小秀山・乙女渓谷で夫婦滝登攀【アイスクライミング】

f:id:di82:20220304201534j:plain

日本二百名山・小秀山の麓にある乙女渓谷。その谷の中にある夫婦滝という滝は、冬の間に氷結し、アイスクライミングの対象となります。

今回はその夫婦滝でアイスクライミングをしてきた記録です。

 

場所:小秀山 乙女渓谷

山行日:2022年2月25日

種類:アイスクライミング、日帰り

メンバー:ディーアイ、アキ

 

小秀山・夫婦滝でアイスクライミング

f:id:di82:20220304200927j:plain

 

アプローチ

今回パートナーとなってくれたアキさんとは、乙女渓谷最寄りの道の駅で待ち合わせ。合流後、それぞれの車で乙女渓谷キャンプ場の駐車場へ。

県道を離れた乙女渓谷へと通じる道路は除雪されておらず、途中から積雪と凍結しており、4WD&スタッドレス必須でした。

f:id:di82:20220226193025j:plain

乙女渓谷キャンプ場から出発します。二ノ谷登山道を行きます。ある程度数の登山者かアイスクライマーが入っているらしく、トレースはバッチリありました。ラッセルはほぼ必要なさそうだったので、一応持ってきたワカンは車の中に置いていきました。

f:id:di82:20220226193321j:plain

小秀山・二ノ谷登山道入り口。

 

f:id:di82:20220226193341j:plain

積雪はしっかり。

 

f:id:di82:20220226193404j:plain

両岸に岩のそそり立つ、美しく、よく整備された道を行きます。

 

f:id:di82:20220226193454j:plain

ねじれ滝。

乙女渓谷には見所になる滝がいくつかあり、目を楽しませてくれます。

 

f:id:di82:20220226193511j:plain

和合の滝。

 

f:id:di82:20220226193535j:plain

避難小屋。

 

f:id:di82:20220226193548j:plain

夫婦滝が見えました。

避難小屋を過ぎて少し行き、急登を過ぎたあたりから今回目指す夫婦滝が木々の合間からチラリと見えてきました。左が男滝(おたき)、右側が女滝(めたき)。

 

f:id:di82:20220226193709j:plain

積雪量はそれなりにありますが、トレースバッチリなので歩きやすい。

 

f:id:di82:20220226193724j:plain

夫婦滝に到着です。

ここからは登山道を離れて(と言っても、どこもかしこも雪で埋まっていますが)滝を登るために沢へと少し下ります。

ちょっと下って安定した平地のところでハーネス等の登攀具を装着しました。

 

男滝登攀

まずは夫婦滝の標識の奥にある、一際目を引く男滝から登ります。

f:id:di82:20220226193912j:plain

男滝。

f:id:di82:20220226194648j:plain

今回登ったおおよそのライン(2P)。

 

白山書房・アイスクライミング(廣川本)によると、1P目は25mで写真から判断すると傾斜の緩い左側を登っているような感じですが、滝の氷結は良好でどこからでも登れそうだったので、自分たちが登りたいと思えるライン…正面から取り付くことにしました。

 

f:id:di82:20220226192646j:plain

男滝取り付きへのアプローチ

 

f:id:di82:20220226221852j:plain

1P目を私(ディーアイ)がリードで登ります。

パートナーのアキさんは男滝に登ったことがあるそうなので、1P目の美味しいところは頂かせてもらいました。

取り付く直前までは段々になっていてあまり傾斜は無さそうでしたが、実際に登り始めてみるとそれなりに傾斜を感じます。氷瀑の表面の所々は、凍結した雪や薄い氷で覆われており、他のクライマーが登った穴はほとんど塞がっている感じ。強度の無さそうな薄氷を避け、比較的氷の厚そうなところにスクリューを決めていきます。

f:id:di82:20220226221955j:plain

滝の中央らへんからスタートし、途中で右へ。

途中まではなるべく滝の真ん中のラインで登り、途中で右へとトラバース。スクリューは12本持って行きましたが、9本ぐらい使ったところで、比較的ビレイがしやすそうな傾斜の緩んだ箇所に到着。スクリュー2本を使用してビレイ点を構築しました。ロープは大体30mほど出しました。

