黒部川源流域 赤木沢遡行

黒部源流域にある美渓で名高い赤木沢。真夏の暑い日、連休が取れたタイミングで行ってきました。

出発前は天気が少々不安でしたが、結果的に両日とも好転に恵まれ、素晴らしいロケーションの中での遡行となりました。

 

場所:富山県、黒部川源流域、赤木沢

登山日:2018年8月5日~8月6日

登山タイプ:沢登り、山小宿泊

メンバー:ディーアイ、miyu

 

黒部川 赤木沢で沢登り

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黒部川・黒部源流について

富山県と長野県の間にまたがる北アルプス(飛騨山脈)の最奥部にある鷲羽岳から端を発するのが黒部川です。 

立山や白馬岳など、北アルプスの3000mクラスの山々に挟まれながら流れ行く黒部川は、日本で最も急峻な渓谷、黒部峡谷を作り出し、その水流は遠く日本海まで続いています。

黒部の激流を発電に使うために建設された黒四ダム(黒部ダム)や、ダム建設の際に、峡谷を削って作られた下ノ廊下など、黒部川流域には様々な魅力あふれるスポットがあります。

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黒四ダム(黒部ダム)

 

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下ノ廊下

 

今回訪れたのは、その黒部川の源流域。

激流で知られる黒部川ですが、場所を選べば沢登りの経験が比較的浅い人でも楽しめる、美しい渓谷があります。

黒部川源流域にある支流・赤木沢は、アプローチはそれなりに長いものの、薬師沢小屋を利用すれば重いテント泊装備を持たなくともよいですし、登りのグレードも高くなく、泳ぎもほとんどないため、沢登り入門者向けでも楽しめるルートとなっています。

 

折立~太郎平~薬師沢出合

諏訪地方から、安房トンネルを抜けて岐阜県入り。飛騨を車でかっ飛ばして41号線を経て富山県へ。道の駅細入でパートナーのmiyuと合流し、有峰方面へ向かいました。

今回の行程なら神岡新道から入ってもよかったんじゃね?と気づいたのは富山入りしてからでした。

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有峰林道を通って折立にある薬師岳登山口を目指します。

 

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混雑するシーズンですが、夕方に到着したため、日帰り登山者が帰った直後の駐車スペースをゲットできました。登山前日は車中泊。

 

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折立の薬師岳登山口を出発。しばらくは樹林帯の歩きです。

 

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折立~太郎平間は、素晴らしく整備された歩きやすい道でした。

 

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暑さに苦しめられながらも、順調に太郎平を通過。

 

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太郎平まで登りきった後は、薬師沢出合に向けて下っていきます。

 

薬師沢小屋泊

薬師岳から流れ出る薬師沢が黒部川と合流するところに、薬師沢小屋があります。

北アルプスの縦走登山者だけでなく、赤木沢への遡行者や源流でイワナ釣りをする釣り人なども利用する山小屋です。

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薬師沢小屋外観

 

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小屋の出入り口ではビール、ジュースなどを販売しています。

冷たい沢水が無料でいただけて美味しいです。

 

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宿泊スペース

 

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自炊場&水場

 

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本棚

 

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テラスからの眺め

 

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黒部川にかかる橋。薬師沢小屋から対岸に渡してあります。

 

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到着後、さっそく冷たい沢でビールを冷やしました。

 

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沢でくつろぐ人。

 

黒部川~赤木沢遡行

天気予報では、富山の天気は曇り時々雨となっていて、天気に対しては不安を残したまま眠りにつきましたが、起きてみると空は晴れていました。

期待に胸を膨らませながら、黒部川を遡行し赤木沢を目指していきます。

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まず、薬師沢小屋の出入り口前にある休憩スペースのところのハシゴを使って降りていきます。

 

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朝の黒部川。最近まとまった降雨もなく、水量は落ち着いている感じ。

 

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時々渡渉し、場所によっては水につかりながら上流を目指します。

 

