山道具紹介、このフレーズに気をつけろ!【要注意表現】

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魅力溢れる登山用品が、世の中には多く出回っています。そんな登山用品に対し、メーカー、販売店、ブログ、SNS、Youtubeなどのあちこちで、「この製品はこんなに素晴らしいのです!」という売り文句が声高らかに宣伝されています。

ある程度経験を積んでくると、その美辞麗句の数々に「ホントかよ…?」と疑いの目を向けたくなることもしばしば。期待いっぱいで手にしたモノを実際のフィールドで使ってみると、騙されたとまでは言わないまでも、ちょっと誇大広告気味じゃね?と思ってしまった経験があるのは私だけではないはず。

そこで今回は、登山用品の売り文句で出てくる要注意フレーズをまとめてみました。

賢い消費者になりましょう!

 

山道具の要注意表現【このフレーズに気をつけろ!】

 

雨の日でも蒸れずに快適

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レインウェア等の謳い文句で出てくるコレ。蒸れます

ゴアテックスなどが使われた防水性のある登山靴も普通に蒸れます。メッシュのトレランシューズと履き比べると、防水性のないメッシュの方が断然蒸れません。

そりゃ、ゴアなんちゃらと透湿性(水蒸気を逃がす性能)の皆無なビニールガッパと比べたら、天と地のような差はあります。しかし、いくら汗から出る水蒸気を逃がす性能があるからと言っても、半袖で歩ける気温の中で長袖のレインウェアを着たりすると、熱がこもることで暑くなって不快です。

気温が汗をかかないほど低くても、長時間雨に打たれたりするとウェアの撥水性が少しずつ低下して、表面に水の膜が張ったりして透湿性が無くなり…やっぱり蒸れます。撥水性を維持にするためには日頃からレインウェアのメンテナンスが大事なのですが、忙しい社会人にとっては結構面倒くさいっすよね。命に関わる道具だからマメにメンテしろという意見もわかりますけど、一週間の縦走とかで連日雨が降った時とか、毎日防水スプレー振れとでも言うのか。

蒸れようがなんだろうと、ズブ濡れになって山を歩くよりは断然マシなので、結局はレインウェアのお世話にはなるのですが…。山の稜線上、逃げ場のない中で長時間雨に打たれて、ウェアの中もじっとり・ムワっとした状態の時「このウェアは掻いた汗を素早く外に逃がすので、いつでも快適なんです!」なんてドヤ顔で商品販売している奴の顔が浮かぶと、正直イラッとしてしまいます。

登山用のレインウェアや登山靴は、蒸れる時には蒸れるぞ!

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ビニールガッパより遥かにマシですが…

 

軽量だが驚くべき耐久性

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この薄手のシェルは、コケた時に一発で穴が空きました

最近の登山道具の軽量化はすごいっすね。そして、山の過酷な環境に耐えられるよう、薄くても十分な耐久性をもたせてあるとか…スゲェ!と、思ったら薄くて(自称)丈夫な生地の製品、気づいたら穴が空いてました。この前買ったばっかりなんだけど。そんな体験ありませんか?

登山用の軽量製品(ウェアとかザックとか)で、軽いけど丈夫みたいな謳い文句のやつ。何の耐久性も持たせていないペラペラな布と比較したら、耐久性は高いでしょうが、やっぱり分厚い布に比べたら耐久性は劣ります。張り出した木の枝や、岩なんか相手にゴリゴリやってしまうと、結構カンタンに穴が空いてしまうこともあります。軽量ウェアだとザックのウエストベルトが当たるところが、いつの間にか擦れて薄くなったり。軽量ザックは地面と接するボトム部分に、知らない間に穴が空いています。軽量テントの床部分も、太陽にかざして見てみると、小さな穴が空いていることもあります。

父ちゃん母ちゃんが使っていたウン十年物のダサくて重くて色のハゲたザックは、穴が空いていません。丈夫な生地でできているからでしょう。分厚い生地の製品は今の登山界においては重くてカッコ悪のかもしれませんが、長く使えます。その代わり、穴が空いちゃったからとか買い換える言い訳を与えてくれません。

薄いやつはやっぱり薄いやつなりの耐久性。軽いやつより重くて分厚い生地の製品の方がやっぱり丈夫。

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ウン十年モノのミレーのザック

 

風に強いバーナー

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このバーナーは風に強い設計です。というフレーズは、登山用バーナー(ストーブ)のセールスポイントとして頻繁に見ることになります。

その謳い文句を信じて、風の吹きすさぶ山の山頂で調理してみたのですが、突風に煽られて火が消えてしまいました。その後に残ったのは、バーナーから吹き出る臭いガスの出るシューっとした音と生焼けの肉…。まさに、風に強い(風で火が消えないとは言っていない)という感じでした。

