前回の記事では登山者がクライミングを覚えることで様々なメリットがあることを書きました。
今回の記事はその続き。
「クライミングはやってみたいけど、どこで、どうやって学べばいいの?」という疑問に対しての答えになれば幸いです。
クライミングを学ぶ方法には、様々な選択肢があります。
それぞれ一短一長だと思うので、個人に合うと思ったやり方で学んでいけばいいのではないかと考えています。
どこで、どうやってクライミングを学ぶか
クライミングジム
オリンピック効果もあってか、クライミングジムは最近どんどん数を増やしています。
手ぶらで行っても可。はじめての人でもウェルカム。仕事終わりや雨天でもできる。壁の下にはマットが敷いてあり落ちても安心。いろいろと結構良いことずくめ。
ジムで出会ったクライマーが、のちのち大切なクライミングのパートナーとなることもあるかも知れません。
メリット
仕事終わりや悪天時にもクライミングの練習ができる。
マットがひいてあったりと、設備は安全面に気を配ってあるので、環境的に安心。
初心者が壁を登り体験をするには最も手ごろ。
デメリット
人気のジムでは時間帯により混雑している。
ジムの多くがロープを使わないボルダリング専用であり、ロープワークを学ぶ機会がないことがある。
山岳会
山岳会に入会して、経験豊かな先輩たちにクライミングの技術を教えてもらうというのもひとつの手です。
最近の山岳会は人手不足に悩んでいるところもあります。やる気のある人が入会すれば、会の未来を担っていく人に対して喜んで技術を教えてくれる可能性もありです。
ただし、教えてくれる相手はサービス業でやっているわけではないし、組織に属するということになるので、その辺りを理解しておく必要があります。
メリット
経験者がロープワークやクライミング技術などを実際の山や岩場で教えてくれる。
ガイド・講習会のような費用がかからない(入会費・会費などはかかります)。
デメリット
それぞれの山岳会によってやっていること・レベルはまちまち。ほとんどハイキングだけのような山岳会も。
会員になるということで、自由で気ままな登山に対する制限がかかる可能性。
会ごとに流派もあり、知識・技術が最新で正しいという保証はない。
クライミング講習会
アウトドアショップや山岳ガイド、ジムなどが主催するクライミングの講習会に参加して技術を覚えるというやり方もあります。
基本的に教えてくれるのはその道で飯を食っているプロのガイドですし、やっていることが間違っている可能性は低いと思います。
また、ガイドの名誉や、店/ブランドの看板を背負っての講習会になるので、講習の内容も考え抜かれたものであると思いますし、安全には気を遣っていてくれるはずです。
メリット
プロのガイドがクライミング技術について教えてくれる。
後述の個人ガイドに比べた場合費用が安い。
デメリット
少数のガイド対大勢の受講生にという形となるため、ひとりひとりが十分に練習する時間を持てないことがある。
個人ガイド
山岳ガイドに個人でみっちりと技術を教えてもらうというのも手です。
クライミングのプロが正しいやり方をしっかりと教えてくれるので、技術の習得という点においては恐らく最も近道。
技術書に載っていないような細かな疑問も、その場で質問すれば適確に教えてくれると思います。
メリット
前述の講習会と違って、プロのガイドが個人に対してみっちりと技術を教えてくれるので、内容が濃い。
安全性に対しても、個人対ガイドなので、ガイドから目が離れてしまう可能性が低い。
デメリット
費用が高い。
ガイドも人間なので、合う合わないがあるかも?
友人関係
クライミングをやっている友人・知人に頼み込んで教えてもらうという手もあります。
ガイドと違って費用もかかりませんし(人によっては請求される可能性もあり)、山岳会と違って組織に属するわけでもないので気軽。何より知っている相手なので、固くならずにコミュニケーションが取れるという点も良いです。
ただし、教えてくれる人の技術・知識は保証されていません。
メリット
気心知れた相手に教えてもらえるので変な緊張感はない。
講習会やガイド費用がかからない。
デメリット
技術や安全性に関して確かな保証があるわけではない。
サービス業ではない。
相手への関わり方によっては、友情決裂の可能性あり。
SNS
最近はSNSで知り合った人と山行を共にするという形態も普通になってきた感がありますね。やったことないですが。
今の時代は、SNSを通じて知り合ったクライマーに技術を教えてもらうなんていうことも、ひとつの選択肢としてありなのかもしれません。
素性もわからん人に教えてもらったり、確保されたりするのは個人的には怖いと思います。しかし、「山岳会で知り合ったばかりのよく知らない先輩に、教えてもらったり確保されたりするのとどこが違うんだ」と聞かれると、返事に窮するところがあります。
メリット
SNSという手段を通じて、それまで接点のなかった人と出会える。
ジムや山岳会、クライマーが周囲にいない人でも、パートナーが見つかる可能性がある。
デメリット
相手の技術、知識、経験、素性も正確に分からない場合がある。
事故が起きた時の対応は?
独学
モンベルショップなどの登山用品店に、技術書がいろいろと置いてあります。専門的な本は街の書店では扱いが少ないので、山道具屋の書籍コーナーで探すのが良いです。
Amazonなどのネット通販で、専門的な技術書を取り寄せるのも楽で良いです。クリックひとつで専門書が自宅に届きます。中身が確認できないのがネックですが。
Youtubeに代表される動画サービスで、文章と写真だけでは分からない細かな動きも動画で確認できます。
ちなみにクライミング技術の動画に関しては、日本語の動画は数が少なかったりクオリティ低いのが多いです。外人がやっているHow to動画は数が多く、中には分かりやすく編集されていてクオリティ高いのがあります。技術検索はEnglishでやるのがおすすめです。
独学は、やり方が間違っていると大怪我や死んでしまうリスクが高いです。間違っても誰も正してくれません。やりたい場合は、しっかりとシステムを頭に叩き込んで、まずは失敗しても大丈夫な環境で予習を行ってからにしておきましょう。
メリット
自分のペースで学べる。
インターネットを使えば、世界で行われている先端技術が学べる可能性。(ただし、情報が間違っていないという保証は無い)
デメリット
間違っていることを教えてくれる人がいない。
やり方を間違えた場合、怪我や死亡リスクが高い。
思いつく限り、クライミングを学べる手段とメリット・デメリットをまとめてみました。
実際はひとつの手段だけでやるのではなく、色々な手段を組み合わせて行うとより理解が深まり、技術習得の近道になると思います。
死んでしまったら上達のしようがないので、安全第一に練習していきたいものです。
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