スイスで最も簡単に登れる4000m峰の一つに、アラリンホルンという山があります。
今回はその山の登山記録です。
場所:スイス
登山日:2015/7/15
登山タイプ:雪山、日帰り
メンバー:ディーアイ(ソロ)
ザースフェーから登る4000m峰 【アラリンホルン】
アラリンホルンの概要
アラリンホルン(独:Allalinhorn)は、スイスヴァレー州のペニン・アルプス(ワリス・アルプス)にある山。同州のザースフェーの西側に位置する。ドーム山やナーデルホルン、テッシュホルン、レンツシュピッツェなどと共に、ミシャベル山群を形成している。
ミッテルアラリン(Mittelallalin)に向かうメトロ・アルピン(Metro Alpin)の乗り場が北西斜面にある。メトロ・アルピンによってアルプスの4000m級の山に容易にアクセスできるようになった。
アラリンホルンは、4027mという標高でありながら、ロープウェイと高所の地下鉄メトロ・アルピンによって容易に3500m地点までアクセスできるため、歩行時間はあまり長くありません。登山開始地点からの標高差は500m程度です。
道中難しい岩場もなく、4000m峰ではありますが技術的難易度は低いです。
ヨーロッパアルプス4000m峰の中では簡単に盗聴できる山ですが、当然高山病、4000mという高所の気候、氷河・クレバスの通過などには細心の注意が必要です
登山口:ザースフェー
アラリンホルンはスイスのザースフェーという町から、ロープウェイを利用してアプローチできます。
登山前日はザースフェーのホテルに泊まり、ロープウェイ始発ごろの時間に合わせてホテルを出るのが良いでしょう。
アラリンホルン登山
絶好の天気の中、登山スタート。
と、思ったらホテルに財布を置き忘れてしまい、始発のロープウェイには乗れませんでした。ダッシュで宿に戻り、急いで再出発。
日本の夏山でも同じですが、午後からは天気が崩れてくることが多いので、山はできるだけ午前中に登ってしまいたいんですよね~。
特に土地勘のないヨーロッパアルプスでは、視界が閉ざされるような悪天候に捕まりたくはないので、天気のいい条件下で登ってしまいたいところです。
Felskinnというロープウェイ駅から、ロープウェイに乗りました。
FelskinnbahnとかAlpin-Expressとか、ロープウェイはいろいろありますが、その時期によって動いているのと動いていないのがあるみたいなので、実際に利用する時には現地でもらえるのタイムテーブル(もしくは、ネット情報)を参照するといいでしょう。
ロープウェイ頂上駅で降りた後は、少し歩いてMetro Alpinという駅に向かいます。
Metro Alpinは、ヨーロッパで最高所にある地下鉄らしいです。
Metro Alpinの地下鉄。
ここだけは、シティズンズ・パス(ザース谷エリアのホテル宿泊者に渡されるロープウェイ等の無料券)の対象外なので、乗車料金を払いました。
ヨーロッパ最高所の地下鉄であるMetro Alpinの終点であるAllalin駅(標高約3500m)から外に出ると、今回の目的地であるアラリンホルン(標高4027m)が目の前にどーんと現れます。
ちなみに、標高約3500mのAllalin駅周辺は、夏でも滑れるスキー場となっています。さすが本場ヨーロッパ。スケールが違う…。
登山者たちは、最初はしばらくスキー場というか、雪上車で慣らされた道を登っていきます。
背景には、ラグギンホルン(写真左:4010m)、ヴァイスミース(写真右:4017m)といった、ザース谷の名峰が。
写真中央から右に見える人工施設が、登山出発地点であるAllalin駅です。
しばらく歩いていくと、雪上車で慣らされた道は終了。
氷河の壁が目の前にそびえ立っています。
ここからアルパイン・ルートの始まりです。気を引き締めて行きます。
アラリンホルンは『簡単な4000m峰』ではありますが、『日本の簡単な雪山』とはワケが違います。