風に強い設計のバーナーでも、横風の影響で炎が揺らげばその分出力が一時的に落ちます。繰り返しにはなりますが風に強いと言われるバーナーは、(ただし、風の影響を全く受けないとは言っていない)という表現が伏せられていると思います。

結局のところ、そのバーナーが風に強かろうが弱かろうが、ウインドスクリーン使ったり、風の吹かない場所を選んだりして使うのがよっぽど効率的です。そうなるとバーナーにおける防風性は、あったらラッキーぐらいの機能になってしまいますね。

風に強いとか言っているバーナーも、風の影響は大なり小なり受けるのでそのへんは理解しておきましょう。

MSRの火の出ないバーナーとかは本気で風に強そうですが…値段がなぁ。

 

冷えを感じることはなかった

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スリーピングバッグやテント泊用マットレス、冬山用のグローブなんかで頻出する表現。例えば-10℃対応とか書いてある製品を、0℃ぐらいの環境でテストして冷えを感じなかったって言われてもねぇ…。

オーバースペックならそりゃ寒くないでしょうよ。マイルドな環境で使うんなら、もっと軽くて安いのでいいじゃん。

「もっと極限の環境で身体張ってこいや、ヌルいことやってレビュアーぶってんじゃねぇぞ」と私は思う。

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多少の雨なら耐えられる

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多少じゃない雨はNG

ソフトシェルやウインドシェルなどのアウター(カッパやハードシェルじゃないやつ)や、パンツなどの機能紹介において、高い頻度で出てくる表現。新品の時には水を弾くのでそのように言われる

ウェアの撥水性は繰り返し洗濯したり、長時間雨に当たってしまうとそのうち落ちてきて、しまいには水を弾かなくなってしまいます。

山の中で雨に降られた際、雨足が時間と共に強くなっていくのはよくあること。安全地帯までまだ距離のある場所で雨に降らる…。やがて落ちてくるウェア撥水性…。水の染み込みから少しずつ濡れていく身体…。夏山でも、雨に長時間当たることで低体温症となってしまい、遭難したなんて事例はていくらでもあります。撥水機能の限界に気づき、全身ズブ濡れになってからレインウェアを着たんじゃ遅いことも。

その撥水性のあるウェアを着て向かう先が、通いなれた近所の低山なのか、キャンプ場なのか、アルプスの稜線なのか。どこで何をするかで必要なウェアの機能も変わってくるので、撥水加工だけ防水なしの服でも一概に良いとも駄目とも言えないですが。

「撥水性が高いので雨でも大丈夫です、どこでも着ていけまっせ!」的な表現はいかがなものかと。

 

重い荷物も快適(楽)に担げます

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体に合っていないザックで長時間重い荷物を担ぐのは拷問。体に合ってるザックなら、重い荷物でも比較的楽になります。そこを快適と言っていいかどうかは、ねぇ。伝えたいことは分かるけども…。

結局のところ、山歩きでは荷物が軽い方が快適なのは間違いない。ずっしりと重い荷物を担ぐことを快適だとか快感だとかいうのは、選ばれし者か特殊性癖を持つ者だけですよ。

出発直後は重いザックでも「意外とイケるなコレ」とか思っちゃうけど、数時間経つとハーハーゼーゼーと息も絶え絶えになっているのは山ではよくあること。一歩一歩引き摺るように足を運びながら、快適とか言ってたの誰だゴルァ!とか言いたくもなってしまいます。

 

永続する防臭効果

言いたいことはよく分かった。では、山から降りた俺の臭いを嗅いでもらおうか。

 

 

革新的な製品です

製品以外にもブランドの紹介などで出てくる表現。どの製品がどのような革新を起こしたのかについては触れられていないことが多い。

あと、安っぽいメディアとかが言ってる革新的な製品とかいうのは、市場を見渡すと似た製品が普通にあったりするので、その表現を気安く使うのはちょっとどうかと。安っぽいメディアが売りたい商品を大げさに宣伝してる時によく見かける。知ってる人からは醒めた目で見られてしまうけど、多分そういう連中は初心者を騙して儲けようとしているだけだから、気にしないんだろうな。

 

 

 

あと、○○の製品は謳い通り通りの性能だぞ!という反論はあるかも知れませんが、私が登山/アウトドア製品で散々騙されてきた(というのは大げさだけど)のは事実だし、特定のマニア向け製品の知識とかでマウント取ろうとするのはやめれ。

 

そして私は、魅惑的な新製品の謳い文句に踊らされて、また今日も新たな山道具を買うのだった…。

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