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赤木沢出合は写真のように美しい小滝が特徴的な場所。

この場所についたら、本流を離れ右側の赤木沢方面へ。

 

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赤木沢に入ると、まずは美しい赤色のナメ床が出迎えてくれます。

 

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最初の滝は右側から登りました。

 

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ナメ床。ため息が出るぐらい美しい場所でした。

 

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この連瀑帯は最初の滝は登り、あとは巻きました。

 

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エメラルドグリーンの釜。

入ってみると非常に冷たく、泳ぐのは厳しい…好きな人はやりそうですけど。

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非常にクリアな水。

PLフィルター使ってるので、さらに透明に写りますね。

 

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様々な地形がでてきて飽きさせません。さすが、美渓で名高い沢。

 

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30m大滝。ここは直登不可なので、右側のリッジ沿いに巻いていきます。

踏み跡は明瞭でした。先行者パーティはロープを使って確保していました。

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大滝を巻いたところ。大滝の直上にもミニ滝があります。

 

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大滝を越えると、水量はどんどんと少なくなっていきます。

本当に美しい沢だけに、時間を忘れて楽しんでしまい、あっという間に終わりに近づいてしまった印象です。

 

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大滝からしばらく行った先にある分岐は、左股へ。

右股の方が水流があり面白そうですが、そちらは詰めにヤブ漕ぎがあって大変との情報。左股はスムーズに稜線へと出られます。

 

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水流がほぼ途絶えたところで、沢装備を外しました。

 

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水流が消えてから、そう長くない歩きで稜線が近づいてきました。

 

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水の消えた赤木沢から。バックは薬師岳。

 

脱渓~北ノ股岳~下山

赤木沢を詰めていくと最終的には中俣乗越(黒部五郎岳と赤木岳の間)に出られます。

折立に車を駐めているので、中俣乗越から赤木岳、北ノ俣岳を経て、太郎平を目指します。

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上の写真のほぼ中間あたりが中俣乗越。左の雪渓あたりが赤木沢の終点です。

 

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稜線から赤木沢(写真中央からやや右)を見下ろす。よくもまぁあんなところから登って来たもんだ、という距離感です。

 

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赤木岳山頂。

特に書くべきこともない地味なピークなのでスルーします。

 

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振り返れば黒部五郎岳がどんと構えています。

黒部五郎~太郎平間の稜線は、大きなアップダウンもなく、素晴らしい景色を常に眺めながら歩けるので、とても気分のアガる場所ですね。

 

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北ノ俣岳で小休止を入れて、どんどん進みます。

 

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稜線では所々で、綿毛のチングルマが群生していました。

 

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太郎平まであと少しのところ。

当初の天気予報はあまり良くなかったですが、ここまで天気は持ってくれました。

太郎平からは、ガスも出てきて特に撮りたいものもなかったので、写真はこれにて終了。

 

赤木沢…名声に恥じない、本当に美しい沢でした。

心配だった天気が崩れなかったお陰で、太陽に照らされた美しい赤木沢を見られて良かったです。

脱渓後の稜線歩きも、景色に癒やされながら、楽しく歩くことができました。

一人ではできなかったであろう沢登り。一緒に来てくれたパートナーにも感謝です。

 

今回役に立った道具たち

汗冷えを防ぐファイントラックのドライレイヤーは、汗冷えが命取りになる環境では必需品です。

 

ミレーのメッシュも持ってます。ファイントラックと同じぐらい使えます。お好みでどうぞ。

 

沢をより美しく撮影するための必需品。ガンガン使うので耐久性・撥水性の高いZeta Quintを愛用しています。お手持ちのレンズ経に合わせたサイズをお選びください。

 

今回の沢登りはこちらのガイドブックを参考にしました。

 

沢での下山・アプローチで利用。軽くて、よくグリップして(塗れた岩ではイマイチですが…)、シューレースも締めやすくてお気に入りです。

 

こちらの記事もどうぞ

www.dimountainphotos.com