私がピッチを切った場所は、半ハンギングビレイ的な感じで居心地は微妙…。もう少し上がると傾斜が全体的に寝ていきそうだったので、あとちょっと登ってからピッチを切った方が良かったかも。

 

f:id:di82:20220226192618j:plain

1P目をバックロープを引きながらフォローで登ってくるアキさん。

最初の30mで傾斜の立っているところはほとんど終わりで、ピッチを交代して少し登ると後は階段状。2P目、30mほどロープを出したところでアキさんからビレイ解除のコールがありました。

f:id:di82:20220226221740j:plain

2P目、氷瀑の落口付近まで登ってきた私(ディーアイ)。

 

f:id:di82:20220226192805j:plain

男滝を抜けると登山道とも合流できます。

 

f:id:di82:20220226192727j:plain

下るのに便利そうな木を使って懸垂下降。

終了点近くの木から60mロープを2本繋げて、懸垂下降1回で取り付きまでギリギリ戻れました。
男滝は落差80mあるということでしたが、最下段が恐らく雪で埋まっているのでしょう。アイスクライミング的な登高距離はほぼピッタリ60mでした。

 

女滝登攀

休憩もそこそこに、男滝の次は女滝へと向かいます。男滝取り付きのスペースから、(登山道側から見て)岩場を奥へと回り込んでいくと、すぐに女滝が見えてきました。

女滝にあるミックスラインをアキさんが初登したのをビレイしてから、私が女滝をリードで登りました。

f:id:di82:20220226194017j:plain

女滝。

f:id:di82:20220226195034j:plain

今回登ったおおよそのライン(1P)。

 

f:id:di82:20220226222227j:plain

女滝もリードで登ります。

f:id:di82:20220226222325j:plain

最初は傾斜が緩く落ちる気がしなかったので、節約のためにスクリュー感覚を広めに取りながら登っていきます。

途中階段状を経てフルレストができるテラスっぽいところまでで20m。廣川本ではここでピッチを切るとありましたが、50mを1Pで登ることもできるので、ピッチを切らずにそのまま登り続けました。

上部の斜度は70°ぐらいか、強いところでも80°ぐらいでしょうか。バーチカルとまではいかないものの、八ヶ岳のメジャーな大滝みたいに多くのクライマーがボコボコ打ちまくった穴が無いので、引っ掛けムーブはできません。テラスの様なスタンスも無く、クランポンのフロントポイントで立ち続けないといけないので、ふくらはぎが張りました。女滝、傾斜で言えばグレードはIV+ってとこでしょうけど、穴ボコだらけのV級氷よりも疲れました。アイスのグレードってコンディションに寄るところが大きくて、あまりアテにしてません…。

f:id:di82:20220226192842j:plain

女滝取り付きまで登ってきたアキさん。

スクリューは14本持っていき、12本使いました。滝の上まで登りきったところに、ちょうどいい感じの、残置スリングが巻かれた木がありました。ビレイ点構築をして、フォローのアキさんを確保。

 

f:id:di82:20220226192911j:plain

女滝を懸垂下降。

女滝を登り切ったら、懸垂下降で取り付きまで戻ります。滝の中間部、30mギリギリのところでラッペルリング付きの支点がありました。そこでピッチを切り2回の懸垂下降で取り付きまで。

f:id:di82:20220226192945j:plain

女滝、2回目の懸垂下降。

女滝は60mの高さがあるとのことでしたが、ロープスケール的には50mぐらいでしょうか。こちらも男滝と同様、取り付きが雪で埋まって本来の高さより低くなっているのかも知れません。

 

前日に某石灰岩の岩場でボコボコにされ満身創痍だっただけに、楽しいアイスクライミングが出来て良かったです。癒やしのアイスでした。でも疲れたので、滝2本登って本日は終了。

トポには氷結が悪いと書かれていた夫婦滝でしたが、アイス当たり年の今シーズンは、氷結状態良好でした。

 

装備

マムートの8.7mm 60mトリプルレーテッドロープ(シングル・ダブル・ツインで使用可)を持参。60mのダブルロープを持っていなかったので仕方なく持っていきましたが、シングルロープとしても使えたので便利でした。

 

 

こちらの記事もどうぞ

www.dimountainphotos.com