのは良いところ。チャオ~濁河は冬季の夜間通行規制がかかるので注意です。

今まで何度か登りましたが、人と出会うことはほとんどなく、大抵は登山口からラッセルが必要です。八ヶ岳のように、他人が付けてくれたトレースに頼るような状況は期待できません。

滑落注意の危険箇所はほとんどありません。そのかわり、飛騨頂上付近まで登ってくると、独立峰らしい強烈な風に歓迎されることがあります。稜線に出る前に防寒装備を完全に整えなければ、露出した皮膚は数分で凍傷になる可能性あり。

冬季は登山道が完全に雪の下となるため、悪天候時、飛騨頂上付近から濁河ルートへの下降は分かりにくい。賽の河原あたりでホワイトアウトしたら、現在位置を完全に見失う可能性が高いです。そこでモタモタしていたら、強風で体力を奪われTHE ENDです。

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2018年11月現在、御嶽山山頂である剣ヶ峰(3067m)の立ち入りは規制されているので、目指すピークは摩利支天山(2959m)か継子岳(2858m)あたりになります。

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木曽駒ヶ岳【桂小場から将棋頭山経由】

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『風の洗礼を受ける冬のアルプス・プチ縦走』

★1泊2日以上

 

新田次郎の小説『聖職の碑』で有名な、桂小場(冬季はその手前の小黒川渓谷キャンプ場)から将棋頭山を経由して、木曽駒ヶ岳を目指すルート。

中央アルプスは北・南アルプスと比べると地味な印象がありますが、冬季はそのコンパクトさからアプローチが良好で、意外に楽しめるルートが多いです。

今回紹介するルートは、行程こそそれなりにありますが、滑落注意の危険箇所はほぼありません。体力勝負です。特に、将棋頭山手前の森林限界に至るまでのラッセルの登りが、意外に斜度があってキツイ。

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将棋頭~木曽駒間の稜線は、素晴らしい展望の中雪山縦走が楽しめます。反面、両山の間は目立つようなオブジェクトがない地形なので、悪天候時は道迷いのリスクが高い。

シュカブラ(雪紋)を頻繁に目にするルートなので、大抵は常に強風。ホワイトアウトして、強風に吹かれながらあちこち彷徨えばたちまち低体温症です。

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三ノ沢岳

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『中央アルプスの隠れ家。本当は教えたくない名山』

★日帰り

 

中央アルプスの主稜線から離れた場所に位置する三ノ沢岳は、優美な形状をしており個人的には中央アルプスで最も美しい山だと思っています。

人気の木曽駒ヶ岳に比べると、訪れる人はぐっと少なくなります。それだけに、静かな山行が楽しめるでしょう。

中央アルプスロープウェイを使えば日帰り圏内です。

ロープウェイは出発時間が遅く、登り出しで雪が緩んでしまっていることもあるので、千畳敷カール内では雪崩注意。「みんな登っているから大丈夫」と思って取り付くと、みんなと一緒に雪崩に巻き込まれる可能性も存在します。

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千畳敷→極楽平→三ノ沢岳は、アップダウンが連続しており、距離の割には意外に大変。三ノ沢岳へはいくつかのナイフリッジ(と言っていいか迷う細い尾根)が連続します。

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三ノ沢岳中腹より。左から木曽駒ヶ岳、中岳、宝剣岳。いつもと別アングルで見る山は新鮮です。

 

甲斐駒ヶ岳【黒戸尾根】

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『積雪期体力測定のベンチマーク』

★日帰り~1泊2日

 

麓の竹宇駒ヶ岳神社から甲斐駒ケ岳山頂までの標高差は、約2200m。甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根をどれだけの時間で登れるかは、体力を測るための一定の目安になると思っています。

冬山は無雪期と違って、積雪状況(ラッセルの有無)などで、単純に時間を測るだけでは比較はできませんが…。積雪期の黒戸では、雪山の装備を持って自分がどれだけの速度と疲労度で登れるか、時々試しています。

森林限界を越える8合目以降は危険箇所もあり、急斜面の登り下りもあって気が抜けません。落ちたらヤバい急斜面もあるので、単純に体力だけでなく、確実なアイゼン歩行の技術もところどころ要求されます。滑ったら死ぬので滑らないこと。コレ大事!

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登山口が夏(無雪期)と変わらないこと。冬でも南アルプスは晴天率が高いので、比較的登りに行きやすい(簡単とか安全という意味ではない)のも良いところです。冬場、ゲートから林道をタラタラ歩かなくていいルートは貴重です。

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仙丈ヶ岳【戸台ルート】

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『北沢峠までバスはありません歩きましょう』

★1泊2日以上

 

南アルプスの女王と言われる仙丈ヶ岳ですが、冬はその美しさが更に際立ちます。

しかし、夏の仙丈登山のように、日帰りで気軽にというわけにはいきません。

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夏(無雪期)は南アルプス林道バスで楽々到着する北沢峠ですが、冬は歩いて行く必要があります。標準コースタイム6時間(ラッセル含まず)。そのため、大抵はどこか山中で泊まる必要があります。年末年始はこもれび山荘など、山小屋が営業しているので比較的挑みやすい感じ。

森林限界までは割と危険度は低くアプローチ可能。森林限界を越えると、大抵は激烈な風をモロに浴びることになります。そこで引き返すか登り続けるかの判断をしましょう。

必要なのは体力と、女王様の機嫌が悪い時には下手に攻めずに逃げ帰る、判断力です。判断を誤ると遭難です(実際冬の仙丈で何名もの遭難者が出ています)。

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おわりに

冬山の難易度は気象条件に大きく左右されます。たまたま天気が良くて先行者のトレース(足跡)もバッチリの山に登ったからといって、それでその山を極めたと思うのは非常に危険です。

雪山登山で必要なのは、体力、確実なアイゼン歩行、危険だと思ったら引き返す判断力、適切な装備、等々書いていたらキリがないほどです。

ステップアップ(○○岳と××山と△ヶ岳を登ったぜ!)を急ぐのではなく、初心者はまず雪山登山の基礎を充実させるべく、気象条件や積雪条件を変えて同じ雪山に何度も登るなどして、トレーニングしておくことをおすすめします。

基礎力を充実させた上で、少しずつ行ける山を増やしていくことが遭難を防ぐ上で大切だと考えています。

その上で、今回の記事がルート選びの一助と慣れば幸いです。

 

雪山登山に

 

 

 

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