クレバスに落ちたら普通に死ねますので注意。
このクレバス、割れ目は常に動いていますし、足元の雪が突然崩れてしまうこともあるので、通過には常に緊張を伴います。
基本的には片方が落ちてもレスキューできるよう、2人以上でロープを結び合って進むのが、ヨーロッパアルプスの登り方となっています。
恐怖のクレバス地帯を越え、どんどん進んでいきます。
空気が薄いので、少しペースを上げるとすぐに息が上がってしまいます。
ゆっくり、ゆっくりと自分に言い聞かせながら足を進めていきます。
簡単、お手軽な4000m峰と言われるアラリンホルンですが、景色は凄いです。
日本では絶対にお目にかかれないような驚愕のスケール。
アラリンホルン、アルプフーベルという2つの山の分岐点にある窪地(コル)まで上がると、稜線の向こう側の景色が広がります。
写真右側には、スイスを代表する名峰マッターホルン(4478m)が見えました。
見晴らしのいい窪地(コル)で息を整えてから、目指すアラリンホルンの頂上へ向けて、急斜面を登っていきます。
かなり登ってきたところ。雪上に、登山者たちのトレース(足跡)が刻まれています。
背景には特徴的な形をしたリンプフィッシュホルン(4199m)。さらにその奥にはスイス・イタリアに跨るアルプス第2の高峰モンテ・ローザ(4634m)も見えています。
山頂まであと少しです。
最後は尾根が細くなっています。
アラリンホルン(4027m)に登頂しました。
日本の山に祠があるのと同じような感覚なのでしょうか?
山頂には十字架がありました。誰がどうやって持ってきたのでしょうか?
続々と山頂を目指す登山者たち。
恐怖のクレバス帯を再通過しないといけないので、下山も気を抜けません。
日中気温が上がって、クレバス周りの雪が緩んで崩れやすくなってくるので、気温の低い時間帯に通過した登りの時以上に怖いんです。
危険地帯を通過し、今回の登山終了点があるAllalin駅が見えて一安心。
登山終了です。
標高差としてはそれほどでもなく、歩行時間も大したことはありませんでしたが、素晴らしい絶景を堪能できた山行でした。
アイスパビリオン
今回の登山出発地点であるAllalin駅には、アイスパビリオン(氷の展示館)という施設も併設されています。
スイスの氷河の中に作られた、展示場らしいです。
ヨーロッパ最高所にある地下鉄・Metro Alpinのチケットには、アイスパビリオンの入場料金も含まれていたので、「せっかくここまで来たんだし、無料だから…」という理由で見学に行ってきました。
どんな素晴らしいものが見えるだろうと、ワクワクしながら氷河トンネルを下っていきました。
微妙すぎる展示物…
スイス=ハイクオリティという固定概念が崩壊してく…
相当暇でない限り、登山で疲れた体を引きずって見に行くようなものではないというのが、正直な感想です。
ザースフェーに戻る
アラリンホルン登山で、素晴らしい思い出ができました。
アイスパビリオンは…ノーコメントで。
楽しい登山の後は、ロープウェイを使って楽々下山です。
ロープウェイを使って一瞬下山。
先ほどまで、あの白い氷河のある高度にいたことが信じられません。
物価の高いスイスですが、ビールはやけに安いです。
メシよりビールが安い(500ml缶で100-200円程度で買える物がある)ので、お得感からついつい買ってしまいます。
アルコール依存にならないよう、自制する心が大切です。
お手軽に登れる4000m峰であるアラリンホルン。
お手軽と行っても、氷河の歩行や雪の急斜面の登下降があるので、リスクは決して低くありません。
登るとなると山に精通したガイドを雇うか、それなりの経験が必要になってきます。
それでも、短い歩行時間で圧倒的なアルプスのスケールを体験できる山なので、山屋さんはザースフェーに行った際には、是非登っておくことをおすすめします。
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