クライミングの服装について

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先日フリークライミングを初体験した山の友人からの「クライミングの時ってどんな服装で行けばいいんですか?」という質問から着想を得て、今回記事としてまとめてみました。

タイトルの通り、「クライミングの時にはどんなウェアを着ていったらいいのか」ということについて、個人的な意見を書いてきます。

 

クライミングの服装について

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基本的な考え方

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クライミングの服装選びのポイント…

動きやすければ何でもいいです。

一応、クライミングウェアブランドみたいなのが発売しているウェアも市場にはあるんですが、別にその服着なきゃ登れないってことはないし…。

スポーツ用品店に売ってるフツーのジャージでも全然問題ないといえば問題ないですし、綿シャツと綿パンツでも、極端に動きにくいとかなければ、普通に登れたりします。

一方で、行く場所とか季節によって、少し考えた方が良いポイントがあるので、個人的な見解を以下に。

 

暑い時期の服装

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暑い時期/場所でクライミングをする場合の服装は、上半身はTシャツで題ないとは思います。

パンツ/ズボン類は、ショートパンツは動きやすいが膝下が生身なので怪我しやすい。男子諸君はスネ毛が見えると写真栄えという点ではイマイチ。自分は夏でもロング丈のパンツ派。

小川山(廻り目平)あたりだと標高が高いのもあってか、昼間は半袖で過ごせるシーズンでも朝は冷え込んで肌寒い時があります。ビレイ中にサッと羽織れるフリースや薄手のダウンみたいな保温着を持っていくと安心。

ちなみに登る時上半身ハダカになる男子が時々いますが、「オノルドとかオンドラぐらいならいいけど、仕上がっていない身体を見せられても痛いだけ」と言っていた女子もいるのでご注意を。 

 

寒い時期の服装

ビレイ(ロープによる確保)をしていると、ビレイヤー(確保者)は動かないので結構身体が冷えます。なので、冬のクライミングは基本的にダウンなどの保温着が必須

反面、登る人は登っている間は汗ばむことがあるので、厚着のしすぎはNG。厚着だと動きにくくなるので、クライミングのムーブの妨げにもなります。保温はビレイ中に着るダウンなどの保温着に任せて、登る時は薄手の(動きやすい)格好になれるようにしておくのが良いと思います。

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気温が低い環境下では、動かないと冷えてきます。冬のビレイ(確保)は保温着着用。

 

私の場合、寒い時期の服装は半袖のTシャツと、その上にパタゴニアのR1フリースの組み合わせで登っていることが多いです。ビレイや休憩中は、その上にダウンや化繊のインサレーションジャケットを着ています。 

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袖がまくれて動きやすいR1フリース愛好家

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パタゴニア・メンズ・R1プルオーバー

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ダウンか化繊か

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中綿が入った保温ジャケット(インサレーション)には大きく分けてダウン化繊があります。

同じ重量なら化繊よりダウンの方が温かいので、保温性はダウンが上。

化繊は水濡れに強く、メンテナンスが楽なのがメリット。穴が相手も中綿が飛び出しにくい製品があるのも、化繊の良いところです。

クライミングだとチョークで結構ウェアが汚れるので、洗濯機に突っ込んでジャブジャブ洗える化繊が気楽で便利。逆にチョーク汚れとかが気にならないならダウンの方が温かいです。チョークで汚れでも死ぬわけじゃないし。

そのへんの選択はお好みでどうぞ。

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ウェアはチョークで汚れます

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マルチピッチ

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岩壁を何ピッチも分けて、時には100mを越える垂直距離を登っていくマルチピッチクライミングでは、持っていける荷物は限られます。特に高難度のルートになればなるほど、装備を軽量化して動き易くしていく必要が出てきます。

取り付きでは無風でも、壁の中ほどではそれなりに風が強いこともあるので、防風や防寒対策は常に考慮しています。

フーディニみたいにコンパクトに纏めてハーネスのギアラックに掛けておける製品は、極力荷物を減らしたいルートで便利。

パタゴニア・メンズ・フーディニジャケット

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フーディニはコンパクトなサイズに圧縮可能

 

寒い時は、特にフォローだと「めんどくさいから保温着を着たまんまで登っちゃえ」とかいう気分になることもあるので、最近流行りの凄く薄い生地を使ったダウンウェアだと一発で穴が空いてしまうリスクがあります。保温着はある程度耐久性があったり、穴が空いても気にならない服がオススメ。

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風が強くて寒かったので、保温着着たまんま登る人。既にいくつもの穴開けパッチを当てたナノパフ・フーディ着ています。 

パタゴニア・メンズ・ナノ・パフ・フーディ

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ウェアの耐久性について

ストレッチ性のあるウェアは、身体の動きに追従してくれるので動きやすいです。クライミングの動きを妨げないので、よく伸びるウェアは快適です。

しかし経験上、ストレッチ性と耐久性はトレードオフの関係。よくストレッチするウェアほど摩耗に弱いことが多く、クライミングの時は何かと穴が開きやすい気がします。

あとは、薄手のウェアは軽くて快適ですが、こちらも生地の厚いウェアと比べたら穴が開きやすいです。

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背面に穴が空いたウェア

チムニーとか登ると背中がガリガリ擦れるし、広めのクラックに腕を突っ込めば袖がダメージを受けるし、フォール(墜落)してどこかをぶつけると、当たった部分が破けたりします。 まぁ、岩と接触する登り方をしない時には、あまり耐摩耗性とか気にしなくてもいいんですけどね…。

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岩と濃厚接触するような場面が予想される時には、ノンストレッチだけど耐久性が高いウェアというのも選択肢に入れても良いと思います。(あるいは穴が空いても気にならない安いウェアor既にボロいウェア)

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クライミング用ウェアの中には、立体裁断がされているのでストレッチ性がなくとも動きを妨げないという製品もあり、耐久性と動きやすさが両立されているものも。

 

登山者がクライミングをするとなると

登山用の良いウェアを持っている場合、わざわざクライミング用に買い増す必要は特にないとは思うので、山ウェアをそのまま使ってもOK。

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岩が濡れている時は基本的に登りません

登山時のウェア選びの話になると「使わなくてもレインウェアは必ず持っていけ」とか「綿100%はNG」とか、そいういうのがポイントとして挙がります。一方ウェアに関して言えば、クライミングは登山ほどシビアではないことが多いです。

自分の場合、フリー(クライミング)の時は基本的にレインウェアは持っていきません。雨が降ったら岩が濡れて滑るので、雨天時にクライミングは不可能。岩が濡れたら諦めてさっさと帰ります。クライミングエリアは、駐車場からそんなに離れていないことが多く、雨が降ったところで多少濡れるぐらいで駐車場に帰れたりします。

 

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綿シャツと綿パンツで登っています

ポリエステルのスポーツウェアと比べ、綿100%の服は乾きが遅いです。汗で濡れたままだと汗冷えから低体温症に繋がる(夏でも高山なら起こりうる)というのは登山ではよく聞く話ですが、クライミングを行う環境は、基本的にそこまで気象条件がシビアではありません。ウェアが速乾したらそれはそれで快適なので、速乾素材のウェアを着てもいいけど、綿シャツで全く駄目というわけでもなく…といった感じ。

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クライミングをするエリアによって、着ていくウェアは勿論変わります。錫杖岳とか穂高の滝谷とか、天候が不安定かつエスケープが容易でない山域でクライミングを行う時には、登山に準じた服装で向かいます。

 

あくまでも私個人の意見ですが、ご参考になれば。

 

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